思い出のとき修理します 第2巻

著者
漫画:山口いづみ 先生
原作:谷瑞恵 先生

自分の中の記憶と商店街の人達の
中にあるヘアーサロン由井の孫に
関する記憶が噛み合わなくて悩む。

その理由がようやく明かされた。
何より‥本当の孫じゃないのね。
そんなややこしい事情だったの‥

(あれ以来わたしは一度も
商店街[ここ]ヘ来ていない。)

こんな具合に多くがかみ合わない中、
みんなが知っているのは自分ではない
誰かなのに、みんなを騙してその子の
ふりをしてここにいていいんだろうか。

‥なんて思ってしまっているみたい。
それを理由に、前巻でいい感じに
見えた秀司とは進展してなかった。

お互い好きなふうで、秀司の方から
付き合いたいと思ってるという内容
のことも言われた。それでも…

あやふやな状態で付き合うなんて
言えなかった‥誠実な人なんだろう。

結果的に、秀司をフッたという
ことになってしまったようだ。

自分の中でもはっきりしない何かに
怯えて踏み込めないふうにも思えた。

 

ある日風邪で寝込んでしまった明里。
目を覚ますと家には‥おばあちゃん。

「もう来ちゃだめよ。」

自分にそう伝えたおばあちゃんが今

「おばあちゃんね、明里ちゃんが
また来てくれて嬉しいの。好きな
だけここにいていいのよ。」

「風邪をひくと退屈でしょう?だから
ほら、新しいのを買っておいたのよ。
明里ちゃんが本物を見てから塗れる
ようにね、もうすぐ咲くわよ。」

夢だと思った‥でも、そこには
おばあちゃんが置いてった塗り絵。

(これじゃまるでわたしが20年前の
ヘアーサロン由井へ滑り込んで
ノートだけを持ち帰ったみたいだ。)

混乱して‥そんなわけがないと自分に
言い聞かせるようにしていたのかも。

‥その出来事を秀司に話してみる。
秀司なら笑わずに聞いてくれるって
思えたからなのかもしれない。

「実はわたし昨日おばあちゃんの
幽霊を見たの。」

と言ってみたものの、亡くなっているか
すらはっきりわからない存在なのだけど。

「でもおばあちゃんすごく嬉しそう
で変だったんだ。わたし昔『もう
来ちゃだめ』って言われたのに。」

そんな話をすると‥その記憶は
確かなのかと秀司は聞いてくる。

曖昧な記憶‥でも商店街の人達の
話にあった寒い季節にも確かに、
自分がおばあちゃんといたという
記憶がぼんやりだけど存在してた。

その日家に帰るとおばあちゃんがいた。
幽霊‥ではなくちゃんと生きていた。

「もう来ないって頭ではわかって
たんだけどねぇ。2度目のお別れ
のことがずっと心残りで。」

それから‥お婆ちゃんはその時あった
ことを少しずつ話してくれた‥明里の
曖昧で途切れ途切れだった記憶の点が
繋がって‥どんどん蘇っていった。

でもこのおばあちゃんは、明里の
母親の元カレのお母さんでしかない。
ほんと‥赤の他人だったから、母親
が迎えに来た時にはまた来ていいと
言うことが出来なかったんだろうね。

そして母親も‥元カレとどんな記憶
があるのか知らないけど涙をながす
ほど苦しいものだったようで‥

「明里お願い、あそこへはもう
二度と行かないで。全部忘れて。」

おばあちゃんを、母親を傷つけたんだ。
そう感じた明里が、自分でその時の
記憶を追い出してしまったようだった。
大人になった今だからわかる互いの思い。

思いとともに、やっと全部思い出せた。
自分ではない誰かだと思ってたのは
全部、ちゃんと自分だった。秀司の
記憶にあった少女も、自分だった。

実はこの時‥おばあちゃん少し
ボケ気味だったのかな?既に
手放して自分の家ではないここに
電車を乗り継いで来てしまったと、
迎えに来た息子に聞かされた。
息子‥母親の元カレさんね。

いろいろあったけど、おばあちゃん
のおかげで記憶は全部戻り‥やっと
自分の居場所を見つけた気がする。

ずっとひっかかっていたことは
すっきりして、本当はもう秀司を
振る理由はなくなっていたけど、
それでもまだ怖い気持ちはあった。

それをわかってか、秀司も焦った
態度をとることはしなかった。
本当に‥優しい人なんだろうな。

そのおかげもあったかもしれない。
明里は‥ちゃんと進む決心をした。

ほんと、やっとだよ明里ちゃん♡w
明里、秀司、今度こそおめでと♪

「今夜は新月だから、妙なこと
が起こるかもしれない。あんた
よそ者だから狙われやすいぞ。」

ある日、明里の妹の香奈がやってきた。
姉に会いに来たようだったのだけど‥
そんな香奈に忠告してきた太一。

‥そう忠告して神社でお参りを
してくるようにと言ってきた。
一体何が出るんだって思ったけど‥
太一はそういうのが分かる人なの?

「太一は神社の親戚なんだ。
信心深いのは許してやってね。」

秀司はそんなふうに言ってた。
そしてその夜‥香奈が消えた。

同時期に現れた‥時計屋のお客がいて、
その女性を探していたようで‥見つけた
と言って追いかけていったようだった。

ミニッツリピーター機能のついた
時計を受け取りに来たこの女性‥
複雑な家庭環境の方のようで、
姉の片身替わりのこの時計を
受け取りたがらなかった。

「今思うと、あれが
父と姉だったんですね。」

神社の敷地内だろうか。

少々奇妙な森に迷い込んでしまい
抜け出せなくなっていた時に、この
時計の音で昔救われた、そして今も。

会ったこともない、家族だなんて
思われてないはずだと感じていた
彼女だけど、そんな昔の記憶が
蘇って‥最終的には大切そうに
この時計を受け取っていった。

神社の、森での出来事はとても
不思議なことだった、太一の
言動も何を根拠にしているのやら
まだ謎なことが多いのだけど。

そういう少し現実離れしたことが
この商店街周辺では当たり前に
起きているものなんだろうか。

これはある夫婦と、その友人の話。
葉子と保は学生時代からの友人で、
もう一人一緒につるんでるのがいた。
その人は光一という人で葉子の元彼。

2人は別れたけど、葉子はずっと光一を
忘れられないのだと保はずっと思ってた。

逆に葉子は、光一が怖気づいて逃げた
代わりに保が責任を感じて自分と
一緒にいてくれてるんだと感じてた。

でも本当は、葉子にとって光一は
過去でちゃんと保を愛していた。

そして保も、代わりなどではなく
自分が心から葉子を大切に思って
いるから一緒にいて結婚したんだ。

お互いの思いが噛み合っていなかった
から誤解を生み壊れかけていたけど、
ちゃんと‥わかりあえたみたいね。

ラズベリーのアイスをよく買って
いた光一、イチゴのアイスを買って
来てくれた保‥紛らわしいわ(笑)

「葉子を幸せにする自信を。」

保が自分に自信を持てなかったことで
余計誤解が膨らんでいたんだろう。
これからはほんとうの意味でお互い
思い合って‥幸せになってほしいね。

(自分の本当の気持ちは自分にしか
わからない。だから素直に伝えて
いくことが大切なんだろうね。)

葉子と保を見ていてそう思えた。
明里は秀司に対して素直になれず
ずっと悩んでいたようだった。

恋愛って難しい‥それでもやっと
見つけて、捕まえた愛しい人を
相手に自分の気持ちを躊躇っては
勿体無いだけだろうと思うから。

こうやって、ほんの少しずつ
でも伝えていけたらいいね。

~ひとこと~

この商店街での不思議なお話の中で
いろいろな噛み合っていなかった
過去の記憶や思い出が修正されてく。

そんなお話がメインになっている
ように感じますが‥その中にも
ちょいちょい明里と秀司の恋愛話が
描かれていて‥何やら微笑ましい(笑)

そんな感じで読み進めています。
まだまだ不思議に感じる部分が
多いお話ですが‥個人的には
この感じが割と嫌いではない。

上手くお伝えできてるか自信は
ありませんが、そういう魅力も
お伝えできたらなと思います。