著:クール教信者 先生

「ヨモツヘグイという
ものを知っているかな?
黄泉の国の竃(かまど)で煮た
肉を食べてしまえばその国の
住人になってしまうという…。」
「私が同じことをしていると?」
小林さんのために自分の全ての力を
使おうとしていたトールに対して、
滝谷のヨモツヘグイの話は響いた。
今回は小林さんの腰痛がきっかけ。
でもそれ以前から、元いた世界の
ものや自分の尻尾など、この世界の
物ではないものを小林さんに与え
ようとし続けてきたトールだった。
そしてことごとく拒絶されている。
少し視点を変えて行動してみた。
「この程度で良いんですか?」
「んーこの程度でいいよ。」
トールの気持ちを、小林さんが求める
範囲で伝えていけば良いんだろう。
その範囲を少しずつ知ってけばいい。

イルルは働き先を探していた。
いろんな場所を巡って‥でもピン
と来る場所は中々見つからない。
そんな中駄菓子屋を見つけて‥
「ここ働けないか?」
店主の会田さんは足を怪我して、
年齢的にも限界かと店を閉める
ことも考えていたようだった。
でも客の子供達はそれを嫌がる。
だから孫に任せようと思っていた
ところだったという。でもその
孫はあまり乗り気ではないのかな。
「嫌々やられるよりは、こういう
やる気のある子のがいいのかねぇ。」
トールの後押しもあって、無事
駄菓子屋のバイトが決まったイルル。
何を思って駄菓子屋で働きたい
と思ったのかわかるのは少し先。
イルル、知れば知るほどいい子。

いろいろぶっ飛んでる発言や
行動はまだまだあるけれど、
駄菓子屋で働きたがった理由は
これだった‥子供が好きなのね。
彼・タケは会田さんのお孫さん。
働くことに乗り気でなかった割に
結構ばあちゃん思いな少年らしく
イルルを見定めていたけれど、
彼の中で合格だったみたいね。
ここで働きながら、イルルも
いろいろ変化してくのかな?
良い変化、成長があるといいね。

少し、小林さんの昔話が明かされた。
昔の出来事、そして今のようなメイド
オタクになったきっかけとなった話。
いろいろと迷走していたようだけど、
自分というものをやっと取り戻せた
のかもしれないなって思った。まあ
それで何か変わるわけではないけど、
今回のはいい経験だったと思える。
それと‥小林さんトールと同じ
メイド服を着たんだけど‥結構
可愛かったんですよ思ったより。
ぜひ、このお話を読んで見て
いただけたらって思います。

ある時、トール父が再来したw
とは言え、今は敵意を持って
というわけではなかったけど。
翔太の父親、小林さんの会社の
専務からのお呼び出しがあった。
そこにはトールの父親がいた。
彼らは昔から繋がりがあるらしい。
トール達が使う魔法を作ったのは
専務達のような魔法使いだとか。
まあそれ以外にも繋がりはある
みたいだけど、ここでは割愛。
そこで父親からトールの昔話を
聞くことになった小林さん。
そしてトールと出会った日に
至る話も知ることになった。
混沌勢は、戦い、争いを好む種族
なのかと思っていたけど、きっと
それはイルルと話していた時の
種族の考えってやつで、父親の
教育方針によってトールは全く
違う考えを持つようになった。
戦いを終わらせたかった。
そのために、神に挑んだ。
きっと思っていた以上に、
トールはいろんなことを
考えながら生きてきたんだ。

父親から話を聞いたことをトールに
伝え、改めてトールの話を聞いた。
いろいろな場所を、生き物を見て
育ってきながら、トールはある
結論を見つけたのだと思う‥。
やっと見つけた願いのために、
神と戦うことにしたトール。
きっとその先に何かあると
信じてやったことだった。
でも‥
何もなかった…
身勝手なことをしたことで、本当
に一人になってしまったんだろう。
でも一人になってみたら、やりたい
ことがないことに気がつく‥一人
というのは、怖いことなんだと知る。
そんなふうに思っていたところで
突然現れたのが‥小林さんだった。
「小林さんは自由を怖がる私の
手を…そっと引いてくれたんです。」
そして小林さんに出会えたことで
やっとやりたいことを見つけた。
「私はメイドになりたかったんです。」
一人ぼっちになった自分の手を引いて
導いてくれたのが小林さんだった。
そんな人のために望みを叶えたい。
…そういう感じだったのかもだね。
重い話だ。とてつもなく重い。
小林さんも重い‥って感じた
らしいけど、それで手放す様な
ことをするひとじゃないだろう。
何より、今小林さんにとっても
トールはとても大切な存在だ。
お互いそんな存在に出会えたことは
本当に幸せなことだろうと思った。
~ひとこと~
6巻でした!この巻で最新話なので
続きはまた少し先になると思います。
大きな問題があるわけでもなく、
なんやかんや平和な流れですが
この先は、どんな感じでお話が
進んでいくことになるんでしょう。
少し先になりますが、また続巻が
出たらお付き合い頂けたら嬉しいです。