著者
原作:神永学 先生
作画:小田すずか 先生

この話を聞いた八雲はこの
看護師の話に違和感を覚えた。
多分こういうことだろうか。
その幽霊を見たのは患者の彼。
そしてその直後に階段から足を
踏み外して結果亡くなってしまう。
じゃあ…一体誰がこれを見たんだ?
この看護師は見ていたというのか…?
実際、そういうことだった。そこで
転落死した青年の言葉をなぜ看護師が
知っているのか…と八雲は話していた。
八雲の言うには…その古川という
看護師の話だが、まだ出来て半年の
病院なのにそんな短期間で何人もの
人が不可解な死を遂げているという。
そんな事態で管理責任を問われても
おかしくないのにニュースにすら
なっていない…古川は真に受けている
ようだが、これは単なる噂話だ、と。
一心さんの知り合いからの相談で
一心さんからの依頼だが、一心さんも
知り合い・医師の新井さんも今回の
心霊現象を信じていていないとか…。

後藤さんたちに自分を殺すと
いう七瀬の殺人予告を聞かされ、
全てわかっていたかのような
態度をとったように感じた。
そしてずっと八雲のことだけを
思い守ろうとし続けていた。
日課として、一心さんは座禅を
組む時一人になる…その時を
狙ってやってきたようだった。
殺気…それは憎しみではなく、愛?
一心さんはこの後ナイフで刺される。
(ここで殺されるのも運命―
…最後にもしも願いが叶う
のなら、奈緒、八雲…お前
達に会いたかったよ―。)
抗うこともせず、受け入れた?

一心さんの手術は一応成功。
だが現状自発呼吸も出来て
いないような厳しい状況だ。
殺人予告を聞いた時、彼は後藤
さんに言っていた。もしそう
なったら、八雲と奈緒を頼むと。
奈緒を預かることにした後藤さん。
そして集中治療室をガラス越しに
見ていた彼らの目の前に現れる、
噂の幽霊…?患者の死を願う言葉。
もっと早く死ねばいいとでも
言いたいのかしらこの子は。
…噂と言っていたけど、やっぱり
ただの噂ではないのだろうか。

ある日の拘置所内。
七瀬はこう口にする。
「私はたった今…人を殺した。」
その日、刺されたのが一心さん。
後藤さん達と七瀬の面会以降かな?
密かに調べていたことがあった。
面会に立ち会った刑務官の経歴。
山村幹夫という男…そして
彼の住所に着目した石井。
その場所は、15年前に事件の
あったあの洋館と100メートルも
離れていない場所だというのだ。
幼少期の七瀬となんらかの接点
があった可能性もあるということ。
更に調べていくと、七瀬が人を
殺したと言った時の話なんだが、
彼女は独房で吐血したらしいのだ。
その後の様子から、彼女が拘置所を
抜け出し一心を刺した可能性が出る。
それは、可能なことなんだろうか?
でも一心さんを刺したナイフからは
確かに七瀬の指紋が出ていたという。
可能性としては…あるのかもしれない。

一心さんとの面会許可がおりた。
後藤さんの奥さん、敦子さんと
晴香と奈緒の3人は面会に行く。
彼の手はちゃんと暖かかった。
大丈夫…ちゃんと生きている。
そう安心した直後のことだった。
ベッドの向こう側に現れた噂の霊。
「いつ、死ぬの…」
今度は…一心さんが死んでしまうの?
この霊は一体何者なんだろうか。
八雲や両眼の赤い男に霊が
見えるのはわかるけれど、最近
普通に晴香達にも見えてるのが
不思議でならないのだけど…一心
さんは死んでしまうんだろうか。
でも、なぜこの質問で
人が亡くなってしまうの?

一心さんは晴香のことを八雲の
婚約者だと医師で友人の新井に
話していたようだった。まるで
その先自分に待つ運命を全て
知っていたかのように準備がいい。
一心さんの、そうあったらいいと
いう願いもあったのかもしれない。
親族にしか明かせない内容だが、
親族の婚約者の晴香になら…と
新井先生が話してくれた内容は
あまりにショックの大きいもの。
脳死…仮に植物状態なら目を覚ます
可能性だってあったと思うんだ。
でも脳死ってのは、その可能性すら
ないということなんだろうか…?
知識がないのでよくわからないけど、
多分…そういうことなんだと思うの。
…一心さんがもう…助からないの??

拘置所の医務室に話を聞き
に行くと後藤さんと石井。
独房から抜け出し犯行に及ぶのは
難しくても、医務室からなら…
そう考えていたが、実際に抜け
出すには多くの障害があった。
指紋認証と鍵を利用した二重
ロックのドア。至る所に設置
された監視カメラによる見張り。
それらを掻い潜って抜け出すのは
決して簡単なことではないだろう。
ただ一つ、不可能ではないかも
しれないと期待の持てる情報も
手に入った…刑務官の山村がそこ
に現れていたという事実だった。
この時点で、七瀬が拘置所を
抜け出し犯行に及んだ可能性と、
予め何かトラップを仕掛けておき
それで拘置所にいながらに反抗に
及んだ…2つの可能性が出ていた。
トラップの線で、現場を調べると
血痕のついたワイヤーが出てくる。
まだ答えにはたどり着けない。
それでも、少しずつ可能性が
絞れるようになってきている。
後藤さん監禁事件の頃から石井、
たくましくなってきたね、ほんと。
~ひとこと~
12巻でした。
一心さんのことでショックを受けた
八雲は、ずっと一人で行動していて
誰も連絡がつかない状態だった。
(もしあの時(母親に殺されかけた
時)…死んでいれば大切な人を
失うこともなかったんだろうか)
一人、そうやって苦しみ続けていた。
ずっと考え込んでいるように思えた。
…八雲は…、大丈夫なんだろうか??
一心さんのことは、本当にもうどう
することも出来ないんだろうか?