著:唐々煙 先生

「誰かが宗馬を嵌めようとしてる。」
院長を刺したのは宗馬先生だという
目撃情報はあったけれど、梶原は
それが本人ではないとわかった上で
ややこしいことにならないように
宗馬を院から遠ざけようとした。
宗馬に対する恨みを持つ人物が
やった犯行ってことだろうか。
それとも、極楽苑への恨みに宗馬
先生が利用されてるって感じかな。
そこんとこまだわからないけど、
厄介なことになってるらしい。
北城さんは、院長のことは話さず
帰らないよう見張ることにしたが‥
私用でやってきたという三谷田に
がっつり話されてしまったようだ。
そして、何やら怪しい女が‥
元極楽苑の人間だったらしい。
シニガミの特効薬を売ってるという
噂の怪しいBarがあり、そこで彼女は
シニガミを活性化させる薬を売っていた。
そして彼女と‥何かの組織だろうか。
極楽苑に恨みを持っているようで‥
院長の事件と関係ある感じかな。

極楽苑での状況を把握した宗馬
先生は、無実の罪を晴らすと
言ってその場から逃げ出した。
状況の確認のために梶原に電話を
かけると、梶原の様子がおかしい。
「おまえほんまに宗馬なん?
だって宗馬は…いまここに-…。」
梶原の元にいたのは、宗馬先生と
そっくりな顔をした男だった。
シニガミと名乗ったそいつは
梶原に斬りかかると、極楽苑の
データを盗み、広報室に梶原を
閉じ込めて部屋から出ていった。
院長の事件の犯人もこいつだろう。
梶原を閉じ込めた後、そいつは院内を
うろつきながらシニガミを撒き散らす。

傷を負った梶原は、いち早く
状況を周りに知らせるために
広報部部長の加美山に連絡した。
彼女から極楽苑の状況を聞いた
宗馬先生はヒヨに待ってるよう
伝え単身で院に乗り込みに行く。
「勝手に‥余計なことをして宗馬先生
を傷つけるのが怖いんです。うちが
もっと強かったら-…知識だけじゃ
ダメ、シニガミに向かっていける
強さがないと。きっと死に急ぐ宗馬
先生を支えられるのはそういう人。」
だからそんな自分には宗馬先生の
邪魔をせず従うしか出来ない‥と。
本当は引き止めたいのにそれが
出来ない理由をヒヨはこう話した。
「梶原さんから連絡頂きました。
すこし極楽苑の様子を見てきます!!」
そんなふうに諦めた態度の彼女の
上空を‥北城さんが猛スピードで
通過し宗馬先生を追いかけていった。
危険とわかっていても立ち向かう。
そんな宗馬先生を複雑な気持ちで
見送るだけではない、背中を押し
一緒に戦おうとしてくれるんだ。
北城さんなら‥本当に宗馬先生を
止められる人になれるかもしれない。

犯人に心当たりはないのかと
宗馬先生に問う北城さんに対し、
ひどく暗い表情でこう答えた。
「山ほどあるよ。
許されるとも思ってない。」
それは、13年も前の出来事。
まだ幼かった宗馬、父はドクター
母は看護スタッフとして働いていて
父のようなドクターになりたかった。
でもドクターになるには、自分の
身体をモルモットのようにして
少しずつシニガミの毒素を取り込み
ゆっくりゆっくり時間をかけて
体内で抗体を作り続けるらしい。
そんな中で少しでも弱ると、
体内のシニガミに飲み込まれる。
そうなってしまった者は隔離され
‥そのまま1人朽ちていくのかな。
「助けてくれ…。」
泣いてすがるようなそれを見て、宗馬は
その扉のスイッチを押してしまった。
‥そこからは、暴走したシニガミが
薬品と反応し更に暴走を加速させ、
あっという間にその船を飲み込んだ。
宗馬の両親は息子を助けようと
隔離された空間に宗馬を閉じ込め
‥きっとその後2人はシニガミに
飲み込まれて亡くなったんだろう。
船にいた人が全てシニガミに飲み
込まれ‥全てが終わった後、そこで
ただ1人生き残った宗馬は保護された。
大事故を起こすきっかけになった
少年1人だけが生き残ってしまった。
「ひたすらシニガミを喰らい
知識をつけてドクターになった。
もうだれ一人花にさせない。俺が
シニガミを根絶やしにしてやる。」
そんなふうに過去の話をする
宗馬先生は、ずっとずっと
自分を許せずに生きてきた。
だからこんな生き急ぐのかな。

IDがないと院内には入れない。
誰か院の者が協力してる‥!?
そう考えて調べてみると、実際は
院内にいないのにIDだけが院内に
いる人物‥そこに三谷田が該当した。
三谷田、共犯者である
可能性が高くなってきた。
そしてここには、シニガミと
名乗るドッペルゲンガーと
対峙している宗馬先生がいた。
「13年まえ(あのとき)の悲劇を再び。」
そう言葉を残しシニガミは立ち去った。

「一之瀬 宝良(いちのせ
たから)。俺の弟だ。」
先程のシニガミとの会話で、
宗馬先生にはこの事件の主犯が
何者かわかったようだった。
詳細は不明、死んでしまったと
思われていた宗馬先生の弟が、
実は生きていて復讐しようと
この事件を起こしているようだ。

本編はここまで、2巻のラストには
梶原と宗馬先生の昔話が描かれてた。
9年前、派遣組見習いということで
梶原の前にやってきたのが宗馬先生。
当時は無愛想で、さっぱり笑わない。
その頃から、広報部として宗馬
先生の活動を追いかけていた。
そんなある時のこと‥
「お前危なっかしいから気ぃ
つけぇよ。死ぬんやったら一人
でも多く助けてから死んでくれ。」
まるでシニガミに向かっていって
死にに行くように見えた宗馬に
梶原が心配して言った言葉だった。
言い過ぎたかと思った梶原。でも
それに対して宗馬先生は目を輝かす。
今の北城さんのように、背中を
押しつつ一緒に戦ってくれる
存在とはまた違うけれど、ただ
守りに入って死ぬなと言ってくる
者とは違う、それでも現実を誰より
しっかり見て生きている宗馬にとって
梶原の言葉は嬉しかったのかもな。
それをきっかけに、宗馬先生は
梶原になつくようになったみたい。
一人になっても重いものを背負って
戦い続けるんだろうと思ってた宗馬、
今はヒヨと北原さんと一緒に歩いてる。
そんな様子を見て、何だか随分
嬉しそうな表情を見せた梶原だった。
~ひとこと~
2巻でした。まだまだ謎は多い。
でもどう考えてもつらい状況。
宗馬先生の弟が一体何を思って
復讐をしているというのか‥
宗馬先生が話していたように、
彼一人を恨んでいるのなら話は
わかるが目的は宗馬先生と極楽苑
全体に向けた復讐のようだった。
まだまだ謎だらけなのに3巻で
お話は完結してしまいます‥
良かったらお付き合い下さい。