ミイラの飼い方 第8巻

著:空木かける 先生

「夏休み入ったらどこか
連れてってやるから!ね?
その時はアーやんも一緒に行こ。」

いろんな所へ行ってみたいアーやんと
そんな約束をしたことをきっかけに、
みんなを遊びに誘うことにした空くん。

でも他月に声をかけた時に、つい
余計なことを言ってしまったんだ。
卒業したらもう行けないって。

それを聞いた他月も、空くんの
気持ちの内側をえぐるみたいに
はっきりと伝えてしまうから‥

空くんの言葉には理由があったし
他月がこんなことを言ったのだって
空くんがそんなことを言ったことを
寂しいと感じたからかもしれない。

それでも一度口から出てしまった
言葉は決して消えてはくれないし、
それでもやっとした心も消えない。

信頼し合ってる2人だから時には
全てを語らずとも大丈夫と思える
時もあったけど、今回はしっかり
腹割って話す必要がありそうだ。

クラスメイトが変な生き物を見たと
空くんと他月に見せてきた写真に
写っていたのはドラゴンだった。

その場ではテキトーに誤魔化したけど、
怪我をしていたというし心配で立秋や
モギちゃんも一緒に4人で目撃情報の
あったバチ山まで探しに行くことに。

でもその日は夏至、偶然にも4人は
招待状を持っていなければ人間は
入れない、人間禁制の土地神様の
お祭りに迷い込んでしまっていた。

招待状を持っていない人間が入ると
恐ろしい目にあわされるという状況で
もちろん4人は招待状を持っていない。

空くんはみんなを助けたい一心から‥

「それまずは俺一人じゃだめですか?」

自分一人がひどい罰を受けることで
みんなを解放してほしいと交渉した。

他のみんなを帰してもらうための策
だったとしても、自分だけを犠牲に
した選択で誰が納得できただろう。

この一件はちょっと不思議な出来事で
4人は招待客として認められたため、
みんな怪我なく無事済みはしたけど‥

無事鬼から解放された空くんに対して
他月はカンカンに怒って頭を殴った。

空くんの判断に、いつも自分ばかり
犠牲にして事を済ませようとして
周りからの心配なんてお構いなし
なようにも感じたかもしれないし。

他に方法は思いつかなかったかも
しれないけど、自分達を思っての
行動だったのはわかった上でも
やはり簡単には納得出来ないよね。

探していたドラゴンは、空くんの
知り合いの山田さんという鬼が
無事保護してくれていたと知った。

でも写真のドラゴンと一緒にいたもう
1匹のドラゴンはケンカの真っ最中。

2匹でいた時に人間に見つかった
ドラゴン達は、仲間を逃がそうと
して1匹が囮になったんだという。

最終的には無事2匹とも逃げ切った
けど、最初に逃されたドラゴンの方は
囮をやって自分だけ危険な役に回った
ドラゴンを酷く怒っていたんだって。

そのケンカは今の空くんと他月の
状況とよく似ていて、2匹を見て2人
は相手の気持ちに気づいたんだろう。

他月と空くんはそれぞれのドラゴンと
少し話をして、最終的にドラゴン達は
無事仲直りすることが出来たみたい。

空くんの考え方や行動は、結構昔
からのことが影響してたみたい。

幼い頃、空くんは山田さんに招待状を
もらって何度かこのお祭りに招待されて
いたんだけど、一緒に行こうと誘われた
他月は頑なにそれを拒んでいたらしい。

こういう生き物と関わるのはもう
やめないかって、そこまで言って。
空くんは他月のその言葉を聞いて、
距離を置かれたんだと感じていた。

「いつかお前もいなくなるって、
準備してたんだ。ごめんね。」

空くんがこの夏休みを最後だと、
卒業したらもう遊べないみたいな
言い方をしたのはこれが理由だろう。

1人でなんとかしようとするのも、
巻き込んじゃいけないって考えて
しまってたのも準備だったのかも。

でも他月の言葉の意味は違った。
多分幼い頃コレクターに会ったり
ドラゴンを見つけたりしたすぐ後
のことだったんじゃないだろうか。

空くんには話せないことがある。
それでもそういう生き物達と関わり
続けていたらボロが出てしまうかも。
他月にはそういう気持ちもあった。

はっきりと理由は言えなかったけど、
他月は空くんとずっと関わり続けたい
と思っていたからこその発言だった。

「いなくなるわけないだろ、俺が。
何年一緒にいると思ってるんだ。
いい加減わかれよ。」

お互いをすごく大事にしてるし
信頼もしてるからあまり正直な
気持ちを言い合わない時もある
2人だけど、たまにはこうやって
本音で話すのも必要だったね。

けどこれでまた、2人の絆は
強固なものになった気がする。

空くんいろいろ万能なのはわかるけど
自分を大切に思ってくれる仲間達が
こんなにたくさんいるんだからさ。
時には頼りながらみんなで頑張って
いけるようになればいいなと思った。

本日は七夕‥他月の誕生日でもある
この日は柏木家に集まってみんなで
七夕まつりをやっているようだった。

もちろん、誕生日祝いも一緒に。
空くんと他月の誕生日では恒例だと
いうやりとりもおもしろくて笑った 笑

みんなそれぞれに短冊を書いて庭に
用意した笹に飾り付けていたんだけど
ムクムクが持ってきた短冊は、2枚。

それを空くんに渡すけど、内容を
見たがる立秋が寄ってこようとすると
ムクムクは酷く嫌がり立秋を威嚇した。

唯一短冊を見たのは空くんだけど、
ムクムクが何と書いていたのかは
謎だけど、もう一枚にはパックと
書かれていて‥もっと一緒って。

まず誰?そしてどういう意味?
はっきりとはまだ何も明かされて
いないけど、ここから少しずつ
明かされていくことになる。

立秋が昔パックと名付けて
飼っていた黒いうさぎのこと。

そいつの正体と、ムクムクが
立秋のそばにいる理由もね。

立秋普段は後ろ髪をおろしてるから
見えなかったけど、さすがに夏だし
暑くて全部まとめてたんだろう。

今までは全然気づかなかったけど
首にアザ‥不思議な模様がついてた。

何の不安もないような楽しそうな
光景の中にちょっとだけ不吉な
気配を感じてしまうような模様。

これは立秋のまだ幼い頃の記憶。
夢にでも見たのかもしれないね。

怪我をした黒いうさぎを見つけて、
家では飼えないからと裏の林で
ずっと1人で飼っていたらしい。

そいつがいなくなってしまって、
探して見つけた時には酷い状態で。

血まみれで、泣いているその子を
見つけた後のことが思い出せない。

これが夢だったのか、単なる回想
だったのか‥その後描かれている
立秋はいつもどおりの様子だった
けど、立秋は何を抱えてるんだ?

本人の記憶からも消えかけている
でもきっとすごく大きな出来事。

夏休みみんなで山にキャンプを
しにいくことになった。そこは
今は立秋の叔父さん夫婦の土地で、
元々キャンプ場だった場所らしい。

ミーくん達を連れて行くことを
誤魔化そうとしたんだろうけど‥

ぬいぐるみ同好会‥半分以上が
男子なのになんて可愛い同好会 笑

正直空くんと立秋がぬいぐるみ
愛でててもそんな違和感ないけど
他月だけはどうしても違和感すごい。

まあ何にしろ、立秋の叔父さん
夫婦は幼い頃から少し前までの
立秋の様子を知っててずっと
心配してくれてたみたいだから、
今の元気で明るい彼を見てすごく
安心したんだろうなと思った。

きっと2人ともいい人なんだろう。
家を追い出されてしまったりとか
いろいろ苦労してきただろうけど、
こんなふうに大切に思ってくれる
存在がいたってことには安心した。

楽しいキャンプになるといいね‥
と、思っていた矢先に怪しい情報。

「たまに人魂みたいな
ものが出るんだよ。」

テントを立てたすぐそばにある
トイレ‥その奥には森が広がって
いて、人魂が出るだなんて新情報。

少々不安な所で8巻はおしまいです。

~ひとこと~

まだ何ともいえない不安な要素
程度の情報ばかりですが、立秋の
お話がちらっちらと描かれてます。

本人はきっと今平和で楽しい日々を
過ごせているんだと思うので、今更
怖い思いはあまりさせたくないって
思うけど‥ミーくん達には見えてる
黒いもやジイちゃんが言ってた呪い。

このまま放置でなんとかなるものでは
ないのかもしれないし、いつかは
しっかり向き合う必要があるのかも。

ムクムクがいれば今は大丈夫なのかも
しれないけどこの先はわからないしね。

優しくて素直な子ばかりだから、
きっとこの先辛い思いをすることも
出てきてしまうと思うけど、決して
負けずに頑張って欲しいと思います。

1人じゃないから、心強い仲間が
たくさんいるからみんな頑張れ。