著:クール教信者 先生

「小林さん、人はどうして
眠くなるんですか?」
ふと、トールがそんな質問をした。
ドラゴンは睡眠をとらなくても
大丈夫らしいのだけど、小林さん
の元に来てから少しずつ睡眠を
とるようになってきたという。
『同調圧力に屈した』なんて
言うと、なんだか圧力に負けた
様な言い回しにも聞こえるけど‥
きっとこの変化は、トールが人間
と‥小林さんと一緒に生きていく
中では良い変化かもなって思えた。
こうやって、わざわざすり合わ
せるわけでもなく自然と合って
いくこともあるんだろうな~と。

小林さんが高熱を出した。
仕事にも行けないレベルに体調を
崩して寝込む彼女に、不安な気持ち
でいっぱいになったんだろうね。
看病をして小林さんが寝付いた後、
トールは元いた世界に向かった。
「不死の薬はあるけど小林さんはそう
いうのが嫌いだ。だったらせめて病
だけを治す薬を探さねば。かえって
大変かもしれない…だけどやる!!」
小林さんのため、身体を張って、
こんなにぼろぼろになって薬を
手に入れてきたんだろうね。
帰ってきた頃には、ぐっすり眠った
おかげもあり復活していた小林さん
だけど、トールの気持ちを受け取る。
まあ、副作用が出てしまったけどw
トールにとって小林さんはきっと
命をかけてでも救いたい、それ程
大切な存在なんだろうと思った。

すり合わせるのが楽しい。
そう思えるのってすごいと思う。
前に小林さんも似たようなことを
言っていた気がする。噛み合わない
ことは噛み合わせていけばいいって。
きっと、トールと小林さんの両方
がこんなふうな考えだからこそ
成り立つことなんだろうと思う。
そう簡単なことではないだろう。
でもそうしたいと思うことが、
すり合わせの第一歩だろうから‥
トールと小林さんなら大丈夫だと
思えてしまえるようになった。

エルマとトールの出会いの話を聞く。
勢力的には対立する者同士だと言う
が実は出会った時から対立している
というわけではなかったらしい。
トールもエルマもお互いに絶対
認めることはないと思うけど、
確かに周りから見たらこの2人は
仲の良い友達なんだろうなーと(笑)
小林さんには今までそんなふうに
ケンカ出来る友人もいなかったから
少し羨ましいのかもしれないね。

イルルは小林さんの元へ来て
から随分と大人しくなった。
「君はカンナ達と遊ばないのかい?」
偶然小林家に立ち寄ったルコアが
イルルにそう尋ねると、ルコアは
自分にはその資格が無いと答えた。
「私はこの町を破壊しようとした。
まだ自分を許してない。」
そんなイルルが自分を許せるように‥
ルコアのちょっとした小細工により
イルルと才川に会話をさせてみる。
せっかく騙されてみようとしたんだ。
反省はしてもそれでずっと我慢する
必要はきっともうないんだと思う。
この後イルルは才川とカンナと遊び
ながら、ほんとただの子供のような
満面の笑顔をみせていた‥きっと
今はこれでいいんだろうと思う。

翔太は、自分がルコアに認められて
いない、バカにされている‥そう
感じてルコアの弱点を探っていた。
でもどう頑張っても見つからない。
そのうち、本人に探ってることが
バレてしまったのだけれど‥。
「僕の一番いやなことはね、
居場所をなくすことだよ。」
翔太は今の自分とルコアの関係に
不満もあるみたいだけど、わかり
にくくてもちゃんと互いに互いを
認めあえている、いい仲だと思う。
子供扱い‥やめてほしいって言い
つつ言う程嫌ではなさそうだな~w

最近、トールは町の人と積極的に関わり
いろんなことに手を出す‥結果いろんな
人達と信頼関係を築いていっているようだ。
これはきっと良い変化なんだろうと思う。
(ただ改めて考えてしまうん
だよ。私はそんなトールに
慕われるほどの人間かと…。)
(面倒がかからなくなっていく
ことが少し…さびしい…のか?)
良い変化だと思うのに、妙に淋しい
気持ちになってしまう小林さん。
それを、ほんの少しトールに話した。
トールはどう思ったかなって。
「小林さん、大好きです。
これからも…ずっとずっと。」
トールのこの気持ちが、いつからか
小林さんの救いで支えになっていた。
そしてそんなトールを大切に思う
小林さんの存在も、トールにとって
大きな支えになっていたんだと思う。
すごく‥いい関係よね。
「トール、重い。」
照れ隠しなのかなんなのか、
そんな言葉を返した小林さん
だけど、嬉しそうに見えた。
~ひとこと~
5巻では、いろんなキャラクターの
話が詰め込まれてたと感じてます。
翔太とルコア、トールと小林さん、
トールとエルマ、そしてイルル。
少しずつ知っていくことで少し
ずつ変化もしていくんでしょう。
その変化が、いい方向に向ってる
ものばかりだと信じたいものです。