著:あなしん 先生

永久は初夢で試合の夢を見た。
試合ラスト、スリーポイントを
外して負けるという悪夢だった。
今回の大会、亜哉とのことや
美月のこともあってかどうしても
緊張してしまってるんだろうね。
そこに追い打ちをかけるように
悪夢を見て、大会が始まってから
もどこか永久は調子が悪そうだった。
調子の悪そうな永久を心配して、
美月は声をかけに行ったのだった。
夢での悪いイメージを払拭しようと
日々練習を続けるも、大会開始まで
そのイメージは頭の奥に残ったまま
だったのかもしれない。でもそれを
美月は意図せず塗り替えたのかもね。
きっと緊張は相変わらずだろう。
でも美月にこんなことを言われて
彼の中で勝たなきゃって気持ちは
更に強くなったんじゃないかな。
頑張れ永久。頑張れ清凌 !!

須藤が新歓委員のことで美月の
いる教室を訪ねてきた時のこと。
新歓委員のって言ったら、クラス
の男子が勘違いして永久を呼んだ。
「ああそうだ。春野が
代わったんだっけね。」
勘違いにはすぐ気付いた彼だけど
時既に遅し、須藤は勘違いをした。
(ここまで邪魔されるとね。)
恋敵だと思ってる子がそんな
ことしてたらそう思うもんかな?
理由も何も知らずに酷い誤解だ。
‥新歓委員中もその誤解でずっと
もやもやしたままだった須藤は
委員会なんて完璧に上の空状態。
心配して声をかけた美月だったが
結果的に2人でずっと話をしてて
その間に須藤が新歓委員の委員長
を押し付けられそうになっていた。
まるであの時の永久のような状況。
そして今回もまた、美月が立候補
して須藤の代わりに委員長に就任。
これで一応誤解は解けたのかな?
勝手に誤解して恨んでた誤解ね 笑
正直美月は自己犠牲気味だなって
思うし、それで誤解されてまで
どうしてそんなに頑張れるのか疑問。
でもそういうとこも美月のいい所
なんだろうね、挑戦って勇気いるし
苦手でも挑戦して頑張ることができる
のは、今の彼女の精一杯の前進だもの。
須藤から受けた誤解のように、結果
傷つく危険を増やしてしまうのは心配
だけど、彼女が頑張ろうと思ってる
なら陰ながら応援しようと思った。
そして、須藤との心の距離ももう少し
近く柔らかいものになればいいね 笑

清凌、鳳城ともに勝ち進んで、ついに
両校が当たる試合前夜。バイト上がり
の美月を送って行こう一緒に店の外に
出るとそこには亜哉の姿があった。
今日は美月を俺に送らせてと言ってくる
亜哉に対し、永久は動じた様子もなく
それを話したいことがあるから待ってて
ほしいと言って送りの件を了承した。
それに動じたのは言うまでもなく美月。
さらにはその話というのが問題だった。
例のリストバンドを試合が終わるまで
持っていてと美月に返してきたのだ。
「今はこれに縛られるのはやめよう。
美月にはこういう事抜きで神山さん
との事考える時間が必要だと思う。」
美月の反論を聞こうとはしなかった。
「大丈夫、俺の気持ちは
変わらないから信じて。」
あくまで美月のため、自分の気持ちは
変わらないからゆっくり考えてほしい。
永久なりに美月がちゃんと考えられる
最善を考えたんだと思うけど、あの時
美月かなり同様しているように思えた。
永久が美月にとっての亜哉のことを
ここまでまっすぐ考えてくれている
ってのは、本当にすごいことだと思う。
でも、不安だね‥美月大丈夫かな?

亜哉と美月の帰り道のことは、
大して描かれないまま試合当日。
亜哉と一緒にいても、美月の頭の
中は永久のことでいっぱいだった。
何かあったのか、何もなかったのか
わからないけどその後美月から永久
に対して何か連絡が来ることはなく、
きっと永久も内心不安だったろうな。
そんな状態で試合の相手は鳳城。
亜哉相手で容易な試合ではない。
点差はどんどん広がっていった。
そんな厳しい試合・休憩中かな?
観客席で美月は昨日のこと、自分
の気持ちについて話していた。
「あやちゃんとはもう話した。」
「昨日…あやちゃんとちゃんと
話して約束したから、今こう
やって浅倉君を応援できるんだ。」
前日、送ってもらうのは流石に悪いと
最寄りの駅まで逆に亜哉を送り見送った
後一人で帰っている様子が描かれてた。
でもその見送った後、亜哉は美月の
背中を追いかけてきていたみたい。
永久のこと考えて、泣いてる所に。
そこからは2人で話をした。
美月の抱えてる永久への想い、
永久や美月に対して亜哉が
思っていたこと、いろいろ。
亜哉はもう、もしかしたらだいぶ前
から覚悟していたのかもしれない。
美月から離れなければいけないって。
「実はずっと父さんに戻って
こいって説得されてた。向こう
のチームにも呼ばれてるし。」
最後に今もこれからも自分にとって
美月が1番だって、今の自分があるのは
美月がいたからだって言ってくれた。
そこで話したこと、勿論ここを
離れてアメリカに行くってことも
永久には試合終了まで伝えないと
いうのが、亜也との約束だった。
亜哉とはちゃんと話して、というか
自分で何も言えなくなってるのを亜哉が
言葉にしてくれたって感じだったけど。
複雑だな、美月はこんないい男を
振ったのか、とても複雑である 笑
そしてこんな失恋の後普段と変わらず
全力の試合ができるのは亜哉のすごい
とこで、彼の意地でもあるのかもしれ
ない‥どちらも全力で戦えますように。

序盤は永久の不調もあってかどんどん
点差をつけられたが、残り1分ちょっと
で試合が終わるという頃には鳳城73:
清凌63、10点差まで点差を縮めた。
でもそんな時、永久と亜哉はボールを
深く追いかけて大きく転倒してしまう。
亜哉を庇い下敷きになった永久は意識は
あったが直後頭から血を流し気を失った。
その後永久が欠けた清凌チームも
奮闘したものの、最終的に試合は
75:67で鳳城が勝って終わった。

試合が終わり、亜哉んも念の為病院
に行くようにと母親が迎えに来た。
2人で永久の話、美月の話をした。
敵を庇って自爆してしまった永久、
ありえないなんていいながらも、
そんな彼が美月には必要なのかもと
そういう意味では認めてるのかもね。
「美月が成長してもしなくてもそんなこと
どうでもいいと思ってたんだ。ずっと俺の
ことだけ頼って泣いて俺だけ見てそばに
いればいいのに-なんて、愛と言えば愛
なんだけど歪んでるよね。こんなだから
恋の良さもわからないのかな。」
歪んだ想い、確かに多少歪んでるかも
しれないけど、これが亜哉なりの
全力の愛情だったんだろうなと思う。
17歳が言うことじゃはないと思うけど 笑
母親の言葉で、亜哉はまた数年後の
美月に会いに来る宣言をしていた。
実際どうするかは別としても、亜哉
が美月にでもそれ以外でも、年相応に
恋ができる日が来たらいいなと思った。
でも出来たら、永久と美月はそっと
しておいてもらえるとありがたい 笑

永久はあの後会場の救護室?保健室?
または病院にでも運ばれたんだろうか。
ベッドで目を覚ました永久、美月は
大慌てで永久のもとへかけつけた。
永久を見て安心すると、美月は少しずつ
話し始めた。その後の試合のこと、会場
全体が応援してくれたこと、まだリーグ
戦が2試合残ってること、頑張ろうって。
そうして最後に、あの日返されたリスト
バンド、書きかけだった文字を最後まで
書いて改めて想いと共に永久に渡した。
~ひとこと~
ここで終わるんですね‥負けてしまい
不足の撤廃はできないままだろう。
そんな状況で、この先一体どんな
展開が待ってると言うんだろう。
引退まで待ってって言ったらきっと
美月は待っちゃうんだろうと思う。
でもそうじゃなくて、何かしらの
答えをちゃんと出してくれるよう
今はただ祈るのみ、2人に幸あれ。