星野、目をつぶって。 第2巻

著:永椎晃平 先生

星野はメイクの練習やらのために
小早川らと一緒にいる時間を多く
取るようになっていたらしい‥。

結果、友人達は随分寂しい思いを
してしまっていたらしく、中でも
彼女‥莉穂は一緒にいた小早川に
敵意を向けるほどの状態だった。

そして実は、この少し前にジャージ
姿でも莉穂と対面してしまってる。
もちろん、同一人物だとはバレず
その場をやり過ごしたんだけど‥

さてさて、これまでそこまで
これは波乱の幕開けか‥!?

何にせよ、なんやかんや星野を
放っておけない小早川は結構
いいやつなんだよなって思う 笑
とんでもなく素直じゃないけど。

放課後、友人達と遊んでいる間に
ちょっとしたハプニング(誤解)で
化粧を落とすことになった星野。

結果的に、何も言わずに莉穂達
から離れてしまうことになって、
随分と心配をかけたようだった。

なんとか場所を変え、メイクを
し直そうと試みたのだけれど‥
どれだけやっても上手く出来ず
そのまま日が暮れてしまった。

莉穂達もいい加減諦めて解散
しているだろうと考えた小早川
だったけど‥そんなことはなく、
未だ星野を心配してみんなで
探し回っている様子だった。

星野に伝言を頼まれて小早川が
無事を伝えると‥莉穂はただただ
安心した様子を見せてきたんだ。

「よかったぁ……。」

怒るでも何でもなく、安堵した。
きっと‥彼女らにとって星野は
すごく大事な友人で、彼女らも
ものすごくいい奴らなんだろう。

隠さずに正直に打ち明けたって、
きっと嫌われることはないよね。
それを‥星野だって分かってた。
わかってる‥それでも話せない
理由が、そこまで頑なになる
理由が何かあるんだろうか‥?

小早川の過去‥今みたいに
異常にひねくれたきっかけに
なっている出来事が明かされた。

昔から大人しめだった小早川。
それとは別に、みんなに人気の
あるクラスメイトがいたらしい。

きっと誰にでも別け隔てなく
接するようなタイプだったのかな。
そんな彼は、小早川とも普通に
仲良くしてくれる良い奴だった。

それがある頃から‥イジメの
ターゲットにされるようになる。

(ヒーローなんてものにはいつ
だって敵が出来るってこと。)

いつだってクラスメイトの中心に
いた彼は、いつからか遠巻きに
されるような存在になっていた。

(気持ち悪い、何もかも。俺も。)

友達っていう繋がりを妙に
敬遠する小早川の態度には、
そんな理由があったみたい。

確かに‥人を信じることが、
友人という繋がりを信じる
ことが出来なくなるかもな。

毎度毎度、すっぴんがバレる
危険を冒してまで人を助ける
のには、理由があったみたい。

「あたし達のいる今ここが”こっち
側”っていうんなら、あたしは
“あっち側”だったの。むかしね。」

要するに‥昔虐められていた。
それを誰も助けてくれなかった。
見て見ぬふりをされ続けた‥
そういうのって、すごくつらい。

そんな子の気持ちがわかるから
放っておきたくないってんだ。
星野は強いな‥誰だって矢面に
立つ行動に出るのは怖いだろう。

周りを見て同じことをする
方が絶対に楽で安全だもの。

心ではそれが間違ってるって
わかってたって、実際に星野
みたいに行動できる人って
きっとほとんどいないと思う。

行動した所で、次のいじめの
ターゲットにされるのは
目に見えたことだと思うし。

きっかけはあるにしたって、
どうしてそんなふうに出来る?
星野は‥本当に強いと思う。

今回星野が飛び出してったのは
停学から戻ってきた加納達がまた
松方をイジメるのを見つけたから。

前回は人の少ない所で隠れて
やっていたことだったけれど、
今回は人混みの真ん中でまるで
見世物のような光景だった。

イジメ以外の何ものでもないのに。
ギャラリーは、イジメの光景を
面白がって動画を撮ったりする。
頭のおかしい連中だと感じる‥

そこに、ジャージ星野が乱入して
松方をかばって戦い出すと今度は
突然星野を応援し出し加納達に
ヤジやものを投げつけだした。

この変わりようは何なんだろう。

星野は松方を助けに入ったけど、
加納が松方をイジメてたのが今度は
ギャラリーが加納を集団で虐めてる
状態に変化しただけだったろうな。

その状況に苦しそうな表情を見せた
星野を見て‥小早川が行動に出た。
物を投げつけられる加納をかばった。

「誰か一人でも…黙ってドロップ
キック出来んのかっつってんだよ!!!

他人の正しさに、間違いに
乗っかんじゃねぇ死ね!!!」

人は弱いからすぐに集団に
流される‥それが全てでは
ないけど、きっとそういう
人だって多いんだろうと思う。

でもそれによって傷つく人がいるって
ことにちゃんと気付くべきだよね。

今回のことで、ギャラリーにいた
連中に‥そして松方を虐めてた
加納達に‥心になにか少しでも
変化があればいいなと思った。

大人数の前で偉そうなことを言った
小早川だったけど、その言葉は自分
に向けたものでもあったんだろう。
昔仲良かった例の彼を守ることも
庇うことも出来なかった自分を
ひどく後悔し続けているようだし。

その内容を星野に話したわけでは
なかったけど、卑屈になる小早川に
星野は自分も同じなんだって言った。
ただ一つ違ったのは、メイクによって
安心して帰れる場所があるということ。

小早川は星野に憧れたんだろう。
ヒーローになれる存在に、本当は
なりたかったんだろうと思う。

(それでもやっぱりお前みたいには
なれないこんな俺だけど、こんな
ことでしか力になれない俺だけど
---…どいうか今は---…。)

自分の出来ることから、それが
たとえ小さな1歩でも変わりたい
と思えたのかも知れないね。

「星野、目つぶって。」

この後‥小早川が星野に施した
メイクはもう‥完璧だった。
いつもの可愛い星野が完成!!

弓削先生がね、星野にだけメイク
が上手く出来ない理由を小早川の
気持ちの面に何か問題があるんじゃ
ないかって話していたことがある。

きっとそれは過去の後悔に関係
することだったのかもしれない。
自分はそんな気持ち悪いやつらと
同じ、星野には遠すぎるって‥

でももう、きっと大丈夫だね。
小早川はきっと前を向けた。

このお話は番外編で描かれた、
弓削先生が先生になる前の話。

美大を卒業してたのかな‥?
ひたすら絵の道に進んでいる様子で
でも絵画展では毎度選外‥星野から
したらそんな彼女はニートだった。

まだ星野は中学生‥中学デビューに
成功したばかりだったんだろうな。

この頃から、メイクへのこだわりは
どんどん大きくなっていったんだろう。
そんな弓削先生にとっての大事で
大好きな妹分の思いつきの発言。

お姉ちゃんが先生になればいいって
これがきっかけだったんだろうな。

なんだかすごく微笑ましい
心温まる番外編でした ♡

~ひとこと~

2巻でした!!
1巻だけでもすごく興味深い
お話だったけど、2巻でさらに
面白くなってきましたよぉ!!

でもね、メイク成功したね!!
気持ちの問題か‥引け目って
やつだったのかもしんないね。

人はみんなそんなに強くなれない。
何か支えになるものの存在って
きっと必要なものなんだろうね。

ずっと卑屈に行きてきた小早川に
とって、星野っていう存在は心の
支えになり始めてるんじゃないかな。

これからの彼らにどんな物語が
待っているのか‥また次巻!!
良かったらお付き合い下さい。