ミイラの飼い方 第10巻

著:空木かける 先生

季節はバレンタイン。

みんなそれぞれにいろんな
バレンタインを過ごしてたけど、
どこもとっても微笑ましかった。

そして‥こちらは他月の場合。
他月はとにかくものすごーく
モテるらしいことが判明した。

学校に行ったら、下駄箱の中
いっぱいにチョコが入っていて、
でもそれらは全部本人に返して
1つも受け取らなかったんだとか。

そんな行動をとるのも、ずっと
ただ1人好きな人がいるからだ。

そういうとこが余計にモテる
とこなんだろうなと思った。

カエデさんのことが好きなのね。
今は伝える気なさそうだしカエデ
さん本人も全く気付いてないけど。

他月の真っ直ぐすぎる恋、いつか
叶う日が来たらいいなと思った。

鬼はどうやら雷が苦手らしい。

ある雷が鳴るほどの大雨の日。
お菓子を目の前にしてるのに
コニーが食いつかず動かない。

「雷の音聞くと怖くて体がすくむ
んだって山田さんが言ってたよ。

でもそれが周りにバレるのは恥ずかしい
から必死に平静を保とうとした結果
体が動かなくなっちゃうんだって。」

コニーの異変に慌てる他月に
対して空くんが教えてくれた
のがそんな鬼の特性だった。

放っておいたほうがいいという
空くんだったけど、他月はただ
放っておくことができなかった
みたいで、コニーの耳を塞いだ。

コニーが可愛くて仕方ないんだろう。
全然放っとけてない他月が可愛すぎた 笑

呪いのことを聞いてパックのことを
思い出した立秋は、実家の料理長が
パックのことを知っているからと話を
聞くために実家に顔を出していた。

坊っちゃんなんだろうなと思っては
いたけど‥想像以上に坊っちゃん。

執事とかメイドさんいたし、
家にシェフがいるってのがまた‥
まあそんなことは今はよろしい。

唯一パックのことを知っていた
料理長に覚えていることはないか
と尋ねると、彼は表情を曇らせる。

一度だけ見たことがあると言って
彼が書いてくれたパックの絵は、
どう見てもうさぎではなかった。

そこでずっと忘れていた真実を
思い出した立秋は倒れてしまった。

絵を見て記憶を封じ込めていた
蓋が壊れてしまったみたいに。

倒れた立秋は夢を見ていた。
それは、彼がまだ幼い頃に
パックと過ごしていた時間。

最初その生き物をうさぎっぽい
UMAだと立秋は言ってたらしい。

家に連れて行っても飼っちゃダメ
だと言われるからみたいな描写が
あった気がするんだけど、本当は
UMAは人に見つかったら実験台に
されてしまうからと、口を滑らせて
バレた料理長以外は誰にも秘密に
するためにこっそり飼ってたんだ。

最初に見つけた時の足のケガは
治っていたのに、その日パックは
血まみれで灰になって消えてしまう。

そのすぐそばに怪しい大人が2人。

「まさかコレクタ…っ。」

そう言いながら、立秋はすごい勢いで
起き上がったため心配してそばにいて
くれた料理長と頭をぶつけてしまった 笑

これまで当たり前にそう思っていた
記憶達が、思い違いをしていたって
内容がいくつかあった気がする。

それに他月が教えてくれたから
コレクターに傷つけられたのかも
って可能性に気づくことができた。

呪われな方だけマシ‥そばにいた
大人達の言葉が、パックが悪魔で
ある証明になったように思えた。

空くんが、悪魔は自分が死ぬ時に
一番近くにいる人間に呪いをかけてく
って教えてくれてたけど、パックは
すごく立秋に懐いてたしそんな立秋に
呪いなんてかけたくなかっただろう。

それでも悪魔の性質上、死ぬ間際に
そばにいた立秋に呪いがかけられた。

そういうことなんだとしたら‥
それはすごく悲しいことだよね。
立秋はいっぱい辛い思いをしたと
思うけど、もしかしたらそれ以上に
パックは苦しかったかもしれない。

呪いがかけられたきっかけが
わかって、難しいこととはいえ
解き方もわかってたのに立秋は
ずっと何ともいえない顔をしてる。

それは他月が思っているように、
悪夢を食べるムクムクの存在が
立秋を迷わせてるからだろうね。

呪いが解けて悪夢を見なくなったら
ムクムクは餌がなくなってしまう。
そうしたらこのまま立秋のそばに
いるのは難しくなるかもしれない。

一緒にいれなくなることがなのか、
餌を与えられなくなることがなのか。
立秋が今どこまで考えているかは
わからないけど‥ムクムクのことが
大好きだからこそ悩むんだろうな。

まだ、立秋の中で得体のしれない
バクという生き物と出会ったばかり
の頃だったらこうはならなかった。

ずっと一緒に過ごしてきた時間で
ムクムクを大事に思う気持ちが
出来てしまったからこそだろうな。

でも立秋の呪いに関して、そして
パックに関しても何か知ってそうな
ムクムクは立秋の迷いをどう思うか。

ムクムクが何を思って、どうして
立秋の所に現れたのかはわからない
けど‥きっと立秋がムクムクといる
ために呪いを解かないなんて選択は
ムクムクの本意ではない気がする。

だってムクムクも立秋のことを
大事に思っているんだろうから。

突然‥モクレンさんが帰ってきた。
実はほんの少し前に偶然にも立秋と
遭遇してるシーンがあったんだけど、
それからもいろいろあって柏木家に
辿り着くまでに少し時間を要した 笑

モクレンさんとはミーくんも久しぶり
の再会だというのにミーくんに元気が
ないのは、きっとここに来る前にした
モクレンさんとの約束が原因だろう。

「待たせちまったな。
エジプトに帰れるぞ。」

エジプトで家を失くしたミーくんの
一時的な住処として送られたのが
柏木家で、エジプトに新しい家を
見つけたら迎えに来るという約束。

ミーくんが送られてきた時の手紙に
一時的にとか迎えに行くなんて内容
なかったから、空くんはミーくんは
ずっとここで暮らすと思っていた。

それでも本来の目的がそれならば、
今少々強引にでも送り出さなければ
ミーくんは後悔することになるかも‥

だからこそ少しミーくんを突き放す
ような態度をとってまで、空くんは
ミーくんの背中を押そうとしていた。

でも、空くんがミーくんを大好きで
一緒にいることを望むのと同じように
ミーくんだってずっと空くんと一緒に
いたいって思ってしまってただろう。

そこで口を挟んでくれたのは他月。

「ミィは帰りたく
なさそうに見えるが…。」

そこでモクレンさんは、ミーくんの
意思を無視してまで無理にエジプトに
連れてくつもりはないと言ってくれた。

モクレンさんの説明不足にはかなり
振り回されることになってたけど、
なんとか無事話が済んでよかった。

「これでミーくんがほんとに
帰っちゃったら一生
許さないところだったよ。」

空くん本気で怒ってました 笑
他月もめっちゃ怒ってたし‥
モクレンさん、もうちょっと
説明しっかり頼むわ、ほんと。

焦ったけど、良かったね。
これからもそばにいられるよ。

モクレンさんに、最近の友達や
いさおやムクムクの話をしていて
空くんは立秋の呪いのことを思い出す。

「そうだ親父!天使のこと詳しいっ?」

空くんは立秋の呪いについて
モクレンさんに話をしていた。

「事情があるんで一つ
しかあげらんねぇが…
それだよ、天使の涙。」

モクレンさんは天使の涙の入手方法は
教えてくれなかったけど、代わりにと
言って持っていた天使の涙をくれた。

もしかしたら‥他に呪いを解きたい
誰かの存在があるのかもしれないね。

立秋の気持ちがはっきりしないからと
電話をかけ立秋に天使の涙の話をする。

話を聞きたいからと柏木家に
顔を出した立秋だったけど、

「…すみません、受け取れません。」

立秋は受け取ることを断った。
その場では、中途半端な気持ちで
貴重なものをもらえないと言ってた。

家に帰り受け取らなかったことを
ムクムクに話すと、酷く怒られた。

怒っている理由に立秋は気づかずに
最後にムクムクが一番傷つく言葉を
ぶつけることになってしまった。

初めて見た、ムクムクの涙。
ムクムクの目的や隠したがっていた
ことが何なのかまだ何もわからない。

でも自分の存在が立秋が呪いから
解放される妨げになっているんだと
知ったから、ムクムクは立秋の前から
消えてしまったのかもしれないね。

ムクムク‥ほんと何を抱えてるの。

~ひとこと~

立秋は天使の涙を受け取らなかった。
ただ立秋の気持ちやムクムクの抱える
ことを思ってか、空くんは天使の涙を
自分がもらっちゃダメかと尋ねていた。

次にモクレンさんが返ってくるまでに
使わなかったら返すからと言って。

どうなるやらだね、不安なとこだけど
立秋もムクムクもきっとお互いのことが
大切だから今こうなってると思うんだ。

お互いの思いが台無しにならない
解決方法が見つけられたらと願います。