思い出のとき修理します 第3巻

著者
漫画:山口いづみ 先生
原作:谷瑞恵 先生

ちょいちょい気になっていたことが
ある。太一って‥普通の人間じゃ
ないんじゃないかな~とかね(笑)

年のわりにやたら昔のこととかに
詳しかったりするし、たまに人を
親のような‥下手したら神のような
目線から見守ってるんじゃないかと
思ってしまうことがあったりして。

幼い頃この商店街に来た明里が
おばあちゃんに貰った虹色の
マフラーは母親に駅に捨てられた。

多分それを太一が拾ったんだ。
でもその当時‥明里より10歳近く
若いはずの太一がマフラーを拾う
っていうのは幼すぎた気がする。

思い過ごしだろうとも思うけど、
やたら天気を当てるのも、首に
下げたジャラジャラしてるのの
中に『計』の文字があったのも。

2巻の頭にほんの少し描かれてた
話だけど、神社で『計』を拾ってる
少年がいたんだよ。それ太一だった
のかも‥でも『計』がなくなったの
秀司の祖父の代とかだったのに、
今更見つかるのも不思議だったし。

あと10年近く前だろうか、今の
太一によく似た人が存在してる
っていう描写もあったのだけど
‥それも少し引っかかってたり。

まだまだちょっと物知りで勘のいい
風変わりな大学生で済むレベルかもだが、
ちょっとだけそう考えてしまった。

今回の件は、2人の人が関係する話。
まず片方は、学生時代の明里の先輩。
偶然にも再会した弘樹先輩は、時計屋
に妙なものを持ち込んできていた。

それは石の時計‥化石みたいな物体。
それの修理を依頼してきたようだ。
その時例の看板‥?思い出の時って
のをじーっとみていたらしいから、
修復したい思い出があるんだろうと
秀司はその無謀な依頼を受けたんだ。

この時点では、どうやって石ではない
本物の時計が出てきたのかなんていう
真実は謎のままだったのだけれど、
大事なのはそんな真実ではなかった。

時計が石になってしまったことで、
前に進む覚悟もつかないままずっと
これまで過ごしてきた先輩だった。

無事時計に戻った‥もう前に
進んでいいんだっていうこと。

そう思えるきっかけが
必要だったんだろうから。

思い出の修復ではないかもしれない。
でも、確実に止まっていた時間を
動かすという意味で直したんだろう。

石の時計の話には裏話があった。
同時期、時計の修理を依頼して
きてた新見さんという男性がいた。

彼が持ってきた時計ってのは、
実は先輩の石になる前の時計と
深く関わりのあるものだった。

過去に先輩の時計と石の時計がすり
替わったのは先輩が時計を捨てた時。
時計を投げ捨てた先輩、それを
拾った新見さんはその代わりに
自分で作った石の時計を置いた。

先輩が捨てた本物の時計はその時
売られてしまったのだけど、その後
同じ時計を中古で買ったらしかった。

そこには色々な思いがあってのこと。
この店にやってきたのは偶然時計を
落としてしまったということだったが、
そのタイミングでその時の少年が同じ
時計屋を訪れた‥不思議なお話だけど、

「神様が私にチャンスをくれたの
かもしれませんね。あのとき少年に
返せなかった時計を返す機会を。」

新見さんからこの時計の修理を依頼
され、先輩の石の時計の依頼を受け、
秀司には最初からその2つの繋がりが
わかっていたのかもしれなかった。

こういう‥思い出の直し方もあるのね。

 

太一にそっくりな‥でもイヤリング
も首のジャラジャラしたのもないから
別人なのかもだけど‥ほんとそっくり。

ここまで似た存在っていうのも不思議。
でも‥ほんとに神様だったりして(笑)

神の眷属なら、これくらいのことなら
当たり前にあるのかもな~なんて(笑)

ほんと、太一には謎が多い。
いつかそれも‥明かされますかね。

ある時落雷で岸本さん親子と思われる
二人の女性と白い犬が被害に遭う。
犬の方はこのおじいさん‥森村さん
の家の犬である可能性が高かった。

森村さんには奥さんがいるが、彼女との
関係は少し複雑なものだったようだ。
少し前から犬とともに行方不明な彼女。

彼女の大事なものを犬に持たせていた
ようで、森村さんはその正体を知りた
がっている。それにはいろいろと複雑な
理由もあるようで‥森村さんは一件心配
しているのかよくわからない様子で明里は
それに怒りをあらわにしたけど、秀司には
また違う一面が見えているようだった。

落雷の被害者と森村さんの
奥さん・千佳代さんと犬。一体
どんなふうに繋がってくるのやら。

落雷に遭った岸本沙耶さんは、倒れている
のを発見された時小さな巾着を握っていた。
中身はキーホルダーのついた鍵のようなもの。

キーホルダーの方は自分が作ったもの
だけど、その鍵は何なのかわからない。
落雷によって記憶が曖昧になっていた
彼女にはそれが何なのか突き止められず
思い出の修理‥を求めて時計屋に来た。

「キーホルダーを鍵につけて
巾着に入れた持ち主はおそらく
森村千佳代さんという方です。

落雷のとき一緒にいたのは本当は
お母さんじゃないんですよね。」

運ばれた病院で母親だと言われて
案内されたその先にいた女性は、
全く見知らぬ女性だったという。

落雷に遭ったもう1人の女性の正体は
森村さんの奥様千佳代さんだった。
沙耶さんも千佳代さんもお互い記憶が
あやふやになってしまっていて、すぐ
その正体に気付くことは出来なかった。

でもしばらく関わってみると2人には
そんな関係はなかったと気付き出す。

沙耶さんの握っていた鍵は千佳代さん
が何より大事にしていたものだった。
ゼンマイを巻くことで動く時計の鍵
‥と言ったところだろうか。これは
森村さんが奥さんに押し付けた仕事。
そう森村さんは言っていたのだけど、
千佳代さんとってはたったそれだけ
のことではなかったのかもしれない。

この後‥病院にいる千佳代さんを
森村さんは迎えに行った。記憶が
ないままの‥もしかしたらそんな
ふりをしているだけかもしれない。
千佳代さんに、出会いからの記憶を
教えやり直していくことを選んだ。

「忘れたことなんてまたおぼえればいい、
知りたいことは全部教えてやるから。」

「はじめて出会ったところから
おぽえなおせばいいのね?」

2人はきっとこれから、過去の思い出を
やり直してくことで修復してくんだね。
そういう直し方もあるんだなと思った。

明里と秀司が付き合うことになる
少し前‥秀司の髪を切るという
話になったときだったかな。

兄とのことがあってから自分で
時計を作ることも兄の時計を修理
することも出来なくなっていた彼に
自分のために時計を作って欲しいと
明里はお願いしていたのだった。

それからのこと、まるで戒めかの
ようにつけていた壊れた兄の時計を
腕から外し、無事修理した秀司は、
今度は明里に時計を作るために少し
ずつ動き始めていたようだった。

大切な恋人のための贈り物を。
そのデザインを頼んでいたのが
実は沙耶さんだったみたいね。

‥きっと素敵な時計が出来る。
明里‥ほんと愛されてるわ。

~ひとこと~

いろいろと神様のいたずらのような
感じで不思議な出来事が重なりますね。
その中で、あったかい物語がたくさん
描かれてきましたが‥やはり気になる。

太一の存在が気になって仕方がない(笑)
いつか何か明かされるんでしょうかね。
別に何もなかったと言うなら、ただ私の
考えすぎだったということでしょうが。

一先ず‥次巻までが既刊分ですので、
そこまで紹介させて頂きます。興味
持って頂けたならぜひ御覧ください。