著者
原作:日向夏 先生
作画:ねこクラゲ 先生

交易品を扱っている移動商店、隊商
(キャラバン)が後宮にやってきた。
後宮内には商店が存在しないため
こうして隊商がやってきてる間は
にぎやかでお祭りのようだった。
でもそんな明るくにぎやかな雰囲気の
中で猫猫は少々違和感を感じていた。
現在、玉葉妃は妊娠している。
でもそれを明かしてしまっては食事に
毒を盛られたりする危険もあるため、
これはごく一部の少人数しか知らない。
もちろん隊商の商人達が知っている
はずないのだが、まるで知っている
かのような品揃えだったのだ。
理由はわからないけど、探りを入れる
ためにあえてそういった品揃えにして
様子を見ているというなら納得できる。
まだまだ考えすぎの域を出ない憶測だが
警戒するに越したことはないだろうね。
にぎやかで楽しいイベントごとなのに、
どこか不穏な空気漂う9巻の始まりです。

「これらはどれも微量ですが、
妊婦に害のあるものばかりです。」
隊商の商品は服以外にも様々な物が
あり、香や香辛料、茶葉などもある。
それらの中には妊婦の体には害になる
ものがかなり多く含まれていたらしい。
でもそれは決してそのもの自体が毒で
あるって意味ではなく妊婦にとっては
害があるもの、というだけだった。
壬氏様が言ったように、後宮内に毒を
持ち込もうとした人間がいるかもという
のはこの時点では推測に過ぎなかった。
断定するにはわからないことが多すぎる。
しかし、そういう可能性もあるのだろう。
(服の件もある。もしかしたら
後宮に妊娠している者がいないか
探ろうとしているのかもしれない。)
ただの偶然かもしれない、でも偶然が
重なった末に起きたように思えた‥過去
壬氏様の命が狙われた事件にも似ている。
蘇って消えた官女・翠苓もあれっきり
見つかっていないし‥推察はできても
真実が謎なままのことが多すぎるな。
今回毒になりうる物が多く後宮内に
持ち込まれた件は一応気づけたから
ある程度は対策もできるだろうけど、
今後何が起こるか‥少々不安だね。

ある時女官が行方不明になって
いるという噂を聞いた猫猫。
ちょうどそれと同じ頃、猫猫は
壬氏様から仕事を頼まれていた。
後宮内には茸が生えるような
場所もあり、誤って毒茸と知らず
食べてしまう人もいるのだろう。
女官達が間違えて食べて食中毒などに
ならないようあらかじめ毒のある茸は
処分し、どんな毒かも教えてほしいと
いうのが壬氏様からの指示だった。
その時は念の為というふうな指示に
思えたが、その後その支持には別の
目的があったと知ることになる。
一年ほど前から体調を崩して部屋に
籠もっていた中級妃の静妃(ジンひ)が
食あたりで亡くなり葬儀が行われた。
その葬儀で、猫猫は赤くただれた
手の侍女や同じように赤くただれた
静妃の遺体の顔を見ることになる。
猫猫は、葬儀で見た症状を起こす原因に
覚えがあり壬氏様のもとへ持っていった。
ほんの一欠片口にするだけで致死量に
達し、触れるだけでも赤くただれて
しまうというとても危険な茸だった。
壬氏様は遺体の症状を原因のモノの
正体とその入手先が知りたかったのだ。

静妃は自殺だろうと噂されていた
こともあって、その毒も発見された
ことで一件落着かと思われたが‥
「だとするとおかしいですね。」
この毒茸を食べて食あたりをおこした
というのは事実だろうが、その場合は
顔にまでただれをおこすことはない。
「遺体の顔の腫れはまだ新しい物に
見えました。あのただれは毒茸に
顔を擦り付けでもしないと…。」
自分で茸を顔にこすりつけたなら手は
真っ赤にただれていたはずなのに
静妃の手はただれてなどいなかった。
やけになって自殺したと言うのなら
わざわざ手袋など使わないだろうし。
猫猫の中で何か考えつくことはあった
ようだが、証拠がないからと時間と
人員をもらい再調査を行った結果、
猫猫は無事その証拠を見つけ出した。
動物の死体や糞尿の近くを好んで生える
という茸が大量に発生していた場所に
静妃の紋が刻まれた装飾品をつけた
遺体が埋められているのを発見したのだ。
埋められていた遺体が静妃なら、あの
葬儀にいたご遺体は誰だというのか‥
ここで出てくるのが行方不明中の女官。
その女官の特徴を調べてみると、静妃
と随分似た特徴の女性だったようだ。
なんらかの理由で、体調を崩したと
言われている1年前には既に静妃は
亡くなっていて、その後はずっと
例の女官が静妃のふりをしていた。
静妃の侍女達もこの一件に共謀して
いた可能性が高いだろうとのこと。
猫猫の憶測ではあるが、こんな事件が
起きてしまった原因を推察している。
静妃の死に関しては不幸な事故だった
気もするが、例の女官の死に関しては
この一件の発覚を恐れた侍女達による
意図的な殺害事件だったのだろうな。
結婚相手も決まってこれから
幸せになれるはずだったのに、
とても可哀想な事件だった。

「真珠の涙を持つという
絶世の美女を知らないか?」
ある時壬氏様は突然そんなことを
言いだし猫猫は心の中でこう答えた。
(絶世の美人なら目の前にいますよ。)
うん、ほんとその通りだ。
激しく同意してしまった 笑
今やってきている異国の特使様がそう
呼ばれた美女に会いたがっているとか。
でもその美女の話は曾祖父が昔見たと
いう話で、今もその女性が生きている
かどうかもわからないという状況で
ため息交じりに話す壬氏様だったが、
猫猫はその美女を知っていたようだ。
「生きていますよ。」
「緑青館のやり手婆ですよ。」
‥というか、あの、やり手婆だと!!?
それ聞いた直後の壬氏様と高順の顔 笑
噂の美女はもうただの金の亡者だし、
特使様が美女に会いたがっているなら
やり手婆を差し出すのは問題がある 笑
でもその代わりに粒揃いの美女を
集めても結果は不評だったようで‥
どうやらその特使様は女性らしい。
女性が噂の美女に会いたがる理由が
何なのか、美女であることが重要か
それ以外に何らかの理由があるかは
さっぱりわからないが‥要求に対して
何もしないわけにもいかないのだろう。
さてね、どうするおつもりか。
それにしても、時の流れ
とは悲しいものだな 笑

その特使様はとても大切な立場の方で
どうにかして有効な関係を保ちたい。
それでも今回の話にはどうにも手が
なく困り果てている壬氏様を見て、
猫猫は一先ず当時の話をやり手婆に
直接聞いてみることにしたようだ。
昔、今いる特使様の曾祖父にあたる
特使様をやり手婆が接待した時の話。
その接待に関していろいろなことを
話してくれたが、その演舞者の主役に
選ばれた理由は背が高くめりはりのある
体格をしていたからだろうと言ってた。
発育のいい国の人達からすると
この国の大人のほとんどは子供の
ように見えたかもしれないからと。
それ以外は、どうして自分だったか
本人にもわかっていない様子だった。
当時その特使様が国に戻って描かせて
隊商に預け届けてくれたという当時の
婆‥美女の絵を預かり壬氏様に見せた。
今は随分縮んでしまったけれど当時は
175cm程度はあったようで、似た人を
探すにも見た目と身長両方を兼ね備えた
美女を探すのはかなり難しいだろう‥
ましてやそれを見て評価するのは女性。
(背丈が五尺八寸(175cm)を
超える美女を黙らせられる
ほどの美貌の持ち主、を……)
とか考えていた猫猫は思いついた 笑
‥ほんと、壬氏様ドアップでも美人。
絵の美人より少し可愛らし目の美人
な気もするけど、間違いなく美人だ。
さてね、どうする気かね 笑
以前花街で人に会うために変装した
時に、女性のように化粧をしたら‥
みたいなことを猫猫が考えてた気が
するんですけど、見れますかね??
めっちゃくちゃ見たい、きっと
見れますよね、楽しみです 笑

美女の代役に目星をつけた猫猫は
おそらくやり手婆の話から当時
宴が行われた場所が今の後宮内に
ある場所だと検討をつけ視察する。
美女は代理になるが、それ以外は
可能な限り忠実に再現しようと
考えているのかもしれない。
そこで再会したのが、以前猫の
毛毛を確保してくれた女官だった。
実は隊商が来ていた時に再会していて、
猫猫の友人である小蘭とも知り合い
だったようで仲良くなったみたいだ。
名前を、子翠(シスイ)という。
以前虫を描いている絵を見せて
もらったことがあるんだけど、
多分虫が好きなんだろうね。
今ここに来たのも、もしかしたら
虫をとりに来たのかもしれない。
この場所には図鑑でしか見た
ことがないような珍しい虫が
たくさんいると話してくれた。
そんな虫の話を聞いていた猫猫は
半信半疑な様子ではあったものの、
ちょっと何か思いついたみたい 笑
「子翠!手伝って
もらいたいことがある。」
もしかしたら、昔やり手婆が昔
異国の特使を接待をした状況を
再現しようとしてるのかも。
その当時の状況や会場の準備でどんな
ことをしたかという話も聞いていたし。
やり手婆に聞いた話からどこまで
再現可能なのか、猫猫が子翠の力を
借りて何をしようとしてるのかも
まだイマイチわからないところだが、
何をしてくれるんでしょうかね。
次巻待つのが‥すごく待ちたくない 笑
少しでも早く続きが読みたいです。
~ひとこと~
どうしても、この物語を紹介して
いると感想とか感じたことか以上に
こういうことがあったという出来事の
説明ばかりになっていてすみません。
物語の流れを通して、猫猫がいろんな
ことに気付いたり感じたりしたことを、
読みながら一緒に納得したり考えたり
するのが楽しいと思ってます‥ので、
私のレビューではこの物語の魅力は
いまいち伝わらないかもしれません。
私の文章力が問題なんですけどね 笑
その点は毎度どうもすみませんです。
でも世界観やキャラクターも個人的に
すごく好きなところなので、そういう
ポイントポイントから少しでも興味を
持ってくれる方がいたら嬉しいなと
思いながら書かせてもらってます。
いつもお付き合い頂いてる方
本当にありがとうございます。