著:安藤ゆき 先生

町田くんが中学の同窓会に
きた。明るくて頭もよくて、
クラスでも人気の青池くん
=アオが、当時の印象から
変わり果てていることに驚く。
「今のこれがほんとの俺だ。」
「お前らの前ではずっとムリ
してたんだよ。勉強も全部
全部、ムリしてただけだ!」
そう言ってその場を立ち去ろうと
したアオを引き止めたのは町田くん。
最初こそ、みんなに受け入れられる
町田くんを批判するようなことを
口走ったアオだったけど、途中から
ずっと苦しんできたことを話し出す。
「俺はずっと親父に有能になれって
言われてきた。そうでなければ価値が
ないって、だから俺はずっとムリして
自分を作って。でもやっぱり俺は俺の
ままで、勉強にもついていけない。
無能で価値のない人間なんだ。」
そんなアオに町田くんは、最近
生まれてきた弟の話をしだした。
「生まれたばかりの弟を見たとき
思ったんだけどそうか、人は生まれ
てくるだけでいいんだなって。」
町田くんの言葉を聞いて、ようやく
顔を上げたアオ…他の同級生たちも
アオのもとへ駆け寄った。ムリなんて
してくていいんだ、みんな本当に
アオのことが大好きなんだと。
それに対して、ずっと気を張って
いたかのように見えたアオが涙した。
家庭の問題とか、いろいろあるだろう。
それでも、ありのままの自分を知って
受け入れてくれる人がいるっていう
のは本当に幸せなことだと思うから…
アオがまた、昔みたいに笑える日も
そう遠くはない話かもしれないね。
偶然その場に居合わせた、今は
すっかり町田くんに懐いてしまった
氷室は同窓会の後町田くんにこう話す。
「町田くんに会いに来たんじゃ
ないかな、町田くんなら何かヒント
くれるって思ったんじゃない。」
ほんとそうだったかもしれないな。
自分には何も出来ないと思ってる
町田くんだけど、彼はまっすぐに
人を愛する…その気持ちがあるから
こそ救われる人ってきっと多いんだ。

ある日、町田くんのリュックが
新しくなっていることから話が
始まった…それ以前に使っていた
リュックにも素敵なお話があった
のだけど…その新しいリュックは
誕生日プレゼントだったという。
自分達の知らぬ間に町田くんが
誕生日を迎えてしまっていた。
それを知った猪原さんと氷室は
わかりやすく顔を青ざめさせた。
誕生日を教えてくれなかった
と拗ねて逃げ出す氷室と、
さみしいと言い出す猪原さん。
栄さんに話を聞いてみると…
「あの2人はさ、町田くんに
恋しちゃってるわけでしょ。
そうなると話が変わるからね-。」
猪原さんに関してはそうだ。
氷室に関してはよくわからない
けど、確かに恋してるって思う
くらい町田くんのことが大好き
なんだろうなってのは伝わる。
その気持ちが理解できなかった
町田くんだったけど、帰って
母親にこう訊ねてみたのだった。
「母さんと父さんがつきあった頃にさ、
もし父さんが自分の誕生日を言わない
ままその日が過ぎたらどう思った?」
母親の言葉を聞いて、町田くんは
また考える…本当に、町田くんは
どこまでも人に優しいのに、こう
いうどこか特別な気持ちには鈍感w
こういう気持ちも、自分に恋心を
抱いてくれる存在、猪原さんが
現れたことで少しずつ知っていく
ことになるんだろうなって思えた。

次の日、猪原さんは笑顔で
誕生日のお祝いをくれた。
2日遅れだけど、と言って。
そして、気持ちを切り替えて
行動を起こしたのは彼女だけ
ではなかった。町田くんも、
母親の言葉を聞いてやっと
猪原さんや氷室の気持ちが
少しわかるようになった彼は
誕生日を共有できるものと
花を持ってきたのだ…2人にw
2人に…というところに対して
「もおっ、キュン損した。」
なんて言った猪原さんだけど、
それも町田くんらしさだと
言って優しい表情を見せた。
町田くんは多くに好かれる。
でも、異性として好きになって
思いが通じたとしてもきっと
苦労しそうだなって思うんだよw
だから、こういう町田くんらしさ
ごと愛せる猪原さんだったら…
すごく合ってるのかもなって。
彼女の恋は実るのかな~??w

小学生達の間で、魔女と呼ばれる
女性がいた。なぜかそこに入って
行く弟けーごを追って彼女のお宅へ
お邪魔することとなった町田くん。
けーご…警戒心な過ぎて今後不安w
彼女の家は、随分と荒れていて…
「なんにもする気がないのよ。
気分転換に引っ越してみたけど
ダメね、4年前からなんにも
する気が起きない。」
4年前に男に逃げられたという。
そこからずーっと気が落ちたまま
な様子の彼女に、町田くんは動く。
「片付け、僕しましょうか。」
まっすぐすぎる言葉をかける
彼に、沈んでいた心に少しだけ
希望が見えたのかもしれないな。
ひたすら片付けていく町田くん。
そしてある部屋のドアを開けようと
した時、彼女はそれを止めに入る。
「その部屋は入らないでちょうだい。
魔法の薬を作ってる部屋だから。」
本気で魔女疑惑…??ww

その日から、片付けのために何日
も町田くんは彼女の家へ通った。
「恋がなければ生きていけないのよ。」
「恋だけが私のエネルギーだから、
魔法を使うためのエネルギー。」
そう話す彼女。そんな彼女に対して
町田くんが出した答えが『愛情』。
結果出来たのはだいぶ焦げた
ハンバーグだったけど…w
彼女にはちゃんと町田くんの
愛情が届いたようだった。
町田くんが帰った後、彼女は
例の部屋に入っていく…その部屋
は、画を描くための部屋だった。
彼女の正体は洋画家だったらしい。
4年ぶりに素敵な作品が発表された
というニュースが報道されていた。
また一人、町田くんが人を救った♡

話は変わって…町田くんと同クラス
に長崎美希という少女がいる。
他のクラスの須田くんが転校する
話を聞き泣き出してしまうのだった。
須田くんのことが好きなんだって。
アイドルオタク(ドルオタ)な彼女。
「アイドルの愛し方しか
わかんない。リアルな恋はどう
したらいいのかわかんないの。」
須田くんに自分の存在だけで
知って欲しかったと話す彼女の
恋、まだ諦めるのは早いと協力
しようとする町田くんだった。
自信のない彼女が少しでも自信を
つけられるように、猪原さんに
頼んで化粧やネイルをしてもらう。
ドルオタのアイドルグッズのハンカチ
…なのかな?それを落としてしまった
時に拾ってくれたという須田くんは、
「うわ、ドルオタか」なんて言うが、
ゴミが付いてしまったのを見て…
「待った、ゴミついてる。
大事なもんなんだろ。」
そう言ってゴミを払ってくれた。
そんな彼の行動に恋に落ちたらしい。
自分の大事なものを一緒に大事
にしてくれたんだなと感じて。
そんな1年前の話。ある時須田くんが
すごく記憶力がいいということを知り
町田くんはまた行動に出たのだけれど…
それは長崎さんが須田くんと話そう
としているちょうどその時だった。
アイドルのストラップが付いた
置き傘をその場に持っていったのだ。
「ああ!ドルオタの人か!」
時々部活を見に行って、ファンだ
なんてことを伝えようとしてた。
でも本当は、面識のない人から
いきなり告白されても嫌だろう
という気持ちが告白を邪魔して
いただけだった…そんな不安を
なくさせるために、町田くんは
そこにきっかけを運んだんだろう。
その後、転校してしまった須田くんと
長崎さんは一先ずはラインでお話する
一まずは友達って形になれたらしい。
この先どうするかは彼女次第だけど、
転校してしまう前に思いをちゃんと
伝えることが出来て、ほんと良かった。
ほんと町田くんって…少し強引な
ところもあるけどすごいよね。
心からすごく素敵な人だと思うよ。

長崎さんの話の裏舞台で…今回は
猪原さんがいろいろ協力をして
くれたのだけど、そんな彼女を
器用だなと感じていた町田くん。
そんな彼女の手をきれいだなと。
ちょいちょい出てくるこんな
小さな心の変化…町田くんは
いつか…きっとすごく先かも
しれないけど、いつか彼女に
恋をするのかもしれないと思った。
~ひとこと~
5巻でした~!!!
今回もね、町田くんは
鈍感だけど素敵男子でした♡
そして恋という気持ちを自覚
することはまだないけれど、
少しずつそういう気持ちが
どんなものか知っていってる。
これからの展開が一体どんな
ふうに進んでくのか楽しみです。