著:豊田悠 先生

晴海と千石が出会ったのは千石がまだ
高校生だった頃‥就活中にギックリ腰
になって、入った整体に千石がいた。
そこから面接先まで千石がバイクで
送っていってあげて‥ってとこまでは
以前も描かれてたんじゃないかな。
後日菓子折りを持った晴海が千石の
家までお礼を言いに来た‥その時
千石は親と揉めている最中だった。
「俺高校出たら働くつもりだから卒業
でも中退でもどっちでもいいんだよ。」
そんなふうに言って、勉強を
する気のなかった千石をその
気にさせたのは晴海だった。
ちゃんと卒業することを進めた
晴海に冗談でこんなことを言う。
「じゃあおにーさんが勉強教えてよ。」
まさかの快諾されてしまう(笑)
千石の部屋に勉強を教えに来る晴海。
腹が減ったからと作った焼きそばを
出せば満面の笑みを見せてくれた。
晴海の人の良すぎる行動に、最初は
疑問を持つこともあった千石だが、
彼の誠実さを見て真面目に勉強した。
追試は無事合格‥その後高校も
ちゃんと卒業することが出来た。
元々問題行動が多かった千石だが、
晴海と会って彼の誠実さに触れて
そういう行動が減ったように感じた。

高校を卒業すると千石は整体で働いた。
そのうち、エステで働いていた真希と
付き合う‥でもそこにはロマンチックな
ことなど何一つなかったと千石は言う。
整体師の資格をとるために専門学校
に通いながら働いていた千石だが、
学費は全て自分で払うしかなかった。
おかげでいつも金欠、デート代も
ろくに出せない状態だったんだ。
いつもいつも、真希に支えて助けて
もらってばかりの日々だったんだろう。
ひたすら愛情を注がれ、でも返し方も
わからず‥それでもいつかは自分が
真希を幸せに出来ると思っていた。
でもその日はいつまで経っても来ず、
くだらない理由で喧嘩、真希の転勤を
きっかけとして2人は別れてしまった。
‥それから数年後、真希が愛梨を
預かって欲しいと言ってきたのだ。
この時千石はどうして本当に自分の
子かもわからない愛梨を預かったか
わりと疑問ではあったんだけど‥
「愛梨は俺に任せて思いっきりやって
こいよ。やっと”いつか”が来たんだ。」
千石の言う”いつか”は、真希が夢を
叶える時っての以外に、自分が真希
を幸せにとまではいかなくとも、恩
を返す時みたいな意味もあったかも。
やっぱりこの2人が別れたのは、不運
な事故みたいなものだった気がする‥
またいつか、真希と千石、愛梨の3人が
同じ場所にいられるようになったら、
今度こそ幸せになれる気がしている。

愛梨を預かって少し経った頃‥
一応、愛梨は真希が仕事で遠くへ
行くということもわかった上で
千石に預けられたことは知ってる。
いいよと自分で真希を送り出した。
その言葉が母親を思っての精一杯の
強がりだったのか、その時は本当に
大丈夫だと思っていたのかは謎だが‥
実際千石の元へやってきてそう経たぬ
うちに、愛梨はぐずりだしてしまった。
千石見た目は怖いし、部屋からは
毎日女の子の泣き声がするしで
そのうち通報されてしまう始末。
でもそのうち千石は怖くなった。
いつか自分も暴力を振るってきた
自分の父親のようになってしまう
んじゃないか‥その頃はちょうど
真希とも連絡が取れなくなってて、
それが余計に千石の不安を煽って
しまってたんじゃないかと思う。
ちなみに連絡がつかなかった理由は、
携帯をスられていたらしい(苦笑)
そんなある日‥同じ園で晴海と
再会することになったのだ。
「…俺わかんねーんだよな。いい
父親ってどういうものなのか。」
「千石くんがこんな父親が
良いなって思う理想の父親に
なったら良いんじゃないですか。」
それまで、弁当を食べさせようと
していた千石だったがこの日は
自分でチャーハンを用意した。
昔真希が美味しいと言ってくれた
チャーハンを作って食べさせる。
お弁当の時は泣きわめいて暴れて
ろくに食べてくれなかったのに、
今度はちゃんと食べて‥ママのと
同じ味がするって‥千石が作った
のを真希も覚えて作ってたのかな。
最初はなんだって上手く行かない。
こうやって少しずつ‥今みたいに
変わっていったんだよね、お互い。

千石と晴海の久々の再会には、
お互い子供たちが一緒だった。
そんなある時‥いつまでも清一郎を
迎えに来ない晴海を心配して様子を
見に行くと‥家でまたギックリ腰(笑)
離婚してからというもの、親として
清一郎に何もしてあげられなくて、
身の回りのことも出来ないことが
多いと気付いてしまい、晴海は
自分を父親失格だと話していた。
「自分で決めたことですから。」
どんなにくじけそうになっても
自分で清一郎を育てていくんだと
決めた‥やりぬく覚悟をしていた。
晴海の言葉を、想いを聞いて、千石
も立ち向かおうと思えたんだろうな。
愛梨の誕生日の日、自分なりに精一杯
頑張ってプレゼントを用意して料理も
豪華なものを用意しようとしていた。
出来るかどうかでなく‥やるしか
ないだろうって、自分で決めたから。
高校生の頃の千石は、自分の父親の
こともあって子供は絶対につくらない
と言い張っていたけど‥今回愛梨を
預かると決めたのも自分だから。
立ち向かっていこうと思えた。

どうしても、自分と父親を重ねて
考えてしまうことがあるのかも‥
でも、こんなふうになりたくないと
思えば思うほど必要以上に意識して
しまうことはあるのかもしれない。
意味を考えれば全然違うことも、
似ていると感じてそれをすること
が怖くなってしまうってこともね。
そうやって…怒り方ってのはもちろん
あるけど、ちゃんと怒らなきゃいけない
場面でまで何も出来なくなっちゃダメだ。
晴海の言葉を受けて‥千石は少し
気持ちが楽になったんじゃないかな。
自信のないことだらけだったもの、
間違ってない、必要なんだと肯定
してくれる人の存在は大きいよ。

今度は晴海sideのお話。
千石がいろいろ葛藤していた
ように、もちろん晴海だって
ずっと葛藤して生きてきたんだ。
そんな晴海の背中を押してくれた
のは千石だったんだって、今まで
支えてきてくれたのは千石だった。
‥まあ、千石にはその自覚は全然
ないんだろうなと思うけどね(笑)
既に互いに支え合ってやってきた
結果が今だって‥この2人はずっと
気づかないのかもしれないな~(笑)

平和で幸せな1日を送っていた
晴海&千石家‥その頃、晴海の
職場に現れたのは山代先生。
晴海が包丁を持てなくなった
原因になった作家先生です。
これが、この先どんなお話に
繋がっていくのか‥波乱で
なければいいと願いたい。
~ひとこと~
パパと親父のウチご飯8巻でした!!
今回は過去の振り返りがメインに
描かれていた巻でしたが、今まで
明かされなかった内容もいろいろ
と詰まっていて個人的にはすごく
大事な巻だったなと感じています。
過去のそれら全てを経由して、
今の彼らがあるんですからね。
でもラストはね‥ちょっと怖い。
良い予想をすれば、謝罪と今後の
前向きな思いを伝えに来てくれた
っていう‥のだと良いなと願いは
しますが、彼目が死んでます(焦)
あの描写だけだとやっぱ怖い。
真相はまた次巻までわかりませんね。
何言っても仕方ないので、また9巻が
出るのをのんびり待つとしましょう。