著者
原作:神永学 先生
作画:小田すずか 先生

八雲が一人で抱えるもの。
一人で考え込んで、晴香に
頼ることも全くしてくれない。
話して欲しい、頼って欲しい、
そういう気持ちがずっと彼女の
中にあったのかもしれないね。
今までこんなふうに気持ちを
伝えることを晴香だってして
こなかったのかもしれないね。
こんなふうに感情を露わにして、
気持ちを伝える勇気がなかった?
でも、こうやって伝えたことで
八雲も思う所はあったのだろう。
「―晴香、悪かった全て話すよ。」
初めて…名前呼んだよね、晴香って。
そして、全て話すと言ってくれた。
この時八雲は、とても優しい目で
晴香を見ているように思えた。
こうやって、少しずつでもいいから
二人の間にある壁を壊してけたら
とてもいい関係になれると思うんだ。
互いが互いに支え合える関係にね。

また医務室に運ばれた七瀬。
医務官の小松の判断で病院に
搬送されることになるが…
古川と山村が交際していると
いう話があった。2人に関係性が
あるなら結託して犯行を犯す
ことも可能だと判断した。
今回の事件と古川・山村が関係
してると考え古川の家を訪れて
いた後藤さんと石井。そこには
山村もいて、山村を捉えたすぐ
後…宮川課長から着信が入った。
「七瀬美雪が逃亡した。」
病院の搬送のために手配した救急車…
病院についた時には七瀬がいた後部
スペースはもぬけの殻だったと言う。
真犯人は山村か古川か…きっとそんな
ふうに考えていた所もあったろう。
油断していた。山村を問い詰める。
何をしたのか…と。警察が来たことで
大慌てで逃げ出したので何かをした
のは間違いなかったろうが、それに
対する返答は見当ハズレなものだった。
・オーダーされた薬を差し入れた
・鎮痛剤、精神安定剤など…
それだけだった。事件には関与して
いる様子はなかった。一心さんの
存在すら知らないような状態だ。
これまでのこと全てが…八雲を
殺すた目に仕組んだフェイク…?
八雲が…八雲が危ない!!

今回の事件には、怪しい点が
多々存在していたようだった。
畠さん曰く、ナイフは一心さんの
臓器を避けるように刺されていた。
そして傷も見た目に反して大して
深いものではなかったというのだ。
また、何かを隠している様子が
たまに見えていた新井医師だが、
彼女は一心さんのカルテを見て
違和感に気付き、独自に調査を
始めていた様子だった…医療ミス
である可能性があると感じて。
だが八雲が出した結論はこう。
「叔父さんは”故意に”脳死
状態に追いやられた――。」
犯人は最初から一心さんを殺すつもりで
刺したわけではなく、初めから目的は
叔父さんを脳死状態にすることだった。
「犯人が望んでいたのは
叔父さんの臓器だった。」
新井医師とのそんな話の後、
一心さんが消えたと連絡が入る。
彼のいた場所は、手術室だった。
その中に立てこもっていたのは
榊原医師…そしてベッドには一心さん
と佳子ちゃんが横になっている状態。
佳子ちゃん…今は木村佳子ちゃん。
だが離婚で苗字が変わっただけで
榊原医師の娘だった…そして心臓に
病を抱えてずっと戦い続けてる。
そんな娘を助けるために、一心さんを
刺した…そして脳死状態にしたのだ。
今回の件…裏で手引をしていたのは
やはりあの両眼の赤い男のようだ。
噂の霊は佳子ちゃんの生霊。
脳死状態の人から臓器移植を
受ければ助かると知っていた。
だから彼女の生霊は患者にいつ
死ぬのと訪ね歩いだんだろうと。
…佳子ちゃんはやっぱり可哀想。
でも、榊原医師のやり方だけは
絶対にとってはいけないことだ。

事件の真相が明らかになり、
一件落着…なはずだった。
すぐ近く、手術室の外まで
やってきていたのは七瀬の姿。
そんな彼女の元へ歩み寄る八雲。
「僕は叔父さんに出来なかった
ことをやるんです。憎しみの
連鎖を……断ち切る。」
そう言って、八雲は七瀬の持つ
ナイフで刺されることを受け入れた。
また助けられなかった…そんな思いで
必死に七瀬を捕まえようとする後藤さん。
なんとか七瀬を拘束した後藤さんだが…
その場にようやくかけつけた石井と、
石井にナイフを向ける両眼の赤い男。
石井という人質を取られ、七瀬を解放
するように言ってくる両眼の赤い男。
その状況に解放しようとする後藤さん。
でもそれを止めたのは先程
刺されたはずの八雲だった…
「大丈夫です後藤さん。
あの男には石井さんを
殺すことはできません。」
そんな状況に、男も諦めて
その場を立ち去る…というか
煙のようにそこから消えた。
「あの男はもう死んでるんですよ。」
…やっぱりそういうことだったの?
彼の目的は赤い眼の力を継いだ
八雲の身体を欲していたという。
それも取り憑くのではなく、似た
精神状態を作り出し同調するため。
八雲の身体を自分の物にして
しまおうと企んでいるようだ。
そんな目的のために、八雲の
大切な家族一心さんを刺す様
人の心を操っていたのだろう。
…なんて酷なことをするんだ。

結局のところ、八雲は防刃ベストを
着て血ノリを仕込んでいたらしい。
後藤さん騙されちゃって可哀想ww
でも、本気で死ぬ気なわけじゃなくて
ちゃんと無事でいてくれてよかった。
その後、連行されていく榊原医師に
八雲は彼の犯したことの重さを
話す、自分の娘を生かすために、
同じように幼い子供(奈緒)を持つ
彼を殺して、その子供にとって
たった一人の親を奪ったのだと。
分かってほしかったんだろうと思う。
罪の重さを理解させたかったのかも。
「僕は憎しみの連鎖に取り込まれる
つもりはない、移植には同意します。」
これが八雲の出した答えだった。
それが叔父さんの意思だからと、
これから先、自分のしてしまった
ことの残酷さを一生1人で抱えて
生きてかなければいけないんだろう。

七瀬は無事逮捕された。だが、
両眼の赤い男の霊はきっとまた
心に闇を抱える者をたぶらかし
殺人を繰り返そうとするだろう。
今回の件は解決したものの、
実際大元の問題は何一つ解決
出来てないような現状…それ
でもそんな中にも変化はある。
「奈緒をうちで引き取りたい。」
八雲に話があると呼び出した
後藤さんは、八雲にとって随分
予想外な発言をしたようだった。
少し考えたり否定したりを繰り
返した八雲だったが最終的に…
「煙草という悪習をやめたら
考えてあげてもいいですよ。」
素直じゃないだけかもと思う。
八雲だって後藤さんを信頼して
いるから奈緒を預けていた。
まあ、子供のいる家庭で煙草は
良くないってのは勿論だけどね。
後藤さんは、少し考え込んだ
様子の後、奈緒のためならと
煙草をゴミ箱に投げ捨てた。
このお話のスタートの頃から、
後藤夫妻はあまり円満とは
言えないような状況だった。
でも、お互いがお互いを大事に思う
気持ちはずっとあったように感じる。
奈緒の存在によって…二人の間に
いつの間にか出来ていた壁が
いとも簡単に壊されたんだろう。
奈緒も、後藤夫妻も…これから
幸せになってくれたらいいな♡

一心さんの葬儀の日。
一心さんは移植できる全て
の臓器を提供したらしい。
きっと彼の心臓は佳子ちゃんの
元に届いていることだろうと思う。
そんな葬儀の後、1人考え込み
ながらその場を立ち去った八雲を
心配して追いかけていった晴香。
(正確には周りに背中を押され
追いかけることにした晴香w)
毎日一心さんが座禅をしていた
場所かな??そこに、八雲はいた。
ふと顔を上げ、ゆっくり話し出す。
「…まだそんなところにいたのか。
だから叔父さんは心配しすぎ
なんだよ。ぼくにはもう赤い眼を
隠す必要はないんだ…ぼくも奈緒も
大丈夫だ。僕らは一人じゃない。」
家族がいる…だからもう行けよと
言った八雲の言葉を合図にする
ように…風が吹いて花びらが舞う。
一心さん…行ってしまったみたい。
最後に楽しそうな笑顔と
ありがとうの言葉を残して。
~ひとこと~
わ~!!!!!完結です!!!!
もう、めっちゃ泣きましたよ。
最初はほんとたった一人の世界に
こもっているように思えた八雲。
それでも、彼を支えたがっていた
人はずっといたんだけれどもね。
一心さんや後藤さんなんかがそう。
そんな存在に気付き受け入れられた
のはきっと晴香に出逢えたからだろう。
ずっと心に抱え続けていた不安や
恐怖、生きていていいのかなんて
思いさえあった八雲だけど、もう
大丈夫だよね。これから先、また
あの男は八雲を傷つけに来るだろう。
心を傷つけ同調するチャンスを
狙ってくるんだろうと思う。
落ち込む時も、苦しむ時もまた
出てくるかもしれない。それでも
そんな時は彼を支える家族がいる。
血の繋がりよりも深い絆で
結ばれた大切な家族がいる。
きっと…もう大丈夫だよね。
ほんと…素敵な話でした。
カテゴリーをね、どこに分類して
よいものか迷った挙句ホラーと
ミステリーに分類したわけですが、
もしかしたら人間ドラマ的な要素も
かなり大きかったかもと思います。
…それではまた、他の作品で。
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました☆