著:豊田悠 先生

「初めて愛梨が家に
友達つれてくんだから。」
そう言ってテキパキと掃除
やら何やらをこなす千石…
なんかもう立派な主婦だわw
シングルファザー同士の生活。
影でいろいろ言われることも
ようやく少し落ち着いてきた今。
ついに友達を家に呼ぶまでに。
そういう理由で更に評価を
上げてやろうと気合を入れる。
「ここはいっちょガツンともてなし
てギャフンと言わせてやらねーと。」
そう意気込んで、みんなで手作り
ピザを企画した千石だったけど…
「ママが、あいりとせいいちろうんち
へんだからあそんじゃダメだって。」
遊びに来ていた子の1人、健くん
がそんなことを言い出した。
そういう世間の目。噂こそ
落ち着いても、簡単に信頼
を得るのは無理な話だろう。
見た目が怖いからってわざわざ
前髪おろしたんだよね千石w
それに対して愛梨のはっきりしたこと
…これも千石がちゃんとそういう話を
して教えていたから答えられた話だ。
千石の教育はすごいな、とてもいい。
後から大急ぎで健くんを迎えに来た
母親…始めこそさっさと連れ帰ろうと
している様子だったが、帰りたがら
ない息子と、千石からの一緒にピザ
を食べていきませんかというお誘い
に渋々その場に残ることにした。
でもその結果、この家の評価も
大分よくなったんじゃないかな?
…と、満足げな千石だったが、
奥様&チルドレンがご帰宅の頃、
ちょうど帰ってきた癒し系(晴海)
によって全部持ってかれた感…w
どんまい千石ww

突然家に、晴海母がやってきた。
観光のついでに立ち寄った…それが
本来の目的だったようだけれど…
つい先日の千石が帰ってこれなかった
日のことを中途半端に愛梨に聞いて、
ひどく心配になってしまったようだ。
息子の意見を尊重しようとしていた
のに、突然手のひらを返したように
宮崎に晴海と清一郎を連れて帰ろう
とするようなことを言ってきた。
心配…なんだよね。気持ちはわからなく
もないけれど、そんな調子で晴海の話
にもろくに耳を傾けてくれなかった
彼女に、千石は謝罪とお願いをした。
次の日の朝には、千石と晴海母は
妙に仲良くなっていて、晴海の方が
気まずそうになっていて少し複雑な
感じだったけど…千石は顔怖いのと
口悪いの以外ほんと素晴らしいな。
…旦那に欲しいわ←
そんな感じで、料理教室のママさん
達からも、最初怖がられてたのに
途中から狙われておりましたww

宮崎から東京に出てきた晴海。
彼の仕事に関して両親…特に
父親の方は認めていないらしい。
母親にも、少々嘘を付いている
ところもあるとかで…でも晴海は
それでいいとずっと思っていた。
でも千石に話してみて、少し
考え方が変わったのかもしれない。
『たとえわかり合えなくても、伝え
なきゃいけない言葉があること。』
「だから宮崎には帰れない。」
やっと…本音を伝えられた。
すると、母親は涙して…
「…よかった。」
そう言った。ずっと、息子が実家に
戻って来たがらない理由をウチが
嫌になったのかも不安だったようだ。
言葉にして伝えるって大事だね。
伝えてもわかり合えないことも
そりゃああるだろう。それでも
伝えてみる前から諦めてちゃ
せっかくわかり合える関係でも
すれ違ったままになってしまう。
…良かったな。

今まで愛梨が清一郎を一方的に
いじめていることはよくあった。
でも今回は清一郎も手を出した。
初めての喧嘩。
幼稚園のおやつに出てきたプリン。
清一郎がそれを食べようとして
なぜか固まっているのを見て、
愛梨が食べないと勘違いした
清一郎のプリンを奪おうとした。
それを嫌がった清一郎が
愛梨を突き飛ばしたのだ。
清一郎はただゆっくり味わって
食べたかっただけかもしれないな。
仲直りのきっかけを作りたいと
プリンを作ることを提案した
のは晴海だった。そうしたら、
思いの外簡単に仲直りできた。
きっかけなんてあってもなくても
よかったかもしれない。それでも、
小さい頃は喧嘩して仲直りして、
そういうのの繰り返しで良い事と
悪い事覚えたり、人の気持ちを
考えられるようになったりする。
そうやって成長してくんだろうな。

今千石が働いている整体。元の
持ち主はこの夫婦だったらしい。
父親は…いなかったのかな?家には
水商売の母親、家にいる時は酒浸り。
飯はいつも1万円札…そんな場所に
温かい家庭なんてあるわけなかった。
そんな家庭で、案の定グレた彼は
喧嘩もしょっちゅう…そんな所を
このおじいさん?に見つけられて、
なんやかんやあって世話を焼かれた。
家に連れてかれて、ご飯を
用意してくれたりしてね。
『耳慣れない鍋の音も、
清潔な部屋も出来たての
料理の匂いも同情に満ちた
笑顔も、何もかも居心地が悪い。』
それでせっかく作ってくれたご飯も
食べずに外に飛び出してしまった。
でも、家に帰ろうにも母親は
ちょうど家に男を連れ込もうと
している所で…帰ることも出来ない。
途方にくれていた所にじいさん、
追いかけてきてくれたみたいだった。
千石は、きっと愛情ってもんに
飢えていたんだろうなって思う。
千石に愛情を与えて、教えて
くれたのはきっとこの夫婦だろう。

同情だと思った…そんな視線は
決してそんなものではなかった。
今自分がその立場にいるから気づける
ことって、きっとありますよね。
いろいろ面倒を見てくれるように
なっておじいさんは仙石に、喧嘩
ばかりする程力が有り余ってるなら
ウチで働けと言ったのでしたww
展開にびっくりしたけどもね。
じいさんが亡くなってから、
千石がその店を継いだそうだ。
千石はこのじいさんを師匠と呼ぶ。
ほんと、彼に出会えたことは千石
にとって何より幸せなことだろう。
ちなみに、晴海とあったのもこの
整体でのことだったそうですよ。
…そんなおじいさんも今はもう他界
されて、今日は命日ということで
線香を上げに来ていたわけです。
千石の昔の家庭はきっとろくなもん
ではないんだろうと予想はしてた。
それなのにここまでしっかりした
大人になった理由がやっとわかった。
愛情を与えるって大事だわ。
~ひとこと~
3巻でした~☆
料理の勉強にもなりつつ、
とてもいろいろ考えさせられる
お話だなと感じています。
…にしても、基本的に目付き悪い
けど、そんな彼もたまに優しい
表情をする…それはきっと師匠
夫婦のおかげだったんだろうな。
ほんと、恩人ですね。
優しさも厳しさも、大事。
子供は親がいなくても勝手に
育つけど、それでもまっすぐな
いい大人になるためには師匠
みたいな存在が必要ですね。