著:永椎晃平 先生

体育祭の大盛り上がりも落ち着き、
修学旅行です。応援団として注目を
集めることも多かった小早川だけど、
修学旅行の班は余り物の集まりの班。
余り物‥さらに言えば協調性が無い
奴も集まった班だったから‥楽しい
わけがなかった、そのままではね。
自由行動=班行動の時なんて、
わがままな奴らが1人また1人と
単独行動を始めてしまうし‥。
「…余り物の集まりかも知れないけど同じ
班になったんだ、やるなら…一緒にだ。」
一人で大食いをしに去っていって、
でも食べ切れなくてヘルプの連絡を
してきたデブちんと一緒に大食いに
挑戦する小早川‥それを見ていて、
周囲にいた修旅の生徒たちは笑う。
でも清原(ヘアピンの男子)だって本当は
全力で楽しみたかっただけなんじゃない
かな‥決心して、彼も大食いに参加した。
笑われるのは恥ずかしい、でも‥同じ班
だからって一緒に向き合ってみたら、大変
だけど何この一体感‥楽しそうじゃないの。
大食いを終わらせると、もう一人単独
行動をしたがった毒島(ぶすじま)からの
ヘルプを彼女に付き添った松方からの
連絡で知り‥3人は決心してかけつけた。
最初はばかにするように笑ってた
周囲からの連中の目は、気が
ついたら少しだけ変わってて‥
「何だアイツら……でも、
なんか楽しそうだったな。」
最初は、ストレスと我慢との戦い
みたいな顔をしてた班の奴らだけど
この日が終わる頃には何だか楽しそう
な表情を見せるように変化していた。
‥変わるもんだよね。
小早川の勇気が変えたんだよね。

加納に拉致られた小早川。
最初は警戒して‥ヤンキー相手に
怖かったかもなのに応戦する連中。
こんな行動に出てようと思える
までに彼らの友情は深まったのかと
思ったらそこは嬉しい所だった。
でも加納の態度を見て対応を
変える、あ‥そういう、的な 笑
体育祭の時の話、約束したものね。
障害物競走で1位を無事とった加納。
その先には小早川とのデートが
待っているっていう話だった。
そのデートに誘いに来たみたい。
誘い方が‥随分強引で笑った 笑
‥楽しい時間になるといいね。

それから‥いろんな所を回って、
加納ほんとに楽しそうな笑顔を
見せてくれて‥すごく安心した。
もう帰らなければいけないって
時間ぎりぎりになって、舞妓体験
をしたいなんて言い出した加納。
この巻の表紙になっているのは
加納だったのね‥随分と綺麗で
‥見惚れて舞い上がって‥あの
告白の返事をしようとしたのに‥
実は前日、ちょっとしたことが
あって、松方と小早川が一緒に
いて、別れ際松方は小早川の
ジャケットのポケットにこの
手紙を紛れ込ませていたんだ。
それをこんな最悪なタイミングで
見つける‥松方自身入れたことを
後悔していたくらいなのに‥今
見つけてしまうってどんなよ。
「…俺は……お前の
気持ちに応えられない。」
そう答えただけなら良かった。
ただ応えられないだけなら、
それは仕方がなかったのだから。
でも‥
「お前は…松方にちゃんと謝って…
松方にしたことを許して貰わない
と…松方を傷付けた過去を精算して
からじゃないと…俺は返事できない。」
それは違うだろ、関係ないだろ。
彼女なりにこれまで誠意を
尽くして頑張ってきたんだよ。
それでも結果はまだ曖昧なもの
かもしれないけど‥でもそれと
加納の気持ちに答えを出すか
どうかってまた別の問題だよね。
それは…小早川、逃げだよ。
逃げでしか無いよそんなの‥
小早川、また逃げてしまうの?

小早川の話を聞く前に、偶然加納
と会った星野は今日の出来事を
聞いていた。その話を切り出すと
小早川は俯いたまま苦しそうに話す。
やっぱり‥逃げだったんだね。
怖くなって逃げちゃったんだ。
無理やり理由つけて、傷付けて。
怖いよ、いろいろ怖いって
感じてしまうくらいに大事に
思う存在が増えたってこと。
それはいいことだけど、その分
怖いって思うことも増えるだろう。
でもさ、それで逃げてちゃダメ
じゃんよ‥逃げて、真っ直ぐに
自分に気持ちを伝えてくれた人を
傷つける‥そんなのいいわけない。
小早川だってきっとわかってる。
それでも‥動けなかったんだろう。

小早川の話を、思いを聞いた星野は、
ほんの少しの躊躇いがあった後に‥
小早川の頬にキスをして、すぐに
はっとすると小早川を殴って逃げた。
いやー、痛いわ 笑笑
この時、星野は一体何を思って
こんな行動に出たんだだろうね。
衝動的に動いてしまったって
いうことなんだろうとは思う。
けど‥小早川、落ち込む暇も
なく更に問題が増えたかも 笑

ただでさえ加納にしてしまったことで
スッキリしない気持ちでいた小早川、
その後の星野とのことでその日は結局
一睡も出来ないまま修旅最終日になる。
寝不足でふらついて倒れそうになった
のを支えてくれたのは西村だった。
文化祭での一件依頼、会話をする
こともなくなっていた2人‥だから
話したのは随分久しぶりだった。
(自分でも驚くほど、ここ最近の俺を
取り巻く環境の変化…起こった出来事
を洗いざらい西村に話していた。)
誰かに聞いてほしかったんだろう。
しっかりしろよって言ってほしかった
だけかもしれない、このままじゃ1人
押しつぶされそうになっていたから。
「なぁ西村…俺は…
どうしたらいいと思う?」
最後にそう問いかけた小早川に、
西村はすごい形相で叫んだ 笑
「死ねェーーーーーーーーーーーッ」
その後は、いつぞやに高橋が小早川に
恋の相談をしてきた時の小早川のよう
にどこまでもはっきりと怒ってくれた。
ちゃんと向き合えって言ってくれた。
「星野さんだろ!!!君が好きなの!!」
「君はいつも星野さんの
ことを目で追ってるから。」
最後に西村はそう言った。
星野への気持ちは、小早川が
自分で認めようとしないで
抑えていた思いかもしれない。
それでも、自分の一方的な思い
ならまだしも‥大切に思う友人から
の思いをこんな扱いしてはいけない。
負けんなよ小早川。
頑張って、前に進んで。

修旅からの帰り道‥2人して
ヘマをして新幹線に乗り遅れ
その後はせっかくだからと遊び
周りぎりぎり終電に乗って帰る。
それまでわちゃわちゃと騒ぐことで
紛れていたであろう二人の心も、
新幹線に乗って静かな所で距離が
縮まると、ついあのキスを思い出し
ぎこちない態度になってしまった。
でも、星野はもう逃げなかった。
あのキス初めてだったし本気だった
んだって、ムリに返事はしなくても
いいって言う星野だったけど‥
「好きだ。俺もお前のことが好きだ。」
松方や加納と、これまで通りは
いられなくなってしまうかも
しれない、何の返答も出来て
いないのに星野に応えちゃって。
どーなってしまうかわからない。
それでもちゃんとする、星野と
一緒にいるために向き合うって、
そういう覚悟を見せたんだと思う。
照れるからもう少し時間がほしい
っていう理由で2人が付き合ってる
のは秘密にしてほしいという星野
の願いを受けることにした小早川。
‥不安だよ、これからいろいろと。
どーなるかわかんないことだらけ。
こじれないといい、暖かい方向に
いい方向に向かっていけたらいい。
~ひとこと~
8巻です‥いろいろと曖昧なまま
星野と小早川は付き合うことに。
幸せなことだと思う。でもまだ
手放しに喜べる状態でもない。
小早川はいろんなものに向き
合わなきゃいけないわけだから。
それで傷つく人だってきっと
出てきてしまうわけだから‥
不安なことがどうしても多い。
また9巻、お付き合い下さい。