その着せ替え人形は恋をする 第2巻

著:福田晋一 先生

衣装完成後撮影やお披露目の場として
イベントに参加したいという話から、
そのイベントがいつあるのか訊ねると

「あ、丁度二週間後にある…。」

そう口にした後電車に遅れると
言って帰っていってしまった海夢。

初めての衣装作りでどれくらい
時間がかかるかもわかってないのに
まだ手つかずの状態で期限は2週間後。

さらにそこから先、焦る気持ちとは
反対に突然祖父は倒れてしまったり
急な工房見学のお客さんが来たり、
学校ではテストがあったり大忙し。

そんな中でも衣装作りを可能な限り
進めていた新菜だったけど、その間
雛人形の方の練習は一切できずもう
何日も筆を握っていない状態だった。

そこまでやっていても
衣装作りの進捗は芳しくない。

どう頑張ってもいろいろ中途半端な
状況に、新菜は精神的にも体力的にも
いっぱいいっぱいになってしまってた。

頭痛に吐き気、体調も最悪で、そんな
状況でふと思い出したのが祖父の言葉。

「お客さんの笑った顔見ると
やっててよかったなって思うしなぁ。
喜んで欲しいからしんどくても
頑張れるもんだぞ。」

海夢が喜ぶ顔を思い浮かべて、フラフラ
だっただろうに新菜は涙を浮かべながら
衣装作りをやり続け‥イベント当日の朝
ギリギリではあったが無事完成させた。

イベント当日の朝 6:20 。
徹夜して作ってたんだろう。

「出来ました。寝ます。」

新菜がそう連絡を入れると
海夢は五条家にやってきた。

でもここで誤解があったと気づく。
海夢はこの日のイベントに出る
つもりはなかったようなのだ。

この日イベントがあるのは事実だけど、
衣装作りにどれくらい時間がかかるか
わからないし新菜が完成させるまで
全然待つつもりでいたらしかった。

ここ最近いろいろ大変そうだった
のは知ってたのに、そんな時に衣装
作ってくれてたと気付かなかった。

感謝はあったろうけど、後悔とか
申し訳無さの方が大きかったようで
海夢はぼろぼろと涙をこぼしながら
新菜に謝ることしかできなかった。

でもきっと新菜がほしかったのは
そんなものじゃなかったよね。

喜んでもらいたかっただけなんだ。

だから泣きながら見せてくれた
嬉しそうな笑顔に、新菜は
救われたんじゃないかな。

最初は嬉しさとか興奮で雫たんコス
してるのにがっつりニヤけちゃって
ただの雫たんコスの海夢だった 笑

そこからアンバランスだった
和室背景も少し工夫して違和感
ない白い背景に変えられたし。

あとは新菜が作った衣装とメイクに
海夢も本気を出したら‥雫たんやん。

なんかもう、ただただすごいなと‥

この後もいろんなポーズでたくさん
写真を撮ってて‥寝不足と疲労と完成
させた満足感でテンアゲ状態の新菜の
様子がやばげでちょっと危険だった 笑

いやー‥でもほんっとすごいんです。
新菜の持つ技術と知識と努力、海夢の
キャラ愛と演技力どれか一つ欠けても
ここまでできなかったんだろうなと
思ったら嬉しくて仕方がなかった。

「明日のコスイベ行っちゃおっか!」

初のコス衣装でたくさん写真を
撮ってもらった勢いで海夢は
新菜にそんな提案をしてきて、
海夢に押し切られる形で2人は
翌日イベント会場にやってきた。

そこには性別に関係なく自分の
好きなキャラクターのコスをして
それぞれに楽しんでいる人ばかり。

海夢も初めての参加だったけどこの
コスだ、目を惹かないわけがない。

撮影いいですか、と声をかけられて
撮影が始まったため少し離れた所で
様子を見ていた新菜だったけど、
気がつくと海夢の前には行列が 笑

楽しそうな海夢を見て、コス衣装を
作るという約束をきちんと守れて
良かった‥そう思った新菜だった。

でも約束を無事守った今、こうして
海夢と過ごすのも終わりだと自覚する。

話したことすらなかった人気者の
彼女とこんなふうに一緒に過ごせる
なんてあの頃は思いもしなかったろう。

懐かしむように惜しむように、少し
寂しそうな表情を浮かべていた時、
海夢はふと新菜の方を向いてすごく
‥本当にすごく奇麗な笑顔を見せて
そのまま新菜のところへ走ってきた。

奇麗だって、新菜も
思ったんじゃないかな。

心臓をギュッと掴まれるような
感動とか高揚感とか緊張だとか。

このあと新菜の表情は走ってきた
海夢の一言によって固まるわけだが、
ほんっと‥海夢奇麗だったなぁ。

「あのねっ、あたし…服脱げそう!」

「なんですって?」

ドキドキが一瞬で冷める音がした 笑

服脱げそうはちょっと焦ったけど
それ以上に結構な夏日に厚手の生地で
作った黒い服を着ていたことで熱中症
になりかけたことの方が危険だった。

あくまで熱中症対策のためだったけど
新菜が、俺は一体何をさせられてるんだ
的な状況になってたのは少し笑った 笑

いろいろあったけどイベント参加は
無事終わってここは帰りの電車の中。

もうこんな時間は終わりのつもりで
これまでのお礼を口にする新菜だけど

「次何のコスしよっか?」

新菜にとってはあまりに想定外な
発言だったらしく、しばらくの間
めっちゃ混乱してる様子だったけど、
それ以上に嬉しいの方が大きかった。

寂しそうだったものね、すごく。
海夢の一番好きなキャラは50人いる
らしいから、そしてヲタクの推しは
どんどん増えていくものと思うから
きっとこれから先長くこんな関係が
続くんじゃないかと勝手に思ってる。

新菜、嫁にでも行きそうな勢いで
笑っちゃったけど、良かったね。

これからもこんな日々は続きそう。

ここ最近のことや慣れない場所で
慣れないことをしたのもあってか
電車の中でうとうとしだす新菜。

眠かったら寝ていいよと言いつつ
イベントで感じたこととかを語る
海夢はあるレイヤーさんがすごく
奇麗だったと口にしたんだけど‥

寝ぼけている新菜は多分その奇麗って
言葉であの衝撃を思い出したんだろう。

すごく奇麗な笑顔を見せてくれた海夢を。

「…はい…。喜多川さん…
とても奇麗でした……。」

そう言って寝落ちした 笑

彼にとってかなりこだわりのある
言葉を向けられ、驚いただろうね。

顔真っ赤にして固まっちゃってた。
わー新菜、なんて罪な男かしら 笑

その後は新菜の家に寄ってウィッグ
を洗ったりしてたんだけど、もう
海夢には新菜がキラキラして見えて
しまって意識して仕方ない状態 笑

そこにようやく元気になって親戚の
家から戻ってきた祖父が帰ってきて
顔を合わせることになるんだけど‥

新菜の手には雫たんの服、隣には
女の子‥おじいちゃん再び誤解。

多分これらの誤解の始まりは新菜が
衣装研究のためにヌル女のゲームを
プレイしてて音ダダ漏れだったから、
多分それでびっくりしたところから
続いてたんじゃないかなって思う 笑

実は倒れた時も、衣装用に新菜が
買ったストッキングを見てびっくり
して転倒し腰を打っちゃったのよ。

新菜は転倒した理由までは気づいて
なかっただろうけど、一先ずちゃんと
話して誤解は解けたようで良かった 笑

そんな話もありつつ、新菜と海夢と
おじいちゃん3人で話してたんだけど、
話題は新菜が作った衣装に移った。

新菜とおじいちゃん2人で衣装について
いろいろ話をしているところを見ていた
海夢‥何この子、ちょっとおもしろい。

もう、新菜の全部がよく見えて
仕方がないって感じで大暴走。

1人でときめきまくっていたところに
空腹による腹の虫が盛大に鳴った 笑

可愛すぎるな、もう、何なん 笑

きっとあの奇麗って言葉がきっかけに
なって好きになっちゃったんだろう。
新菜はぜーんぜん気付いてないけど 笑

いやはや、とんでもなく可愛らしい。
海夢の恋はどうなっていくんでしょう。
今後のコスもめっちゃ気になります。

あと新菜の作ったご飯がすごく美味し
そうで私も食べてみたくなりました。
食べてる海夢幸せそうな顔してたし。

逆に海夢の料理‥は料理と呼べる
代物ではなく栄養も偏りまくりで、
心配したおじいちゃんがうちでご飯
食べなさいって誘うレベルでした 笑

‥いろいろ話逸れましたが、コス
だったりの本筋とあまり関係ないこと
でも少しずつ彼らのことを知れるのは
愛着もわくし嬉しいところです。

~ひとこと~

2巻‥いろいろありましたが1巻
以上に海夢が大好きになったし、
新菜のかっこいい部分も見られて
読み終わった今充実した気分です。

新菜も男子ですから、可愛い女子で
ある海夢にを意識してしまうことは
あるけれど、それはまだ恋じゃない。

新菜はまだ全然そういう感覚はない
状況だと思いますが、ここでいっきに
海夢の方が恋に落ちてしまいました!!

ラブ要素もめっちゃ気になりますが、
2巻の最後見慣れない女の子が五条家
の前に現れるところでおわってます。

その正体はまた次巻でお話する
ことになりますが、彼女は何者で
お話にどんな動きがあるのか‥
もうね、楽しみしかありません!!

少しでもこのお話の魅力やおもしろい
ところをお伝えできてたら嬉しいです。

よかったらまたお付き合いください。