心霊探偵八雲 第9巻

著者
原作:神永学 先生
作画:小田すずか 先生

心霊探偵八雲9-1

「八雲くん逃げて!!
私の足には導火線が…!!」

「知ってるよ。」

晴香を抱き上げプールの
水の中に放り投げた八雲。

予想は出来てたけど…良かったw
そして真人に対して未だ背を向けた
ままの牛島…そして八雲の声がかかる。

「真人!!今だやれ!」

予め用意しておいた電気コード。
真人の両腕を縛っているように
見せかけて、ずっとそれを隠し
持っていたということだろう。

電気コードで牛島を感電させる。
真人が、自分で呪いを断ち切る
きっかけを、こうやって作ろう
としたのかもしれないね、八雲。

八雲の言葉に…ハッとして涙を
流しながら話し初めた牛島。

母親からひどい虐待を受け
続けた。ただ普通に暮らして
いたいだけだったのにそれすら
叶わなくて、ずっと辛かった。

「同じ人間なのになぜ違う…!!」

そう、涙しながら叫ぶ牛島。
でも、八雲だって過去に母親に
殺されかけている。真人の母親は
不倫相手と家を出ていき、父親は
その鬱憤を真人にぶつけてきた。

それぞれがいろいろとつらい
思いや経験を重ねてきたのだ。

でも、こんなに幼い真人ですら、
逃げずにずっと立ち向かってきた。
そんな彼に更なる苦しみを背負わせた
のは、他でもない牛島だったのだ。

真っ直ぐすぎたこの少年真人と、
自分の抱えてきた思いにやっと
気付いてくれた人が居たことも
あったんじゃなかったろうか。
きっと、牛島はもう大丈夫だ。

心霊探偵八雲9-2

今回の事件は牛島によるものが
ほとんどだった。まず戸部の父親を
殺したのは、ガンになったことで
罪の意識から全てを明るみにしよう
としたことが理由の犯行だった。

そしてその罪から逃れるために
また身代わりが必要になった。

佐々木の助けを借り逃亡した後、
今度は大森博則に成り代わろうと
息子の真人を共犯者に仕立て上げ
博則を殺害、自分の左手を切り
落とし自分の死体に見せかけた。

博則の死後、頻繁に家を訪れる駒井を
邪魔に感じ自殺に見せかけ殺害した。

そして謎な行動の多かった今野教頭。
彼は今回の事件とは一見無関係だ。

彼が隠していた趣味…簡単に言えば
盗撮だった。プールの更衣室内に
カメラを取り付けていたようだ。

それを知った牛島が、そこに自分が
映っているかもと思い、ビデオを
奪おうとしたおかげで、結果的には
彼を逮捕することが出来たとのこと。

それがなければとっくに姿を
くらましていただろうって。

そして全て謎のままで終わった
佐々木杏奈を名乗る女の正体…。
結局、何もわからなかったのだ。

ただ一つ、佐々木は八雲に伝言を
と石井に話して立ち去っていた。

「可愛い私の弟…八雲
に宜しく伝えて頂戴。」

八雲が弟…?彼女は一体何者??
あの八雲の父親を名乗る両眼の
赤い男側の人間だったりする?

心霊探偵八雲9-3

真人は長野の伯父の所で生活
することになった。今日でこの
町ともさよなら…どうしてもまだ
暗い表情を引きずって旅立とう
としている真人に八雲は伝える。

「真人、ぼくと一つ約束しよう。」

そう言って、どんな約束をしたのかは
八雲と真人にしかわからないけれど、
最後にこんな素敵な笑顔を見られた
なら…きっとこれでよかったんだろう。
今度こそ、幸せになって欲しいな。
少し後、明かされた八雲の言葉。

「近いうち、君(晴香)と
一緒に会いに行く。」

それであんな風に笑顔になってくれた。
呪いを断ち切ったとは言え、今後も
父親を死に追いやったと苦しみ続け
ながら生きていくであろう真人を、
彼らは支え続けてくんだろうね。

心霊探偵八雲9-4

後藤さんと石井は、ビルの解体現場に
出没する不審者の調査という名目で
あるビルにやってきていた。そこに
辿り着くと後藤さんは目の色を変えた。

その場所は、過去に八雲が母親から
殺されそうになっていた場所だった。

まだ交番勤務の制服警官だった頃の
後藤さん、子供が殺されそうだと
通報を受けてかけつけたのがそこだ。

そんなことをふと思い出していた
時、ビルの外に人影を見つけた。

彼の名は武田俊介というらしい。

「15年前丘の上の洋館で起きた
惨殺事件の容疑者武田俊介ですよ。
あと五日で時効のはずです。」

逃げる武田を追いかけようと
するが、ビルを出た所で彼は
姿を消してしまったのだった。

その15年前の事件の洋館に、
幽霊が出るという噂があった。
それを暴こうと某ケーブルTVが
洋館を撮影していた時、奇妙な
ものが映り込んだと言うのだ。

簡単に言えば霊…でもそれは事件で
亡くなったという何者でもなかった。
そこでその撮影されたビデオを八雲に
確認してほしいと言う話になった。

だがそれを見た八雲は…あからさまに
暗い表情をしてその部屋を出てしまう。

心霊探偵八雲9-5

武田を容疑者とした洋館での事件。
洋館に住んでいたのは七瀬寛治、
その息子勝明、寛治の孫娘美雪等。

新聞記者で、寛治が理事で、勝明も
勤務する中学校のイジメによる自殺
について記事を書いていた武田。

裁判は学校側の勝訴で終わったが
武田は自殺した生徒の父親を応援
する形で、記事を書き続けていた。

だがそれを疎ましく思った勝明は
新聞社に圧力をかけ武田を解雇させた。
その後勝明の差し金によって不当に
借金を背負わされたという武田。

七緒の家を恨んでいる可能性は高い。
それらに関して話をつけにいくと武田
が屋敷を訪れたその日、事件は起きた。

そこで、死体も見つかっていない美雪
ちゃんだけは、誘拐されたという話で
まとまっているらしいが、この事件に
真琴はいろいろ納得いってないようだ。

謎の…多い事件なんだよね。

心霊探偵八雲9-6

真琴と石井の話の少し後に、当時この
事件に携わっていたという宮川課長が
後藤さんに伝えてくれた事実がある。

「あん時現場にいた男の両眼は焔
みたいに真っ赤に染まっていたんだ。」

両眼が赤い男…?それって八雲の
父親を名乗るあの男のことか??

それを後藤にだから話すんだと
教えてくれた宮川課長は、お前
なら別ルートで捜査できるだろと。
…八雲達のことを言ってるのかな。

こうして後藤さんは石井を連れて
例の洋館にやってきた…が、ホラー
っぽいものがどうしても苦手な
石井は洋館の入り口で一人後藤
さんの帰りを待っていたのだ。

一人で洋館に入った後藤さんは、
何者かに襲われてしまう…あまりに
帰りが遅いと怖がりながらも屋敷に
入っていった石井…でも時既に遅し?

先程後藤さんがいたであろう場所
に落ちている後藤さんの携帯電話。
辺りを探そうとするとそこに突然
例のビデオで見たような女性の
幽霊が浮かび上がってきたのだ。

気絶して目を覚ますと彼は屋敷の
外…後藤さんは…どこへ消えた??

襲われた所を見ると…拐われた?
襲われる寸前、彼が気付いた
ことは一体なんだったんだろう。

心霊探偵八雲9-7

これは例のビデオを八雲が見て
部屋を飛び出した直後の話だ。

いつもとは明らかに様子が違う
八雲から晴香に電話が入った。
何かあったの?と心配する晴香。

「……何もないさ、とにかく
今まで色々すまなかった。」

そんな、まるで別れの言葉のように
それだけ伝えて電話を切ってしまう。
そしてそのまま電車…新幹線?に乗って
どこかへ言ってしまったのだろうか。
それを最後に連絡すらつかなくなる。

そんなある日、晴香の寝室、気が
つくとそこに男の人影があった。

心なしか武田俊介に思えたけど…
これはあくまでも過程のお話。

その男は、八雲を助けて欲しい
と晴香に伝えに来たようだった。

一体彼が何者なのか、何のため
に晴香の所までやって来たのか。
彼と八雲の繋がりはなんなのか全く
わからないことだらけだが、八雲を
心配していた晴香は何か知らないか
と一心さんの元を尋ねることにした。

一心さんも八雲を捜している
様子だったが、居場所の有力な
情報を手に入れることは出来ない…

ただ、母親のことを気にしていた
ということは…長野に母親に関する
場所があればそこにいるかもしれない。

…晴香は八雲の元へ無事
辿り着けるのだろうか。

~ひとこと~

晴香は八雲を捜しに行動に出る。

その頃、自分の無力さにひたすら
落ち込んでしまっていた石井。
後藤さんに甘えてばかりで
自分は足手まといだったと。

そんな石井を怒鳴りつけた
宮川課長。落ち込んでいる暇
などない、今やるべきことに
気付いてほしかったのかもな。

そしてそれでもなお泣き続ける
ことしか出来ない石井の元へ
やってきたのは真琴だった。

後藤さんの件を知って何か
出来れば…と来てくれたのかな?

「大丈夫、あなたは一人ではあり
ません。私も一緒に捜します。」

真琴と石井は後藤さんの
捜索を始めようとしていた。

今回の事件はかなり危険な物な
気がしている…これ以上犠牲者が
出ることがなければいいと思う。

みんな…無事でいて。
ではまた10巻で☆