著:永椎晃平 先生

応援団長の小野寺 篤(おのでら あつし)
先輩、見た目の通りヤンキーだし周囲を
怖がらせてしまう彼だったが、応援合戦
に対する思い入れは相当のものだった。
ずっと憧れていたそれに、3年になった
今になって挑戦しようと覚悟できたのは
ジャージ女を見たからだったんだろうな。
「そんでジャージ女に告白する。」
応援合戦を成功させ、告白する‥その
ために彼女のクラスと名前と小早川と
の関係を洗いざらい吐けという先輩 笑
小野寺先輩の言葉に、ついニヤけた表情
を見せた小早川‥メイクをして自信を
持った星野は多くの人に人気がある。
でもそれだけでなく星野のいい所は
たくさんある‥ジャージ女だなんて
呼ばれてこれまでしてきたことだって
星野のいい所、魅力だって知ってた‥
嬉しかったんだろうな、小早川は。
その魅力を知ってくれた人の存在が。
「…ジャージ女の…名前もクラスも
教えられません。でも---…先…
輩の目指す応援団には…協力させて
ください。俺は…副団長だから。」
秘密は明かせない、でもこの
人の思いを支えたい‥とでも
思えたのかな? 星野が与えた
きっかけをダメにしないために‥?

一人で応援合戦のフリやらを考えて
いた小野寺先輩‥他のみんなで例年
と大差ないフリでやっていこうと
決まりかけた時、先輩は一生懸命
考えたフリと陣形を提出、提案した。
今更‥なんて声も多く上がってた。
でもそこで諦めなかったのは小早川。
頭を下げて、団長の真剣さを伝えて‥
その意気込みを拾ってくれたのは
3年生の副団長・橘先輩だった。
「みんな…土日空いてる~?」
彼女のおかげもあり、小野寺先輩の
案で応援練習を始めることになった。
そんなある週末のこと‥準備をする
ために入った倉庫で‥事故が発生!?
星野がちょっとした理由で動揺して
暴れた結果倉庫の物が盛大に崩れ
落ちてきて‥下敷きになってしまう。
とっさに落下物から星野をかばった
小早川だったけど‥流血するような
怪我をした上熱中症で気絶してしまう。
「自分を…悪く言うなよ……嘘をついて…
騙してるつもりが少しでもあるなら…素顔
の自分で頑張るしか…ない。……ガッカリ
させんなよ…憧れて…ん……だから…。」
暑さで朦朧とした意識の中、そう星野に
言った小早川。その言葉を聞いて、汗で
メイクが落ちてしまった星野は大声で
助けを呼んだ。それまでは‥メイクが
落ちた状態で助けなんて呼べないと
焦っていた星野だったのにね。
その結果‥助けてくれたのは星野と
同じグループに実は1巻からいた石橋。
星野のことが好きで、小早川に対して
敵意を向けまくってきていたやつだ 笑
今回のことで小早川と星野が無関係
だと信じた石橋から敵意は向けられ
なくなった。そしてもう一つ、応援
団員の中でも暗いわ共同不審だわで
下級生もよって来なかった小早川。
石橋が、小早川が体を張って彼女を
守ったと武勇伝のように語りまわった
ことで、その輪に巻き込まれる感じで
応援団員の輪に馴染むことに成功 笑
でもここで一つ問題が発生する。
小野寺先輩にまで誤解を与えて
しまうことになったのだ‥めっちゃ
睨まれる上小早川に対してだけ特別
手厳しい指導をするようになった。

ある時、橘先輩が小早川に妙なことを
言ってくる‥彼女は小野寺先輩が星野
(ジャージ女)を好きだと知ってるのか?
てか、そもそもそれが=星野だって
彼女にはバレてしまってるんだろうか。
そこの問題はあるものの‥気になる
のは団長があのままだったら負ける
という言葉の方‥この時は、どういう
ことなのかわからないでいたけれど‥
団一丸となって練習を続けていた
ある日‥団長が突然動きを止めた。
演舞の最中、突然にだ。橘先輩が
言っていたのはこういうことだ。
昔もあったらしい‥大事な時に
心にわだかまりを残したままで
いたら、本番ずたぼろになった‥
そんなことが起ころうとしてる。

団長の下がり始めたモチベーションを
あげるために、橘先輩は小早川にある
提案‥というかお願いをしてきた。
「小早川くんがこの紅団応援団の
こと気に入ってて本番が終わるまで
楽しい気持ちでいたいなら…君の口から
小野寺くんに伝えてくれないかな~?
星野さんとは付き合ってないし、何とも
思ってない、小野寺くんの恋路を邪魔
するつもりも無い…ってさ~~。」
確かに付き合ってはいない、それに
相変わらず誰かを好きになるなんて‥
と思ってしまう気持ちは変わらない。
それなのに、星野のことを何とも
思ってないなんて言えないくらい
大事で特別な存在に‥気付いたら
なってしまっている、それを彼が
恋だと自覚してるかはわからない。
でもきっと‥小早川は星野のこと
いいとこも悪いとこもひっくるめて
好きになっちゃってると思うんだよ。

「小早川、私が障害物競走優勝
したら今度デートしてくれ。」
加納‥戦ってるんだって。
自分の好きを小早川に認め
させるため、きっと全力で。
加納のこういう所、本当にすごい
と思うしかっこいいとさえ思う‥
だって、きっと怖いじゃん。
どれだけ頑張っても届かない
かもしれない、頑張りすぎても
逆に引いてしまう相手だって
きっといるかも知れないしね。
小早川はきっとそういうのでは
ないとも思うけど、頑張っても
ダメって結果が仮にあっても、
今できるのは全力で戦ってく
ことだけっていうのも事実で‥
加納を応援したくなっちゃう 笑
まだわかんないけどね?それでも
小早川の気持ちは今星野に向いて
いってる気しかしなくて‥怖い。
どんな形でも、加納の努力が、
思いが報われたらって思った。
一先ず‥加納の懸けのような誘い
は一応受け入れられたようだ 笑

体育祭当日‥になっても、まだ
団長のモチベーションは上がらぬ
まま、誤解もとけないままでいた。
橘先輩には、責任を押し付けるよう
なことを言ってごめん、忘れて‥
なんて言われて終わっていたけど、
小早川はこのままじゃダメだと
思い体育祭当日ついに行動に出た。
競技中なら逃げられることなく話し
誤解をとけると学年別のフォーク
ダンスで3年の所に乱入して団長を
捕まえた小早川は、まず先に誤解を
とき喝を入れるような言葉をかけた。
でも、結局小早川の気持ちを伝える
ことはなく‥団長はまだすっきり
しない様子のままだったんだろう。
「団長とタイマンします。」
橘先輩の協力を得て、本来は味方同士な
団長と小早川が一騎打ちをすることに‥
俺が勝ったら告白しないでというのは
きっと彼の本心だったんじゃないかな。
本心でぶつかりあうのが、きっと団長
には必要なことだったように思う。
結果‥本気の戦いの勝者は団長。
応援団用にメイクをし直すためメイクを
落として校内を歩いていた所偶然か必然か
団長とジャージ女状態の星野は遭遇した。
「さっきの一騎打ちアンタを懸けて勝負
してたんだ。好きだ、アンタのことが。
いじめられっ子を助けるためにたった
1人で跳び蹴りかましたのを見た時、心
の底からアンタをかっこいいと思った。
こうなりたい…って思ったんだ。」
それは、星野にとっては突然の告白。
答えはくれてもくれなくてもいいから
応援合戦を見ていてほしい、と言って
団長はその場から去っていった。

体育祭が終わって‥星野は団長の
気持ちに対して自分の気持ちを
答えに来たんだと思うんだけど‥
自分のことを悪く言いすぎて結果
ひどく落ち込んだ空気を出した 笑
団長は返事をしなくていいと言った。
自分に自信がないから応えられないと
言っているような気もするし、結論
としてはフラレてたのかもしれない。
それでも、ちゃんと気持ちを伝えて
全力の応援合戦をかっこよかったと
言ってもらえて‥団長としてはきっと
すごく嬉しいことだっただろうと思う。
星野がなんて答えるのか‥気が気で
なかったのは団長だけではない。
けしかけておいて、小早川だって
実は不安で不安で仕方がなかった。
そして団長も星野も‥互いに本気で
向き合った2人を見て、自分も決着を
つけなければいけないと決心した。
‥加納のこと、あの日告白から
逃げてきてしまったこと‥答えを
出すために向き合う覚悟がきっと
今の小早川には出来ていると思う。
怖いし苦しいかもしれない‥でも、
頑張って向き合って答えてほしい。
~ひとこと~
7巻でした‥団長の存在で、かなり
いろんなことが変化した気がします。
それはきっと、つらい思いをした人も
いたけど変化はいい方向のものと思う。
小早川が、逃げない覚悟を決めた。
ぶつかろうと思うことが出来た。
また次巻‥もしかしたら涙する人も
出てきてしまうかもしれないと思う
とちょっと苦しくもなるけど‥でも、
もう逃げないで向き合ってほしい。
頑張れ、小早川。少しずつかもしれない。
小早川は成長している。自信‥きっと
少しずつでもついてってると思うよ。