著:安藤ゆき 先生

ここ最近‥町田くんの様子がおかしい。
その理由を‥突然抱きついてしまった
ことで引かれてしまったかもしれないと
不安に思ってしまう猪原さんだったが‥
本当は全然そんな事なかった。
むしろ自分のちょっとした行動で、
彼女に嫌われることを恐れてる。
嫌われたくないって思ってしまう
存在‥きっと初めてじゃないかな?
これまでは余計なことは考えずに
人のために行動出来てたんだもの。

同じ学校の後輩である鈴木くんは妹の
ために高所恐怖症を克服したいという。
偶然彼と知り合った町田くんは、その
克服に協力しようとしたものの‥
それは中々に困難なことだった。
落ち込む妹を元気づけるため、何か
出来ることを考えた鈴木くんは一緒に
観覧車に乗ることを約束したようだ。
妹の詩織は、兄が恐怖症を克服
出来てないことも予想していた。
断ってしまったら兄のプライドを
傷付けてしまうからと話していた。
でも結局克服できなかったのにムリ
してまで一緒に乗ろうとする彼に、
少々試すようなことをした町田くん。
兄の本音を聞いて、決してプライド
なんかのためじゃなかったと知った。
「お兄ちゃんはかっこいいよ!こんなに
想ってくれるお兄ちゃんいないよ!」
結局克服は出来なかったけれど、
兄妹間の絆は深まったかな‥??
そしてもう一つ‥言葉にすれば
同じ恐怖、高い所と猪原さん。
猪原さんに対して怖いと感じて
しまうのに、それによって今
世界は見違える程鮮やかになる。
高所恐怖症とは全く違う恐怖‥
ここでやっと、町田くんは彼女
への恋を自覚したのかもしれない。

様子のおかしい町田くんを心配してか
栄さんと氷室くんが話を聞いてくれた。
嫌われるのが怖いという町田くんに、
捉え方を変えてみたらと提案した。
そう簡単ではないのかもしれない
けど‥考え方を変えるだけでも随分
動きやすくなるかもしれないね。
‥頑張れ、町田くん!!

(俺は今まであまり
怖いものがなかった)
町田くんは人が好きだ。
みんなが家族のようで、これまで
皆に同じように愛を与えていた。
きっとそれだけでよかったんだろう。
でも今は違う。猪原さんに恋を
して、彼女の心が欲しいと思う。
町田くんにとってはきっとこれまで
なかった新しい感情なんだろうな。
さて‥彼はどう動くだろう。

クリスマス‥猪原さんをデートに
誘って一緒に過ごした町田くん。
まあ‥その最中にもいろいろあった
けど、楽しそうに過ごしていた。
最後に‥一緒にケーキを食べる
ため学校に忍び込んだりして 笑
「欲しいもの、町田くんてあんまり
なさそうだから。でも何かあげたくて
結局ケーキになっちゃうんだよね。」
そんなふうに話す猪原さんに‥
町田くんは自分の気持ちをこぼす。
「もうそういうの、ダメ
なのかと思ってた……。」
町田くんが気持ちを自覚してから、
彼女を避けるような態度をとって
しまっていたことも多かったろう。
ダメかもってずっと不安だったろう。
それでも‥ダメじゃなかったんだよ。
逆に言えばさ、これまで彼女の
気持ちはちゃんと町田くんには
届いてなかったってことになる?笑
長かったけどやっと届いたね。
おめでとう、二人とも。

2人が付き合いだして3ヶ月が経つ頃
‥猪原さんは町田家に招待された。
家族全員に彼女を紹介‥ここで初めて
彼女の名前が明かされた、奈々ちゃん。
町田家の明るく仲の良い家族に触れて‥
「家族もたくさんで…
仲良しでいいなぁ。」
そうこぼした猪原さんにハッとして
猪原さんの名前を確認した町田母。
そして‥家族というものに憧れる
猪原さんを家族の一員だと言った。
家族っていうものに慣れていなくて
少し戸惑う猪原さんだったけど、
「難しく考えなくていいんだよ。
安心してここにいればいいだけだ。」
そんな町田くんの言葉に、涙を
零しながら嬉しそうに笑っていた。
出会った頃の彼女からは想像出来ない
くらい‥ほんとよく笑う子になって、
心から良かったなって思った。

「いいね大家族って、楽しそう。」
「あたしもいつか町田くんの
お母さんみたいになりたいな。」
家族っていうものがあまり
わからなかった猪原さんが、
そんなことを言うようになった。
そんな彼女に対して‥まるで
プロポーズのような言葉をかける。
町田くんはほんと人間たらしだ 笑
でも、中でも特別な存在に彼女は
なれたわけで‥きっと2人の未来は
とても暖かい家族がいるんだろう。
~ひとこと~
町田くんの世界‥完結です!!
いや~、町田くんが恋をして
そんな流れで完結するのは
個人的には想定外でした 笑
でも、猪原さんと出会って彼女に
他とは違う何かを感じるように
なった頃から‥2人がこんなふうに
並ぶ未来は見えていたかもね。
暖かく優しい素敵なお話だったと
感じています。ほんの一部でも、
それをお伝えできたでしょうか!?
出来ていたらいいなと願います。
最終巻までお付き合い頂き、
ありがとうございました。
それではまた別のお話で ☆