町田くんの世界 第4巻

著:安藤ゆき 先生

町田くんの世界4-1

父親はほとんど家に帰ってこない。
母親は夜働いて昼過ぎまで寝てる。
毎月食費を含めた高めの小遣い
が封筒に入っておいてある。

そんな生活をしていた彼女。
学校ではそれなりだったはず。

でも、ふとしたきっかけで
誰からも避けられるようになる。
いるよね、なんかボスっぽい子。
その子に逆らうとターゲットに
される…猪原さんはそれになった。

猪原さんは、彼女の中で正しい
と思った行動に出ただけだった。
辱めを受けそうになっている
クラスメイトを助けたはず。

その結果ボスの子に嫌われる。
それはわかっていた…でもそれ
だけじゃなく、庇ったはずの
クラスメイトすら敵に回る。

ほんと、意味がわからないよ。
猪原さん…ちょっと卑屈だけど
すごく優しくていいこと思う。
周りの環境が、彼女をそう
させてしまってるのかもな。

だから、町田くんと初めて会話
した時、自分の存在を認めて
貰えたようで嬉しかったんだろう。

町田くんの世界4-2

クリスマス、町田くんと
イルミネーションを見に
行くことになった猪原さん。

なんだか、とても幸せそう。
町田くん、きっと見た目だけ
なら平々凡々だと思うんだよ。

でも、彼のかっこよさは
そこじゃないんだよね。
知れば知るほど好きになる。

町田くんを好きになって、焦った
ところで仕方ないことも分かって、
ゆっくり頑張ろうと思った猪原さん
だったけど、この写メを見せられて
泣いて逃げ出してしまったのだった。

町田くん的には、幼稚園の時の先生
との写真だし家族には笑われたしで
面白い写真として見せたんだけど、
まあ、彼を好きな子からしたら
そんな面白いものなわけがなかった。

(町田くんは他の誰かと結婚
しちゃうかもしれないんだ。
そんなん考えたこともなかった。)

(ゆっくり?何を?)

1度そんなふうに不安になったら
どうしたら良いかわからなくなって
しまったのかもしれないね、彼女。

町田くんは相変わらず見当違いな
こと考えちゃってるしさ…ww

町田くんの世界4-3

町田くんのお父さんが帰ってきた。
町田くんが猪原さんのことで少し
悩んでしまっている様子に気付いた
お父さんは、町田くんの相談に
乗ってくれた。写真を見せて
泣かせてしまったこと。両親の
ことを思い出させてしまった
のだと思ってどうしたら良いか
悩んでいたのだということ。

そしたら、きっと町田くん
には到底思いつかなかった
選択肢の答えが帰ってきた。

「その子はお前に恋をしている。」

猪原さんが自分に恋してる。
それを知って町田くんは一体
何を思ったろう…でも一先ず、
その答えに辿り着いたことで
お父さんに思いを伝えたのだ。

「父さんが俺の父さんで
ほんと良かった!」

その言葉は、お父さん
の心を射抜いたw

町田くんの世界4-4

クリスマスイブ。町田くんと
猪原さんはイルミネーションを
見にやってきた。そしてあの日
泣いてしまった理由を彼女の
口から説明された町田くん。

いつか町田くんが自分の知らない
誰かと結婚してしまうかもしれない。
自分が結婚したいとかじゃなく、
自分と町田くんの未来はつながって
いないのかなと悲しくなったこと。
家族でも何でもないから、
何の保証もないから…と。

そんな彼女に町田くんは答える。
できることは何でもしたいって。

彼の言葉に、猪原さんは笑顔で
ありがとうと言った。町田くんの
言葉に嘘はない。誠実さの塊
みたいな人だから…だから、一見
漠然としたことのように思える
この言葉も信じられるんだろう。

彼女との会話を通して、町田くんは
猪原さんは他人なんだと思った。

彼は、それに対してどう思った?
寂しいとか思ったりしたのかな?

町田くんは、そういう感情が
表に出ないからわからない。
彼自身、人の気持ちは考えても
自分の気持ちを考えるということ
はあまりしてこなかった気がする。

猪原さんと知り合ってから、
少しずつ彼の気持ちが動いて
ってるんじゃってたまに思う。

町田くんの世界4-5

もうすぐバレンタインデー。
クラスメイトでモデルの氷室くんは
女子に人気があってナルシストな
感じの男の子。そんな自分に全く
なびかない猪原さんに興味がわいて
彼女と仲の良い町田くんに近づく。

(自分になびかない彼女をオトして
みたいから)仲を取り持ってよ、
なんて不誠実なことを言ってくる
氷室くんに対し、町田くんは即答。

「だめだよ。そんな気持ちで
仲良くなりたいなら、俺が氷室
くんにできることは何もないよ。」

猪原さんに対してだけではない。
まだ会話をするようになって日も
浅いであろう氷室くんに対しても
友達だから…とどこまでも誠実だ。

この言葉に、変に茶化すような
ことをしなかった氷室くん。
彼は、私の勝手なイメージの
ように不誠実でろくでもない
感じの男の子ではないのかも。

町田くんの世界4-6

バレンタインデー当日。
苦手な柑橘系のチョコを
貰った氷室くんは、躊躇なく
それをゴミ箱に放り込んだ。

それを拾って説教をした町田くん。

「もっと人の気持ちを考えろ。
キミは人の気持ちを考えないから
自分の気持ちも分からないんだ。」

「何度でも言うよ。伝わるまで。
嫌がられても、友達だから。」

必死にそう伝えた町田くんに対し、
少しの間黙っていた氷室くんは…

「お前やっぱ変わってるよ。
変な人。嫌いじゃないけど。」

そう言って、今までで
1番の笑顔を見せた。

彼の周りには不誠実だったり
軽い気持ちで近づいてくるような
人が多かったのかもしれない。
だからか、人の気持ちなんて
ものを考えることもなかなか
しようとしなかったのかもな。

だから、彼は町田くんの話を
きいていつも、よくわからない
…口ぐせかのように言っていた。

町田くんはほんとすごいな。
人を愛し、その人のことを
思うからこそぶつかってける。

友達だから。そんな一言で、
相手にはクラスメイトの1人
程度にしか思われていない
かもしれないのにぶつかる。

相手にどう思われているかも
わからないのにお説教をする
なんて、きっとすごく怖い。

嫌がられたり、ウザがられたり。
でもきっと彼はそんなふうに
思われてもわかってほしいから、
一生懸命伝えるんだろうな。

~ひとこと~

町田くんの世界4巻でした!!
や~やっぱこの作品は好きです。

町田くんを見ていると、いろいろ
考えさせられることが多いから。

人ってやっぱり自分が1番大事
じゃないですか。それでも自分
以外の誰かを思ってその人の
ために何かしたいって気持ちが
あれば、町田くんのみたいに
優しくなれる第一歩な気がする。

彼の世界は単純明快なのに、それを
全ての人が簡単に受け入れてくれる
わけではないんだろうって思う。

それでも、1度関わってしまえば
友達だから…とどこまでも誠実に
関わろうとする彼の精神には、
ほんと神に似たものを感じるよ。