著:クール教信者 先生

勝負の結果を言えば、トールはテルネに
負けたようだが小林家にいたクレメネは
イルルとカンナに負かされていた 笑
勝負を終えて小林家に再び集合
すると改めて話をすることになる。
エルマの結婚予定の相手のことや
今後エルマが苦しみ続けるような
ことにならないのかなど、テルネ
からいろいろ話を聞く小林さん。
テルネなりに、エルマのためにできる
ことはしてくれるつもりのようだった。
エルマもそれを受け入れているように
笑顔を見せたけど、その笑顔を見た
トールは昔のエルマを思い出していた。
エルマは良心で動いていても、周囲に
集まっていた人間は自分にはない力を
持つ彼女を上手く使おうとすり寄って
いただけに過ぎなかったかもしれない。
エルマは誰かのためになるならそれが
自分が望むことではなかったとしても
そうすべきと受け入れてきたのかな。
そういう時はずっと、エルマは
自分が本当に望んでいることは
一人で抑え込んできたんだろうか。
そんなの‥これまでエルマと過ごしてきて
彼女を大切に思っているみんなからしたら
決して受け入れられない現実だろうよ。
本当にエルマが幸せになれるならいい。
今は辛くても、寂しくてもテルネが選んだ
相手のところで幸せになれるんだったら
そんな未来もありなのかもしれないけど、
‥やっぱりちょっと心配ではあるよね。

民法第627条1項を持ち出して
小林さん達は2週間の猶予を得た。
それに何の意味があるんだろうと
思ったら‥屠龍派の元に帰っていく
クレメネの角に盗聴器のようなもの
を仕込んでいたことが判明した。
そこから聞こえてきた内容は
あまりに酷いもので、テルネも
すっかり騙されたということか。
エルマの結婚相手・屠龍派の
実質的なリーダーであるジダは、
テルネの前で猫をかぶっていた
だけで屠龍派そのもの、とても
過激な考えのドラゴンだった。
このままこの結婚が進めば調和を
求めての政略結婚は無意味どころか
最悪な結果に結びつくことだろう。
盗聴器を通して小林家に響き渡った
屠龍派の話し声をしばらく聞くと
「……ぶち壊すか。」
小林さんはそう口にした。
実際どんな方法をとるのか、どんな
方法ならぶち壊せるのか、そもそも
人間である小林さんができるのか。
今回の政略結婚をぶち壊した
その先へのフォローだって必要。
いろいろ不安は多いけどこの政略結婚に
反対してる者はきっとすごく多いから、
小林さんがいればきっとぶち壊せる。
‥ほんと小林さんかっこいいっす。
エルマをちゃんと救えますように。

盗聴で明らかにヤバそうな内容を
聞いたもののテルネとジダを呼んで
問い詰めるものの、ジダは3つの首を
持つドラゴンでそれぞれの首に別の
人格があるんだという話になった。
一つはあのに凶悪な顔をしたジーと
いう、盗聴で聞いた荒っぽい人格、
一つは女性の人格、そして最後の
一つがテルネが会った比較的落ち
着いた雰囲気のある人格だった。
「ジーはいつでも
抑えられますのでご安心を。」
などと言われ、テルネは彼の言い分に
納得したようだったけど小林さんは
ずっと疑いの目を向け続けていて、
浅戸探偵事務所でアーザードに
ジダの調査を依頼したり、エルマ
の本心を確認しようと試みたり。
小林さん達がいろいろ動いているのと
同じく、テルネだって大事なエルマを
危険な相手に託したいわけではない。
彼女なりにジーの危険性を理解して
ジダに何度も確認しているようだった。
でも、やっぱりジーもテルネが話した
人格も確実に屠龍派らしい人格だった。
おそらく残りの女性の人格のみが
彼らとは違う意思を持つのだろう。
テルネは不安には思いつつも
ジダを信じようとしている。
最初の盗聴以降同じ手は使えないし
心の中でこんなことを思っていても
それを表に出すことはしないだろう。
小林さん達、ちゃんと気づけるかな。
そうでなくても、最初に言った通り
今回の結婚は壊さないといけないね。

アーザードの調査がどうなったか、
小林さん達はジダの本性を見抜く
ことができたのか‥何もわからない
ままで結びの儀式は始まってしまう。
ここまで回想シーンっぽい感じで
エルマがこれまでどんなふうに
考え生きてきたのかが少しずつ
描かれてたんだけど、エルマは
これまで生きてきた場所の中で
自分はここでこうあるべきだって
いう形になり続けてきたみたい。
きっとそういう生き方しか彼女は
知らないから、今回の政略結婚の
話も言われるままの形を成した。
神話派の大切な仲間たちのために
自分はそうするべきと思ったから。
その気持ちに嘘はなかったろうけど、
人間が生きるあの世界での生活や
友人達との時間が大好きだったのも
その場所を離れるのが嫌なのも本音。
前者を貫こうとするあまり、後者の
自分の思いに気づけないままエルマ
はここまで来てしまったんだろう。
でも結びの儀式中いい匂いがして、
一体どこからしたものだったのか
トールが作ったお弁当みたいな
美味しそうな匂いに腹が鳴る。
それをきっかけにして、エルマは
自分が本当に望むものに気付いた。
これまで我慢してるのかなと思ってた
けど自分でも気づいてなかったのね。
大好きな美味しそうな匂いでそれに
気づくってほんとエルマらしいよ 笑
大好きなみんなのところで、一緒に
美味しいものを頬張りたいんだよね。
あの場所が、そこにいるみんなが
エルマはすごく大好きなんだよ。
あのなんだか悲しそうな苦しそうな
笑顔の理由に自分でも気づけてなかった
のかもだけど、気づけてよかったね。
これから先のことはまだだけど、
一先ず自分の気持ちに自分で気づいて
あげられないのなんて辛すぎるから、
良かったなって思ってしまった。

トールを呼ぶエルマの叫び声に、
天井を突き破ってトールは現れた。
これは小林さんの作戦を遂行しに
きたってことだろう‥トールにしか
できない方法でエルマを救うために。
「なんだー!この程度か屠龍派はー!
私のような!平均的なパワーの混沌勢
にも!負けるような集団なのかー!」
周囲のドラゴン達に聞こえるように
そんなことを言いながらトールは周囲
の屠龍派を容易く蹴散らしていく。
実際はトールは混沌勢の中でも上位の
ドラゴンだが、今必要なのは事実では
なく大して強くもない混沌勢相手でも
屠龍派はロクな戦力にならない弱い
連中なのだと神話派に思わせることの
方に意味があったのかもしれない。
そんな光景にエルマ達の仲間である
神話派のドラゴン達はこんなに弱い
ようでは屠龍派と結びをする意味は
ないと口々に言い出していた。
今回の政略結婚の本来の目的は
混沌勢と調和勢の力を拮抗させその
バランスを崩さないため、混沌勢を
滅ぼそうと考えている屠龍派連中の
暴走を抑えるためが大きかったはず。
でも仮に争いが始まったところで、
こんな弱さならすぐに混沌勢に殲滅
され長続きすることはないだろう。
小林さんやトールの作戦はこの
政略結婚に価値はないと神話派に
納得させることが目的だったのかも。
それなら見事大成功に終わりそう。
トールは相変わらずすごいけど、
小林さんもやっぱりすごいわ。

ここまでいろいろあったんだけど、
簡単に言うと屠龍派のリーダーを
倒して女性の人格(2人の母親)と
話をしたことで混沌勢と屠龍派の
争いは一先ずは終わりを迎えた。
リーダーを失った屠龍派で今後
下剋上が行われることを防ぐため
テルネはトールに戦いを挑んだ。
「混沌勢をもっと強大に見せねば…
例えば…調和勢二位が敗れる…とかの!」
テルネがわざとヤラれたふりをする
目的で始まったトールとの戦いだが
エルマがトールに協力しながら戦って
いるにも関わらずテルネは激強だった。
そんな時なぜか戦力としてトールに
呼ばれてしまったのが小林さん 笑
武器として神剣を使えるものの、
小林さんが剣で戦っても戦闘の
訓練なんてしてない彼女がテルネと
対等に戦えるとは到底思えない。
だからこそトールに託したんだろう。
過去にトールに刺さってた神剣を 笑
テルネがいろいろ説明してくれてる
けど、彼女がいろいろ危惧したことは
何も起こらず、結果的にあの神剣は
トールの力を増幅させテルネを倒した。
別に死にはしなかったけど、神剣の
力はかなりのものだったようで攻撃を
防ぐために急激に魔力を使って少々
枯渇気味にはなってしまったみたい。
体張って、エルマを犠牲にせずに
目的は無事果たされたようだね。

屠龍派との一件が無事終わると、
これまで通りの生活が戻ってきた。
本当は辞表を出していたエルマだが
実はこっそり滝谷がそれを隠していて、
職場ではエルマは体調を崩してお休み
してるってことにしてくれてたみたい。
全部元通り‥でもそんな中で少し
だけ良い変化もあったみたいだね。
トールとエルマがこんなふうに、
喧嘩してるようなじゃれついてる
ような‥微笑ましい感じになった。
そうなるきっかけみたいなのも
いくつか描かれてたんですけどね、
ちょっとずつ変化してったんだろう
って感じだったので実際に読んで
理解してもらえたら幸いです。
いやーでもほんと、良かったよ。
~ひとこと~
いやー、今回も一件落着ですね。
今回のお話では自然と人間の世界に
馴染みまくってて疑いもしなかった
小林さんの職場にいる辰沢さんって
女性が実は調和勢のドラゴンだとか、
何者かわからないけどルコアさんに
オーリと呼ばれていた美人でめっちゃ
強そうなドラゴンに遭遇したとか‥
気になる部分はいくつかあったけど
一先ずぶっ壊し成功後のエルマの
楽しそうな笑顔を見たら安心したし
すごくあったかい気持ちにもなって
他は今はいいやってなりました 笑
辰沢さんは知らぬ間にアーザードの
調査をお手伝いしてくれてたみたい
なので今後もたまに職場で顔を出す
ってくらいの存在になるかもですが、
オーリというドラゴンの方はこの先
出てくることになるかもしれないです。
トールを混沌勢と見るなり戦いを挑んで
来そうになってたけど、やっと一段落
したのでしばらくはあまり物騒なこと
にはならないといいな―と思ってます。
やっぱエルマはこんな笑顔が可愛いな。
ずっとその笑顔が途絶えませんように。
見守ってる小林さんも幸せそうだよ。
今回の一件に首を突っ込んでいろいろ
ドラゴンの世界のことに手出ししてる
ことに、本当にいいのかって悩んでる
時期もあったようだけど‥きっと今は
良かったって思えてる気がします。