その着せ替え人形は恋をする 第6巻

著:福田晋一 先生

今回のイベントはコスしたまま街を
歩いたり店に入ったりできるみたい。

そこで可愛すぎるレイヤーさん、
あまねさんと出会うことになった。

スカートのホックが壊れてしまった
ようで新菜が道具を持ってるからと
直すことを提案したはいいけれど、
新菜は女子更衣室に入れないし
あまねさんは男子更衣室に入れない
という状況では直せる場所がない。

そう思っていた時に予想外の
真実が明かされることになる。

「平気です。僕男なので。」

‥あまねさん、男性なの??
あまりに可愛らしい美少女で
どう見ても女の子だと思った。

いやー、びっくりすぎる 笑
そんなあまねくんとの出会いです。

あまねくんがコスを始めたきっかけは
何だったかという話題から、少し彼の
これまでの話をしてくれることになる。

コスやメイクの始まりは姉のきまぐれ
のようだけど、結果的に自分のことが
嫌いで自信がなかった彼が自信を持てる
ようになったのはコスのおかげだった。

コスをして自分以外の何かになれてる
間は自分のことが好きになれたって。
母親や姉は寛容で応援してくれてた
ようだけど、否定もされてきた。

大学に入ってできた彼女にコスの
衣装が見つかって、全否定だった。

この話を聞いてた時の新菜‥
自分の過去と重なったんだろう。
ものすごい怯えるような顔をしていた。

海夢は海夢で、明らかに大好きなもの
なのだと見ればわかるのに全否定して
捨てろなんて言ってきた元カノに対する
悔しさに堪えながらぼろぼろ泣いてたし。

でもあまねくんのすごいところは
あんなことを言われて彼女の方を
切り捨てたってところだと思う。

「納得してないのに
やりたい事を諦めた自分を
想像したら怖かったんだ。」

きっと彼はその時自分の中で何より
大切だったものを否定されたんだろう。

でも、自分の気持ちを自分で肯定した。
自分できちんと自分を守ることが出来た。

そう出来たのはやっぱり彼の強さだと
思うし、結果的に今それで自分が好きに
なれる自分でいられてるんだものね。

つらかったし怖かったと思うけど、
頑張ったね、選べてよかったね。

今回のイベントは、あまねくんが
初めて参加したコスイベントだった。

自分の中でしっかり答えを出して前に
進み続けてきた彼だけど、やっぱり
否定された時のショックや恐怖心は
簡単には消えず今もまだ残っている。

元カノみたいに全否定してくるような
人が他にもいないとは言い切れない。
イベント参加だってかなり勇気を
出したんじゃないかなって思う。

でも今日、このイベントで話した人は
女装だと知っても否定するような人は
誰一人いなかったし、むしろ元は男性
なのにここまで可愛いってことに感動
しているような人もいたように思う。

イベントに参加して、きっと海夢達と
こんな話ができたのも彼にとってすごく
いい経験になったんじゃないかな。

「来てよかった。」

あまねくんがそんなふうに思える
イベントになって本当に良かった。

イベント参加を終えメイクを落とし
私服に着替えてから3人は解散した。

うん‥あまねくん‥あまねくん
超絶美しょ…美青年やばいて 笑
キラキラしすぎててびっくりよ。

こんな天使みたいな美青年が女装が
趣味って言われたら見てみたくなって
しまうのが私の性格でございます。

でももしかしたら、こんなふうに
笑えるのもコスを続けてきて自分を
好きになれたおかげかもしれないね。

好きを貫いてきたからこそこんなに
幸せそうに笑えてる‥かっこいいな。

にしても‥なんだか素敵な
お兄ちゃんが出来た気分です 笑

男でもドキドキするくらい
奇麗なお兄ちゃんです。

次は『こちら月夜野♥カンパニ~』と
いうアニメのありしゃ(十六夜ありさ)
のコスをすることになりました。

衣装作りも慣れてきて、どんどん
衣装を作り上げていく新菜だけど、
一番肝心のスーツが上手くいかない。

海夢に相談して新菜の納得いく策では
なかったけど、試しということで追加
で必要なものを買いにお店へ向かった。

そこにはよく衣装のことで相談に乗って
くれる宇佐美さんって方がいて、今回も
新菜は彼に相談を持ちかけてみるが‥

実は今の今までコスするのは新菜だと
宇佐美さんは勘違いしていて、ここで
一緒に店に来た海夢を見てようやく
真実を知った宇佐美さんだった 笑

そんなこんなで相談してみると、案外
簡単な解決策が見つかったようだった。

きっとこれまでのようにたくさん
調べながら作っていれば気づけた
内容だったんだと思うけど、慣れて
きたからというおごりもあってか
今回は調べず作り上げたんだろう。

新菜は‥きっとすごく真面目なんよね。
だからこそ慣れによって手間を省いた
自分を許せなかったのかもしれない。

宇佐美さんは、間違いも楽しめばいい
と教えてくれて‥衣装作り云々の知識は
もちろんだけど年の功もあるだろうから
宇佐美さんから学べることはまだまだ
たくさんあるかもしれないと思った。

視野を広く持てるようになるのは
きっとよりよい物を作るためには
とても大切なことなんだろうから。

新菜はこれまでいろいろできすぎてた
ところもあったし、時には失敗して
反省してってのもいい経験かもね。

きっとこれから先、もっと成長できる。

「ごじょー君が困るかもって
露出対策ってやつ考えたから!」

衣装も無事完成しぴったりな
撮影スタジオも見つけ撮影当日。

新菜にとってとてもありがたい
言葉を向けてくれた海夢だったが
その対策ってのがストッキングの
下に肌色のストッキングを穿いた
って内容で‥撮影に支障がないのは
大事だけど視覚的に問題しかない 笑

(五条新菜 15歳 思春期
新菜にとってそれは
ただの『肌』だった。)

でも衣装もメイクもばっちりで
めっちゃくちゃ可愛かったです。

写真もいいのいっぱい撮れたみたい
だし‥でも新菜の集中力皆無すぎて
常に動揺してて少し可哀想だった 笑

ハロウィンにいつメンでコスする
イベントに海夢は新菜を呼んだ。

前回のありしゃコスのバニー衣装を
使って、ストッキングだけ他にも
気になってたのに変更したのかな?
今日も今日とて最高に可愛いです。

衣装の勉強になるかもと思って参加
してみる新菜だったけど場違い感を
覚えてしまって一人落ち着かない。

あ、うさぎのきぐるみが新菜です 笑

コスの海夢の衣装やメイクを新菜が
担当してるのは他のみんなも知って
いるみたいで、一人の男子にどうして
出来るのか疑問を投げかけられた時、
新菜は過去のトラウマを思い出した。

あまねくんと会った時、彼の元カノ
の話を聞いた時も新菜は自分の過去と
重ねて考えてしまってたようだし。

いろいろ経験して前より余程自信は
ついてきてると思うけど、それでも
やっぱりトラウマになってるものは
簡単には消えてくれないんだろう。

でも新菜が口を開けずにいるうち
周囲で話は進んでいき、その場には
新菜が心配したような言葉を向けて
くる人なんて一人もいなかった。

そこでようやく気がつく、雛人形を
好きなことで昔自分に気持ち悪いと
否定する言葉を向けてきたことがある
のはのんちゃんって女の子一人だけ。

(……――俺、のんちゃんにしか気持ち
悪いって言われてない…ような…。)

たった一度きりの出来事で
みんなそう思うものなんだと
決めつけてたのかもしれない。

中にはそう思って口にする人も
いるかもしれないけど、そもそも
海夢の友達にはそんなことを言う
人はいないだろうとも思った。

だって海夢そういうの嫌いだし
嫌いな人とは関わらないもん。

きっと不安な気持ちはまだあるかも
しれないけど、少しずつ人を信じて
自分でも自分で受け入れてほしい。

最終的には、自分はこれが好きなんだ
これが楽しいんだってことを自分自身
周りに恥じることなく思えるようになる
のが彼にとって一番大切だと思うから。

~ひとこと~

海夢の友人達とのイベントで新菜が
いろいろ考えてしまっていた時に、
海夢の女友達がこんなことを言った。

「五条君と海夢って付き合ってんの!?」

歌ってたのにマイクを通して突然、
下手したら歌に乗せて言ってたぞ 笑

そんな言葉に新菜がジュースを
吹き出したところで6巻は終了。

まあ慌てて否定するのが想像できる
けど、そんなことされたら海夢は
ちょっといじけるかもしれない。

そんな感じで次巻に続きます。
‥急にそんなことを突っ込まれて
進展に向かったりするんだろうか。

ちょっと楽しみです。