春待つ僕ら 第13巻

著:あなしん 先生

竜二さんのナナさんへの告白、
返事は残念ながらNoだった。
これまでの様子からナナさん
の気持ちは絶対竜二さんに
向いてるものだと思ってた。

でもナナさんは、学校の人で気に
なってる人がいると言ったらしい。

あとパティシエの勉強をするために
留学も考えてるとかで..失恋だね。

それ以降の竜二さんは、ナナさん
に気を使わせたくないからと前と
同じようにカフェに通い続けたし
ナナさんの前でも普通に笑ってた。

あとから美月がナナさんから聞いた
話だけど、その気になってるという
彼と付き合うという気はないらしい。

ナナさんの態度、なんだか気になる
所がちょいちょいあるんだけど..
何かまだ悩んでることでもあるのか。

竜二さんの失恋が、彼の思うままの
失恋ではなければいいなと思った。

「…ナナさんさ、なんか
言ってた? …俺のこと。」

吹っ切れたような態度を見せつつも
そう簡単に吹っ切れる思い出はない。
学校で美月と会うと、竜二さんは
そう聞いてきてた。気になるよね。

でもそんな時、カフェのマスター
が体調を崩し病院に運ばれたと
ナナさんから連絡をもらった美月。
体調は落ち着いてて1日検査入院
という話だったんだけど、心配した
竜二さんは慌てて病院へ駆けつけた。

病院につくと以前カフェに来ていた
ナナさんの友人達を見かける、中には
ナナさんに好意を持ってるらしい男も。

「ナナセは母親の時も経験してる
から慣れてんだよ。ホントカッコイイ
女だよ。アイツは。だから大丈…」

そいつがそんなことを言っていた。
竜二さんはナナさんが好きな相手を
多分こいつだと思ってるから、こんな
奴にって悔しく思う部分もあったろう。
私から見ても、あんな男嫌だわ.. 笑

その後ナナさんと会えて、少し話した。
ナナさん自身、先程の男が言ったように
慣れたもんだなんて口では言ってたけど
竜二さんが心配するのには理由があった。

竜二さんがナナさんに一目惚れした時、
カフェのお客さんとの会話を聞いていた。

「パパにまでいなくなられたらと
思うとね、怖くて仕方ないもん。
あたしが助けてあげないとね。」

母親を亡くして、その後父親の仕事を
一生懸命に手伝っているナナさんには
そんな思いもあってのことだったろう。

「綺麗で明るいけど儚くて女神の
ように優しい人だと思いました。」

そんな話を覚えててくれたからか、
または告白を断ったのにまた彼の
思いを聞いてしまったからなのか..

なんだか泣きそうにも見える表情で
俯いたナナさんを見て、また困らせて
しまったと立ち去ろうとする竜二さん..

「待って、ほんとは無理してた…。」

そんな彼をナナさんは慌てて呼び止めた。

「竜二君が好き。」

そうして、断った理由、ずっと
引っかかっていたことを口にする。

気になる人がいるなんて嘘、年の差とか
竜二さんは超絶ピュアだけど自分は彼が
ときめくようなこと既にいろいろ経験
してしまってるし、女神でもなんでも
ないし..憧れる気持ちはきっとあって、
でもどれだけ考えても自信がなかった。

「どう考えても自信ないんだもん…
傷つけたくなかったし、
ガッカリされたくなかったの。」

でもそんなナナさんを竜二さんは
そのまままるごと受け止めてくれる。
きっと、きっと大丈夫だと思うよ。

こうして2人は付き合うことになった。
不安に思う部分はきっと消えないけど
竜二さんに抱きしめられてドキドキ
したって、ナナさんは言っていた。
今までで1番ドキドキしたんだって。

そういう気持ちがあるなら、大丈夫。
2人で幸せになってくれたらいいな。

バレンタインのお返しにと永久達
4人はカフェの手伝いをしてくれる
ことになったらしい、貸し切りの
予約がある3/15に手伝いをお願い
することにした。そしてその前日、
3/14は永久の誕生日なんだという。

「浅倉くんはどんなことしたら
ドキドキしてくれるんでしょうか…?」

ナナさんが竜二さんにドキドキして、
竜二さんもナナさんにドキドキして。
そんな2人のことを知って、自分も
永久をドキドキさせたいと思った。

それを恭介さんに相談した美月は
押し倒しちゃえば?なんて言われたり
もしたけど最終的にカフェのみんな
にも手伝ってもらってサプライズ
パーティをしようと言う話になる。

貸し切りの日の前日に準備がある、
ということにして前日14日の夜に
カフェに集まるということになった。
もちろん、そこで行われる予定なのは
準備ではなくサプライズパーティだ。

サプライズ直前集合時間より少し早く
2人で会った美月と永久は、デートと
いうか、軽めに誕生日のお祝いしたり
しながら時間を潰す。お店側でお祝いの
準備が終わるまでの時間稼ぎだったろう。

誕生日プレゼントを選んだり、その後は
少しの間、カフェ?のような場所で休憩。
美月がほんの少し席を外した時、永久を
見つけたのは美月の友人であろう女子2人。

前に先輩達に嫌がらせをされていたことを
空気も読まず伝えた..ほんとやめてくれ。
今日永久の誕生日なんやぞ。てか何より、
そういう話を彼女本人以外から聞かされる
永久の気持ち少しは考えてくれよ..。

恭介さんかな?(眼鏡のアイコン)から
連絡が来て、準備が完了したことを
知ると美月は永久とカフェに向かう。

向かいながら、永久は先程聞いた
ばかりの話を美月に確認していた。

美月にとっては、あれ以降何もなく
落ち着いていたから言わなかった。
ただそれだけのことを言わなくても
いいと思っていたことだったろう。

「俺には言えなかったって
こと?原因が俺だから。」

そんなふうに話す永久は不機嫌..
今はもう大丈夫ということに安心
してはいたけど、最後にこう言う。

「神山サンなら気付けてたし、
美月もすぐ相談できてたと思うよ。」

美月の中では、そういう考えは
きっとなかったと思うけど、
永久はどうしても比べてしまう。
亜哉には勝てないって、今も
その思いが強すぎるのかな..。

気まずい空気のままカフェに辿り
つきドアを開けるとそこには…

何とも言えない光景が広がっていた 笑

みんなでお祝いのつもりが、2人で
お泊りするお部屋が用意されてた。

みんなを呼び戻そうとする

「いーよ、2人でやろう。」

こんな状況でどうしても緊張して
しまう美月。それも自分が恭介さん
にあんな相談をしてしまったから
だと焦り申し訳なく思ってしまう。

でも永久は永久で..

恭介さんとホワイトデーのお返し
の話をしていたらしいんだけど、

「夜一緒にいるには
どうしたらいいと思う?」

そんなことを話していたらしい。
夜に行きたい、連れていきたい
場所があるけど、夜遅くに外出
なんて親には言えないだろうし
手段はないか考えていたらしい。

それを聞いた恭介さんと、あと
ナナさんとかも考えたのかも。

遅くなるかもしれないし今日は
女の子たちは泊まっていく?と
美月に対してもゆってくれてて
その日お泊りセットを持参してた。

美月も、知らぬ間にサプライズ
に乗せられていたみたいです 笑

永久の話を聞いて、ケーキを食べた
あと2人でその場所まで歩くことに。

途中肝試しかってくらいどんより
した、足場の悪い道を登ることに
なっておんぶされることになる 笑

そうやって向かう間、永久はこれまで
の思い出話や、美月にも亜哉といろんな
思い出があるだろうなんて言ってくる。

「付き合ってからのほうが無意識
にそういいこと考えてた気がする。
こうやって一緒にいるようになっ
ても何一つ勝てないのかなって。」

どうしても、亜哉を思い出して
羨ましいって思ってしまうって。
そうして辿り着いた先は周りを木々
に囲まれ、でも少し開けてて星空が
綺麗に見える、そんな場所だった。

そこでくっついて話をしながら、
ホワイトデーのお返しにと可愛い
バレッタ貰って、いろいろ話した。

永久達と出会ってから、美月が
少しずつ変われたってことも。

亜哉との比較みたいなのは、永久が
どうしても思ってしまうことみたい
だけど、美月にとってはもう、永久
は何にも変えられない特別な存在。

この後、永久に押し倒されました。
ぎゅーしてちゅーしただけです 笑
でも2人にとっては、とても大切で
充実した時間になったんじゃないかな。

そして翌日..

「名前で呼べるように
なった。ね、永久君。」

もう少し進展するんじゃないかと周囲
は想像していたけど目に見える変化は
これだけで..さすが美月と永久だ 笑

春です、新入生も入学してきて、
バスケ部にはレンもやってくる。
また騒がしくなりそうな予感 笑

その頃、新歓祭でスピーチをする
ことになっている美月は、失敗して
しまわないよう一生懸命考えた原稿
を読む練習をレイナちゃんとしてた。

体育館裏で練習していると、すぐ
傍から女子達の笑い声が聞こえて..
除くと、そこには美月に嫌がらせを
してた例の先輩達が、レイナちゃん
の(腐)ネタ帳を見て笑っていたのだ。

そこで美月のことまで妙に言われてしまい、
レイナちゃんは誤解を解こうと立ち向かう。
自分がどうこう言われてるってことより、
美月をかばうために必死になってくれた。

この子、すごいよね。

趣味的な意味で、ネタ帳なんて
落としてしまったのはほんと
やらかしたなって感じだけど。

自分がそう言われることだって
気分良くないだろうに真っ先に
友達をかばう言葉と態度に出た。

かっこいいよな、レイナちゃん。
美月は本当にいい友達ができたね。
そしてあの先輩達ホント嫌い 笑

レイナちゃんと先輩たちとのことも
あって、翌日にある新歓祭でやる
スピーチに更に気合を入れる美月。

「全校生徒の前でやるってこと
はその人達も見るでしょ?見直
してもらえるチャンスだもん。」

そんなふうに話す美月だったけど、
それに対して永久はこう言った。

「明日は新入生のためにやるんだし
美月が一生懸命伝えたいと思った言葉が
1年生に伝わればそれでいいと思うよ。」

ごもっともだった。

過去にスピーチを失敗し笑い者に
されたことがあるという美月は、
今度は失敗したくないと立派な
スピーチ原稿を書きあげて練習..

していたんだけど、彼の言葉を受け
美月の中で気持ちが変わったんだろう。

スピーチの本とかたくさん読んで
立派な原稿にはなっていたと思う。
でもそれは決して、美月が新入生
に伝えたい言葉ではなかったろう。

新歓祭当日、原稿も持たずに壇上に
上がっていく美月..すごく緊張は
してしまっている様子だったけれど、
彼女のしたスピーチは、彼女らしい
新入生にまっすぐに向けられた
温かいスピーチになってたと思う。

きっと新入生にはちゃんと届いたよ。
いじめっ子の先輩たちは、普通だとか
文句言ってたけど、恭介さんの言葉も
あって..もう大丈夫じゃないかな。

これ以上手出ししてこないよね?
美月頑張ったね !! お疲れ様 !!

~ひとこと~

その後ナナさんは結局留学してしまう。
そんでも竜二さん達のインハイ予選 ? に
合わせて帰ってきてくれたり、まだまだ
ぎこちないながらも幸せそうにしてた。

美月と永久は相変わらず可愛らしいし、
恭介さんには実は想い人がいる.. ?
っていう新情報も出てきていたり 笑

一応最終巻だと思われていたんだけど、
まだまだ描ききれていない彼らのお話
はたくさんあるのかもしれないですね。

インハイ予選、その試合当日、亜哉も
元チームメイトの応援に来ていてこの
後美月の前にも顔を出すつもりらしい。

もうこの頃には、永久と亜哉の間に
ぎこちなさはなく良きライバルという
感じがして、とてもいい関係に思えた。

試合がどうなったか、なんて結果は
描かれていなかったけれど..実は今後
本編はこれで完結だと思うのだけれど
「SP番外編♪」ということで14巻出ます。

まだ少し先になりますが、本編では
描かれなかったお話てんこ盛りらしい
ので、本当の最終巻が14巻が出ましたら
またお付き合い頂けたら嬉しいです。