著:空木かける 先生

他月が約束で空くんに話せない
ことがあるって話、その約束を
したのは他月が幼い頃だった。
ドラゴンと会ってコレクターに
襲われて、その時助けてくれた
のはモクレンさんだったという。
そういう種族と関わることで
他月もケガをして、親御さんの
気持ちを考えたモクレンさんは
他月と関わりを断とうとした。
空くんやモクレンさん達との関わりが
なくなればそういう種族との関わりも
なくなり他月は安全と考えたんだろう。
でも他月はそれでは納得ができず、
「モクレンが柏木くん連れて行く
なら俺が恨む…っ。アイツと
引き離すことも俺を助けたこと
も絶対恨むからな…っ。」
そう言う他月に、モクレンさんは
空くんに話さないと約束できるなら
という条件を出したようだった。
空くんに話せないのは母親との
約束だとモクレンさんは言った。
少し前に他月がモクレンさんと話してた
ことだけど、保護官のことは空くんが
18になったら話すつもりでいたらしい。
でも今はミーくんのこともあってそれも
追々と言ってて、細かい事情はまだ全然
わからないけどきっと話せない方も辛い。
いつか、ちゃんと話せたらいいよね。

立秋が今の関係が変わることを嫌がる
気持ちは知ってたけど、変わるという
より失うことを怖がってるようだった。
それは立秋の育ちが関係していたみたい。
いいとこの坊っちゃんだし、周囲の子供の
中には親からあの子とは仲良くしておけと
言われて友達をしてる子もいたようだ。
でも悪夢を見るようになってから、
それまで当たり前にそばにいた人達は
次から次へと離れていってしまった。
呪いのせいで実家を追い出されたのも
大きな原因だったのかもしれないね。
理由がなければ人との関わりなんて
簡単に切れてしまうものなんだって
思うようになったのかもしれない。
だからこそ呪いがなければムクムクは
離れてしまうかもしれない、空くん達
とも関わりがなくなるかもしれない‥
そんなふうに思ってしまったんだろう。
「…一緒にいていいのか、
わかんなくなるだろ。たとえ
半分でも…解けちまったら。」
でもそんなふうに思っていた立秋に
他月は滑ったと言って靴を投げた。
育ちや呪いの影響で人との関わりが
そういうものだと感じながら育って
しまったのなら、こんなふうに思って
しまうのも仕方ないのかもしれない。
それでもそんなふうに思ってしまってる
立秋に違うって、そんな関係ばかりじゃ
ないんだって教えてくれる友人がいる。
きっかけはあくまできっかけだ。
今はちゃんと立秋という人を知って
立秋を大事に思ってくれる人がいる。
昔だって、立秋が諦めてしまった
だけでちゃんと立秋を大事に思って
くれてる人はいたのかもしれない。
空くん達はもちろん、ムクムク達も。
簡単には信じられないかもしれない
けど、そういう人達からの思いを
信じられるようになるといいな。

立秋は天使の涙を貰うことにした。
一粒だけとはいえ立秋の首の模様は
薄くなり呪いが薄まったのがわかった。
その上で改めてムクムクを捜しに行こう
としていた時に、空くんがこう言った。
「いや…帰ってくるんじゃない
かな。捜しに行かなくても。」
何を根拠にそんなことを言ったのか
わからないけど、その直後本当に
空くんの家の外にムクムクは現れた。
何でそうわかったのか‥それは謎。
自分で言ったのに、空くん自身も
びっくりしていて‥何だったのか。
まるでそばにいたムクムクに操られて
喋らされたのかなとか思ってしまう程
空くんの行動はすごく不自然だった。
なんとなくそんな感じがした
っていう根拠のない勘のような
ものだったのかもしれない。
ひとまず‥
無事帰ってきてくれて、立秋も
言ってしまったことを謝罪した。
ムクムクは自分を抱き上げる立秋の
顔を蹴飛ばしたり、かと思ったら
手にすり寄ってきたり、またぷいっ
としてみたり‥相変わらず立秋に
対して何を考えてるのかわからない
行動が多いムクムクだったけど 笑
よかった、やっと仲直りできたね。

ある日、丁寧に箱の中に封印されて
いた呪いのダルマの封印が解かれた。
‥箱の中で唸っていたのを見つけた
コニーが、お札が剥がせそうなのを
見つけて剥がしてしまったみたい 笑
その呪いというのは、隠しごとを
話したくて仕方がなくなってしまう
っていうとても厄介なやつだった。
最終的にはモギちゃんのお手柄で呪いの
ダルマは浄化されて九十九神がいなく
なったただのダルマになったんだけど、
それまでの間みんないろいろ暴露した。
特に他月は、モクレンさんとの約束を
破ってしまいそうになって大変だった。
結構口から出てしまってたけど立秋と
モギちゃんの助けもあり、空くんの
理解もあり全て話さない間に避難した。
気付いたらムクムクも一緒に避難
してて‥ムクムクも隠してること
暴露しそうになってたのかもね。
全てが終わり他月を迎えに来た空くんは
他月と‥もしかしたらムクムクに対しても
伝えたかった言葉だったかもしれない。
大丈夫だって、負い目みたいなの
感じなくてもいいんだって言って
くれてるみたいで‥空くんはすごい。
気にはなるだろうよ、中途半端に
聞かされることになったんだから。
それでも他月がどうしても言えない
ことがあるってわかってるからこそ
そうやって少しでも楽になるよう
言ってくれたんじゃないかな。
他月もいつか隠さずに良くなって
伝えられる日が来たらいいな。

昔空くんは神様からの言葉を
聞いて命を救われたことがある。
それはお告げってやつらしい。
言うことを聞いていなかったら
どうなっていたかわからない。
そして空くんはまた神様から
お告げを受けることになった。
これが何を意味してるのかは、
きっとその日その場に行って
みないとわからないんだろう。
幼い時のそれも、言われた通りに
行動して初めてその意味を理解
できたという感じだったから。
背後に気をつけて‥ってのも、
わからないけどいろいろ不安。
ここ最近、空くんや他月も誰かの
視線を感じるっていうことがあり、
それは決して勘違いではなかった。
以前から少し怪しい行動が見られた
柳さんという人に見張られていた。
じーっと背後から監視されていた
のが気にはなっていたんだけど、
それがお告げと関係あるかは謎。
ただ、少し不安な気持ちになった。

神様の言っていた仏滅の日、一番近い
仏滅は15日だと空くんは確認していた。
そんなある日みんなで柏木家に集まる。
他月絶賛の空くんが作ったカレーを
食べたいってことで集まったみたい。
でもその日はカレーパーティーどころ
ではなくなってしまったようだった。
お皿はどれがいいかなんて話から
それだと一枚足りないから‥そう
言った空くんの言葉がトリガーに
なったかのようにアーやんは
「一枚足りない。」
しばらくそう連呼したかと思ったら
いつも話すのとはまるで違う調子で
妙なことを次から次へと口にする。
一通り言い終わるといつもの調子に
戻るアーやんだけど、先程のことは
はっきりと覚えていないようだった。
アーやんが柏木家に来たばかりの時
予言が出来ると言っていたけど、
多分今回のがそれだったんだろう。
やろうとしてできるわけではなく、
何かのきっかけで発動する感じの
ものなんじゃないだろうか。
神様のお告げの15日(15の日)ってのが
出てきたのも気になるし‥同じことを
暗示していたのかもしれないね。
アーやんの予言は、内容は曖昧では
あるもののどう考えてもいい内容では
なさそうで不安は大きくなるばかり。

アーやんの予言の内容を
みんなで解読しようとした。
15の日は15日、天と地というのは
空と大地=空くんと立秋だと予想。
黒き獣はアーやんは木像で獣では
ないしポチのことかもしれない。
そう単純ではない気もするけど‥
個人的にはその獣帰還したもの
なりってとこが引っかかってる。
後半、西から来るその軍団ってのは
他月がコレクターかもしれないと
思って、空くんに何も言わなくて
いいのかと考え込んでいる様子。
一番最初の一枚足りないというのは
アーやんのぼんやりとした記憶から
一生懸命思い出してくれて、白くて
人のような形をしていると言った。
以前ミーくん達に神様がおまじない
だと言って白い人形の式神のような
ものをつけてくれたことがあって、
ポチとアーやんは貼ってもらって
ないからと黒き獣である可能性が
高いポチにも貼ってもらえるよう
神様にお願いしに行くことになる。
何か起きてからでは遅いからと立秋も
一緒に来ていて、内容はわからないけど
帰り際神様からお告げを受けたようだ。
帰ってきたらムクムクの様子も変で、
翌日からバアちゃんのところへ行く
予定で用意していた空くんの荷物を
ひっくり返したりしていたらしい。
ムクムクが何を考えているのか
やっぱりわからなかったけど、
とにかく行ってほしくないんだ
ということだけは感じ取ったため
バアちゃんのところへ行く予定も
少し先延ばしにすることにした。
いくら考えても私にははっきりとは
理解できない内容だけど、それでも
どうしても黒き獣と言われると
パックのことを思い出してしまう。
帰還したものってのがあったせいも
あるけど、ムクムクの様子もずっと
おかしいし‥一度消えてしまった
悪魔が戻ってくるなんてことがある
のかもわからないし勘違いである
可能性のほうが高いだろうけど‥
何をどう考えても不安でいっぱいだ。
怖いね、赤くなり‥血まみれだとか
どうしてもそういう想像になるし。
怖い‥でも神様はお告げでその
場所に行けって行ったんだよ。
ただ危ないことが起こる場所なのだと
したらそんな所に行くようにお告げが
でるわけがないから、きっと何か
行かなくちゃいけない理由がある。
それが何なのかわからないけどね、
どうか彼らが無事でありますように。
~ひとこと~
いろいろ心配すぎて心臓が痛い‥
空くんが夜悪夢にうなされていて
ムクムクがそれを吸い込んでいる
描写で11巻は終わっていました。
悪夢とはいってもはっきり描かれて
いるわけではなかったけれど、
「殺してやる」「うらぎりもの」
そんな声が聞こえているような、
どう考えても悪夢だったと思う。
わからない、何が起ころうとして
いるのかわからないけど絶対に
何かが起こってしまう‥そういう
漠然とした未来への不安でいっぱい。
どうか彼らが無事でありますように、
辛い思いをせずに済みますように。