著:石田拓実 先生

長谷、今まで本気で誰かを好きに
なったことなかったんだろうな。
それが今亜希に恋してテンパって、
そんな彼に亜希は無遠慮に触れた。
長谷は驚いて、その後複雑な表情を
見せるとゆっくり、少しずつ近付いて
きて目の横にキスしてきた‥そこから
また少しずつ下へ降りてきて‥
このままじゃ唇まで来るなんて
思ったりもしたんじゃないかな。
それでも亜希は全く動けずにいた。
ガチャ
人が来たことで、その行動は中断。
「……ごめんね、寺田さん。」
その一言以降は目も合わせず無言の
まま二人部屋まで戻っていった。
‥亜希は本行のことが好きで、
長谷は亜希のことが好きで。
そんな状態でこれは本当なら
起こり得なかったことだろう。
起こったのは多分、亜希の自分への
甘さとか迷いとかそういうのかな。
きっと誰にだってそういう甘さは
ある‥とは思うけど、自分の行動で
自分を余計混乱させてる気がする。

亜希はふと思い出して質問してみる。
あかりが本行とデートした日のこと。
そういえばそうでしたよね。
お願い‥何をしたのかわからない
ままで終わってましたあのお話。
「……抱きしめて……………
キ、キスしてほしいんだけど。」
‥こんなことを言ったらしいんですよ。
で、結果無理と言われたのだけれど‥
「智也は私を汚してはいけない神聖な
もの-あるいは侵してはならない聖域
だと思ってくれてたのよ…!?ある意味
その想いは相互だったってことよね!?」
そういう行為から本行を好きになった
亜希からしたら、”そういうこと”は
かなり重要なことで、そういう意味
でも求められたいとも思っている。
でも、それを無理と断られたと言う
のにあかり的には嬉しいことだった。

同じ内容でも、あかりと自分では
受け取り方も感じ方も違うんだと
気づいた亜希は、本行への告白に
対する返事のことを相談してみた。
告白したこと、「へぇ」なんていう
そっけない返事が返ってきたこと。
俺(本行)がするたいがいのことは
嫌じゃないってことかと聞かれて、
触られたりとかは好きだから嬉しい
けど好きだから辛いと応えた後に、
辛くなって逃げてしまったこと。
「”都合がいい”こと自体は
悪いことじゃないわよね?
問題は相互であるかどうかで。」
話してみると、自分では全く考え
つかなかった反応が返ってくる。
自分が本行の都合のいい相手にされ
ようとしていると辛くなっていた
はずなのにそれ自体は問題ではない。
相互であるかどうか‥確認出来てない。
ほんとびっくりするくらい違う
考えが答えとして返ってきた。
そして何より、最後に言われた
言葉がすごく‥なんか驚いた。
そしてすごく納得させられた。
あかりの言うように考え方を少し
改めて見れば、見えてくるものも
随分と変わってくるかもしれない。

あかりに話を聞いてもらって、
その日のうちに本行に聞きたい
ことを聞こうと決意した亜希。
話をしに行ったはずなのに、なぜか
添い寝をしながらということに(笑)
酔っぱらいの頭で何を聞くのかぐるぐる
考えた結果やっと出たのがこれだった。
「本行は中学の時私の
ことどう思ってた…?」
その質問に対して、少しずつ亜希の
知りたかった本行の本音が明かされる。
「いちいちあいさつとかして
くれてすごいなって。」
「女子が話しかけてきてくれるとか
それだけでふつーにめっちゃ嬉しい。」
付き合ってもいいよ、とかキス云々の
話の時なんてラッキーとか思ってた(笑)
そんな本行に、変化があった。
それは亜希にキスをしてみた時。
「…寺田さん目見開いてすごく驚いた顔
してて…そんな顔今まで見たことなくて…」
「…いつも見てた堂々として曇りなく
笑ってる寺田さんとは全然違うその
顔を見て…すごい興奮した。そんで
もっとそういう顔みたいって、その
表情をもっと崩したいって衝動と
興奮がぐわってきて抑えられなくて…」
‥そんな思いが心の中にあって、
その後行為に及んだという過去。
でもその後、亜希は本行を避ける。
それで初めて本行はやってしまったと
気付き謝るべきと思った‥思ったけど。
「でも何か嫌で…謝ったらあの時の
色々全部否定することになる気が
していやで、ごめんとか違う気が
して謝りたくなくて謝れなくて。」
今になって、その時謝らなかったこと
をごめんと謝ってきた本行だった。
自分を見下してたんだとずっと
思っていた亜希‥全然そんな
ことなかったと気付かされる。
再会してから、意外と普通に接して
くれたことに驚いたけど嬉しかった
と話す本行‥今まで亜希が思ってた
のと全然違うことを考えていた。
頭の中、全然整理できない亜希だけど
とてもふわふわした気持ちになってた。
だいぶ薄くなった噛み跡の代わりに、
見えないところにとキスマークを
つけてきた本行‥亜希は本行のこと
好きなんだ、これで舞い上がらない
わけがない‥絶対幸せだったろう。

寝起き‥あかりにご飯を作るからと
先に起きようとした亜希に気付いた
本行はあからさまに残念な表情を見せ‥
亜希にキスをしようとしてきた。
‥で、触れるだけのキスをする。
その後なんだか満足げな顔をして
またすぐに寝てしまった本行。
甘い・・甘酸っぱすぎる。
これを幸せと呼ばず何と呼ぶ(笑)

「寺田さんと添い寝とかすんの
もうやめてくんないかな。」
「家主としてってのもあるけど、
できればもう、寺田さんに
さわってほしくないから。」
長谷にそんなことを言われた本行は
その時無言‥うんとは言わなかった。
その日の夜‥が亜希が話をしに行って
添い寝もすることになったあの日だ。
最悪ここから追い出されるかもと
思って出来るうちに‥なんてこと
いい出したのかもしれないと思う。
添い寝を終えて、ちゃんとした
応画をしなかった前日に比べて
今度ははっきりと‥長谷の言葉を
拒絶する‥それもわがままね(笑)
長谷のこの表情にはどんな思いが
込められていたんだろう‥まあ、
嬉しい気持ちでないことだけは
見なくてもわかるけれども‥。
この2人も‥荒れそうだな。

あの添い寝以降、本行は部屋にこもる
ことが増えほとんど会えなくなった。
亜希、寂しかったんだろうよ。やっと
見つけた本行をデートに誘ってみる。
取材も兼ねてだったのかもしれない
けど、水族館デートに行くことに。
亜希的には楽しい時間を過ごして‥
またその後は中々顔を見れなくなるが
ある時顔を合わせると本行は亜希に
水族館土産をプレゼントしてくれた。
でのそこに付け加えられた理由‥
「水族館につきあってもらったお礼
とこないだのお詫び…も兼ねて。」
「こないだ残り添い寝してもらった
朝、俺すごいねぼけててつい…また
勝手にキスとか…ほんとごめん。
もう何もしないって言ったのに。」
添い寝した日の寝る前、キスマークを
つけてきた後何も言わずにキスをした。
その後確かに言ってた‥謝って、もう
何もしないって‥亜希からしたらキス
すっごい嬉しいことだったんだもの。
本気で謝られたら‥つらいだろう。
そんな亜希の気も知らず‥でも
明らかに暗い表情を見せた彼女
を見て焦ってしまう本行だった。
心が折れそうになるも、めげずに
ちゃんと聞こうって、頑張った。
告白のこと‥その返事。
驚いたけど嫌ではなかった。
そんな反応を見せた本行だけど、
つき合うという話をしたらこの反応。
それは一体‥どういう反応なの!?
この後、仕事の電話かな?邪魔が
入ってしまって話は中断する。
‥いい方に考えようとしても、
いい意味が全然わかんないよ。
でもきっとこの反応には何か
理由はあるんだろうって思う‥
聞くの怖いけど、きっとちゃんと
聞かないと何も変わらないよね。
~ひとこと~
カカフカカ6巻でした!!
いや~なんかもう‥ぐちゃぐちゃ(笑)
長谷と亜希のことは曖昧で、長谷と
本行はちょっと雲行き怪しくて‥
それでも亜希と本行はいい感じだと
勝手に思ってた‥思ってたんだけど
最後に打ちのめされたこの感じ何。
「つきあったほうがいいなら
そうするけど」って‥何この
歯切れの悪い返答は‥苦しい。
亜希の心境を思うとモヤモヤが‥
早く7巻読みたいですよぉ!!w
まだ先になりますが、また7巻で!!