パパと親父のウチご飯 第10巻

著:豊田悠 先生

幼稚園で見かけた千石の母親。
晴海が言うには、千石に子供が
出来たことを知ってずっと我慢
していたけど孫の顔が見たくて
来てしまったということらしい。
話しかけたり、祖母だと名乗る
ような様子はなかったという。

千石にとっては決していい思い出
などない、怒りの対象だったろう。
でもそんな千石に、晴海は一度
会ってみてはと連絡先を渡した。

思い切り拒絶されてしまったが、
晴海は諦めるでもなく千石母に
子供達の写真を見せに会っていた。

お母さん、決して悪い人では
ないんだろうって印象だった。
むしろ優しい女性なんだろうと、
ただ少し不器用だったのかなと。

シングルファザー同士でルーム
シェアしているという今の状況に

「いいんじゃないの。よく考えたね。」

いつかの、彼らを蔑むような目で
見てきたお母様達とは全然違った。
偏見で物を言うような人じゃない。
何よりちゃんと息子のことを大事
に思っているんだろうなと思えた。

母親としてきちんと子育てをしては
来られなかった過去は変わらない。
それでもこれから、向き合い直す
ってことは出来るんじゃないかな。

断ろうとする千石母をちょっと強引に
家に招待したのは晴海だった。勿論、
それを千石に言うことをせずにだ。

子供達を連れ家に帰ってきた千石は
母親を見て随分怖い顔を見せていた。

「なんでこいつがここにいる。」

そのままろくに会話することもなく、
千石は愛梨を連れ家を出てしまう。

空腹の愛梨を連れて、財布も持たず
家を出てきてしまった千石はその後
おばーちゃんを頼り家にお邪魔した。

千石母に愛梨のことを話したのは
実はそのおばーちゃんだったみたい。
おばーちゃんも同じ子を持つ身で、
息子を心配したり成長を喜んだりして
いる彼女を放っておけなかったって。

ご飯も頂いて、その日はそこで一泊。
急に母親が目の前に現れたら気持ちの
整理も出来ずに逃げたくもなったろう。
それでも、あの頃の母親がどれだけ苦労
したか同じように子を持つ親になった今
だからこそ理解はできるようにはなった。

(熱のある愛梨を一人で置いて
出たり恋人を作って家に連れ
込んだりとか俺も晴海も絶対
しないって思うのは傲慢なのか…?)

理解は出来るけど、どうしても苦い
思い出が邪魔して母親を許せない。
それを理由に家を出てきてしまって
晴海親子にも心配かけちゃってね。

しんどいかもしれないけど、過去の
トラウマを克服できた晴海がいる。
背中を押してくれてる、そして今
自分には大事な愛梨って娘がいる。

変わるいい機会なのかもしれない。
きっと怖いし、苦しいとは思うけど、
千石は一人じゃない、きっと大丈夫。

頑張れ、千石 !!

母親ときちんと向き合おうと心を決め
家に帰ると晴海は温かく迎えてくれた。
そういう人の存在ってほんと心強い。

いろいろ迷惑をかけたこと、酷いこと
を言ってしまったことを千石は謝罪。
すると晴海は晴海で強引にやりすぎ
たんだと反省しているようだった。

「で、母親に会おうと思って。」

「…協力してくれるか。」

改めて、母親にきちんと会うため
晴海にも協力してほしいと頼む。
手段として、千石・晴海・子供達と
千石母で集まってピクニックを企画。

どこかぎこちない様子からの再会
だったけど、そんな中で、千石なりに
気づけたことも会ったようだった。

母親との記憶にはいい思い出だって
あって、ただそんな中で寂しく孤独
を感じたその時の辛さが残ってた。

息子の想いを聞いて、ゴメンと涙を
浮かべながら謝る母親だったけど、

「もういいんだ。俺には
こいつらがいるから。」

「…あんたは昔自分も俺もハズレ
みたいなもんだって言ってたけど俺は
そう悪くなかったと思ってるよ。」

今があるから千石は過去を受け入れること
ができた。みんながいたから向き合えた。
ちゃんと母親に向き合って、会話をして、
きっともうこの2人は大丈夫だと思った。

最初家で会った時は、愛梨に自分の
母親のことを知らない人だと千石は
言ってたけど、今度ちゃんと自分の
おふくろだって、母親だって伝えた。
これからも少しずつ関わってって、
きっとまたいい関係になってけるね。

愛梨と清一郎は幼稚園のお泊り会、
珍しく呑みに出かけた2人だけど‥

晴海は清一郎が心配で仕方ない様子。
愛梨に関してはそこまで心配してない
千石だったけど、将来の愛梨を思うと
どんどん表情が曇る千石であった 笑

2人とも、我が子が可愛くて仕方ない。
きっと今が1番可愛い時期だろうな‥

子供の成長はあっという間だろうし、
女の子なんてマセてるから余計に
早く独り立ちしたがるかもしれない。

そうなったら千石酷く落ち込みそう 笑
あっという間かもしれない、大変なこと
だってきっとたくさんあるけど、今の
一緒の時間を大事にしていきたいよね。

愛梨はしっかりもののお姉さん気質で
心細くなってる友達を元気づけられる
くらい、全然余裕そうに過ごしていた。
そして心配していた清一郎も、随分と
その場に馴染んで楽しそうにしていた。

ただ、明朝‥まだ5時前とかに目が
覚めてしまった愛梨は、急に心細く
なったのか二度寝することも出来ず
そこからずーっと起きていたのかも。

先生達が朝ごはんを作る音に気づき、
一緒にお手伝いをした。その最中も
親父のことを思い出し泣きそうになる
のを我慢して、我慢して、我慢した。

その日はみんなでご飯を食べて
お泊りはお終い、だったのかな?
千石が2人を迎えにやってきた。

迎えを待つ間ずーっとそわそわしてた
愛梨は親父の顔をを見た途端ダッシュ
して、千石にぎゅっと抱きついてきて
そのままべったり離れなくなった 笑

愛梨、よく頑張ったね。
お迎え来るまで寂しかったの
涙我慢して乗り切ったものね。

前日、将来のことを考えて寂しく
なってたのも相まってか、その後
千石はずっと嬉しそうに愛梨の話。

可愛くて可愛くて仕方ないよね。
たまに憎たらしいがきんちょだけど、
やっぱり我が子って可愛いだろう。

いいね、子供って可愛いよね。

先日愛梨と千石がお世話になったお礼も
兼ねて、菓子折りを持っておばーちゃん
の家を訪ねた4人。愛梨と清一郎は家に
いる猫達(ハルとコテツ)と遊べるのを
楽しみにしてやってきていたんだけど‥

ハルはいたけどコテツが見当たらない。
何も知らずコテツ捜しを始める2人だが、
おばーちゃんの様子がおかしく、聞くと
コテツは寿命で亡くなったのだという。

「2人共もう年長ですしきちんと教えたほう
がいいかと。つらいですが、命は替えが
きかないものだと知る時期だと思います。」

晴海の提案で、死というものを教える。
コテツにはもう会えないという事実も。

2人ともとても寂しそうな表情を見せた
けど、現実をきちんと受け止めたみたい。
コテツとずっと一緒に育ってきたハルが
最近元気がないと知って、ハルのための
ご飯を作るのを手伝ったりもしてね。

ハル用とみんなの分、ご飯が完成して
食卓についた時、台所から物が落ちた
ようなガシャンという音が聞こえて、
行くとそこには落下した、コテツの
好物だった煮干しの袋とハルがいた。

ハルは煮干しを食べなかったというのに
この状況、それを見て清一郎は口を開く。

「…ハルじゃないよ、コテツだよ。」

「…そうだったの、ずっと一緒にいたのね。」

おばーちゃんは涙を浮かべながら
そう言ってハルを抱きしめた。

清一郎には本当にコテツが見えていた
のかどうなのかは謎だけど、清一郎の
言葉にきっとおばーちゃんあったかい
気持ちになったんじゃないかなと思う。

たくさん思い出があるから寂しくない
なんて言ってたけど、たくさん思い出
があるからこそ寂しくもなったろう。

清一郎の言葉で、少しは寂しさも
紛れることになるかもしれないね。

こちらはおまけマンガ的なので
描かれていたお話なんだけど‥
実はこれまで清一郎は愛梨の親父を
どう呼んでいいかわからずいたらしい。

そこで、好きになんて言ったのが
悪かった、愛梨が親父って呼んでて、
晴海のことはパパさんて呼ぶから ‥

「おやじさん…?」

これはね、うん私も吹き出します 笑
清一郎可愛すぎるよほんとにもう www

あいりパパ、うんそれがいいよ清一郎。

~ひとこと~

清一郎のおやじさんがしばらくツボで
笑いが止まらなくなってた私です 笑

10巻温かい感じで終わり安心してます。
9巻ラストはちょっと不安でしたからね。

将来のことを考えて寂しくなる親心。
たった一晩離れただけで再会してから
べったりと、離れたがらない子供心。

どちらもすごく微笑ましかったです。
「死」ということについては、正直
いい年齢の大人な私でも慣れません。

まだ子供の頃から身近に死を感じる
ことはありましたが、余計に死に対する
恐怖心が強くなってしまってる私です。

愛梨や清一郎のように、まだあんなに
幼いのにしっかり受け止めて気持ちを
整理できる、そういうのは必要ですね。

まだ幼いからこそ、そういうことは
ちゃんと教えていかないといけない
大切なことだと考えさせられました。

‥なんだが真面目なことを言ってしまい
ましたが、今回も素敵な物語でしたね。
よかったらまた続きもお付き合い下さい。