薬屋のひとりごと 第4巻

著者
原作:日向夏 先生
作画:ねこクラゲ 先生

ある日柘榴宮の下女が水死体で見つかった。
堀に浮かんでいるのを発見されたという。
その件について壬氏さまは猫猫の見解を聞く。

生きたまま堀の中に落ちたことは確かだが、
自殺か他殺かは定かではない。後宮と堀の
間にある高い壁は大抵の女性には登れない
ような造りになっていて、亡くなった下女
一人では無理ではないかというのが答え。

園遊会の毒殺未遂の犯人だろうという
噂にもなっていて、衛兵は投身自殺
だろうということで事を収めていた。

あれこれ陰で動いて探りを入れようと
してくる壬氏さまだったが、その後も
新しく何かがわかることはなかった。

最終的に壬氏さまは、年末の大掃除の
手伝いを名目に猫猫を柘榴宮へ行かせた。

柘榴宮に住む淑妃・阿多妃は歳は35だが
中性的な凛々しさや美しさが際立つ方。
そこに仕える侍女達はみな優秀だったが、
中でも侍女頭の風明は群を抜いていた。

人当たりがよく他人をよく見てよく褒める。
人を扱う術を心得ていて、侍女頭としても
優秀な存在だったが何より下っ端に任せる
ような雑用さえ率先して行う働き者だった。

そんな様子を見て、忠義心の強さ故に
阿多妃の地位を守るため他の上級妃を
毒殺しようとする可能性を考えた。

里樹妃はまだ幼く妃としての役割を
果たせていない。そんな里樹妃が
狙われたのはおかしな話ではない。

その後も、いろいろと考えを巡らせ
ながら猫猫はその日の手伝いを終えた。
翌日壬氏さまのもとに報告へ向かう。

柘榴宮での出来事、あくまで可能性
ではあるが、事件に関与していると
すれば風明ではないかと考えたこと。
その根拠として、風明の部屋に片方
だけ纏足の靴が落ちていたということ。

本人のモノではないようだったので、
どこかで拾う出来事があったのだろう。
遺体の足には靴が片方だけ残っていた。
もう片方は見つからなかったらしく、
風明はそれを拾った可能性があった。

あくまで推測の域を出ない話だった。

風明の実家は養蜂をやっている
らしく、柘榴宮にはたくさんの
種類の蜂蜜が揃えてあった。

そしてあるお茶会の時に蜂蜜に
酷く怯えた様子を見せた里樹妃。
そんな里樹妃が毒見役一人を連れ
柘榴宮に来ているのを見かけていた。

猫猫はそれから里樹妃に話を聞き、
書庫で過去の後宮での出来事を探り、
最終的に手土産を持ち風明のもとへ。

いろいろとわかったことがあった。
阿多妃は過去に一度出産しているが
それが皇弟の出産と重なり後回しに
され、結果子宮を失ってしまった。
なんとか生まれた赤子も幼くして
亡くなってしまうことになる。

体調の良くない阿多妃の代わりに
赤子の世話をしたのは風明だった。

毒になるなんて気が付かず、滋養に
良いものとして与え続けた蜂蜜が
赤子にとっては毒となってしまった。

そんな赤子の本当の死因は表向き
明らかにはなっていなかったが、
阿多妃を母親のように慕っていた
里樹妃が幼い頃に蜂蜜を食べて
生死の境を彷徨ったという経験を
阿多妃に話してしまうことを恐れ、
真実がバレてしまうことを恐れて
里樹妃に毒を盛り殺そうとした。

心から大切に思う方の何よりも
大切な子供の命を奪ってしまった。
それは絶望的な思いだったろうな。

その真実を隠したままこれまで
長い間風明は妃に仕えてきた。
自分のしてしまったことへの後悔を
一人で抱え込んで、どれだけ苦しみ
ながら阿多妃のそばにいたんだろう。

この後猫猫は風明にある提案をした。

「風明の動機は、阿多妃の四夫人
の座を保つためだったそうだ。」

風明は自首をした。その理由をこう
述べていたようだが、本当の理由は
もう1つ、赤子の死の真実の隠匿。

猫猫の提案は、2つあった動機を
1つにするということだった。

どちらにせよ罪は重く処刑される。
猫猫が出来る最大限のことだった。

全てが明るみに出ていたよりは、
猫猫の提案により風明も阿多妃も
多少は救われたのかも知れないな。

園遊会からの騒動が全て終わった
ある夜、猫猫は城壁に上って1人
月を眺めていた所、そこに現れた
のは翌日後宮を去る阿多妃だった。
風明の行動とは関係なく、前から
決まってしまっていたことのようだ。

「一杯付き合わないか?」

そう言って猫猫と並んで座ると、酒を
飲みながら独り言のように話し出す。
自分のこと、これまでのこと、想い。
最後に全て吐き出したかったのかも。

話し終えそこを立ち去る阿多妃、猫猫も
そろそろ戻ろうと城壁から降りる途中、
突然声をかけられたことに驚いて落下。

した先にいたのは壬氏さま。落下した
猫猫の下敷きになってくれたわけだが、
その後も猫猫を離そうとしてくれない。
普段の彼からこんな様子は想像出来ない
が、酒を飲んでいて心寂しくなって
しまっていたのかもしれないね。

壬氏さまが『家主』と呼ぶその人物が
誰なのかはっきりは描かれていないが、
その人物の服装や持ち物は少し描かれて
いて‥阿多妃のように見えてしまった。
先程猫猫の前でいろいろ話していった
のも考えると、スッキリしたの理由も
理解できてしまう‥上級妃と壬氏さま
の上下関係ってどんな感じなんだろう。
謎は多い‥でもこの時、もう少しだけだ
と猫猫から離れたがらない彼の目には
涙が浮かんでいて‥何を思ったろう。

彼の抱えている事情や思うこと、
まだまだ謎なことが多いままだ。

天女のような宦官・壬氏さま
と青年のような妃・阿多妃の
服装をそっくり入れ替えた方が
よっぽど‥と猫猫は考えていた。

この2人は、どこかよく似ている。

そんな時阿多妃の言っていた言葉を
思い出す。息子を亡くしたと記録には
残っていたが、彼女はあの夜言った。

「息子がこの手からいなくなってから。」

死んでからではなくいなくなってから。
ただの言い回しの違いだ、もしかしたら
深い意味などなかったのかもしれない。
でももしその言葉に意味があったなら。

ほぼ同時に生まれた皇弟と妃の子供が
入れ替わっていた可能性があるかも
しれないと猫猫は考えてしまった。

そんな真実があったとしても、決して
明るみに出せる内容ではないだろう。
だからこれはあくまで猫猫の妄想だ。

それでも、もしこの妄想が事実である
可能性が少しでもあるのなら、彼女の
子は今も生きているかもしれないんだ。

壬氏さまの素性には謎が多い。
1巻で猫猫が考えていた内容だが

(宮官庁よりも上の立場…帝
の後見人の可能性もあるが
それにしては若すぎるし。)

後宮全てを監視している様子の彼の
正体はわからないまま、ただ随分と
高い地位にある人物なんだろうという
ことだけはぼんやりとわかっていた。

取り替えられた、阿多妃から生まれた子
という存在がいたのであれば、それはこの
壬氏さまという可能性もゼロではないの
ではないか‥これこそ私の妄想に過ぎない。

でも、そんなことを考えてしまった。

風明の処刑に伴ってか、彼女の
実家及びその関係者(取引先など)
の者を後宮から解雇することに。

猫猫の名もそこに存在していて
本来は解雇しなければいけないが
壬氏さまは彼女を留めたかった。
それでも自分の権限で彼女をここに
留めることを決めてしまって、好き
でもない場所に引き止められたと
気づいた時どう思われるだろう。
それを酷く恐れているようだった。

そんな猫猫は今故郷に帰されては
やり手婆に身売りされてしまうと
解雇されることを酷く嫌がった。
猫猫なりに、自分の立場では解雇
されたくないなどと言えないので、
そういう媚びた目をしないように
気をつけながらも全力で残りたい
と交渉しようとしたはずだった。

「わかった。金ははずもう。」

交渉は失敗に終わってしまう。
壬氏さまはあれだけ猫猫を後宮に
残したがっていたのにこの結果だ。

きっと猫猫の言葉選びが壬氏さまの
1番恐れるものに触れたんだろう。

命令さえされれば何でもする。
そんなふうに扱いたくないと
壬氏さまは思ってしまっていた。

口にしてはいけない立場だったと
しても、彼女の本心が何一つ届かぬ
まま解雇されてしまった気がした。

解雇を伝えてからの壬氏さまは、部屋
の隅で体をすぼめてどんよりしていた。

最初の頃壬氏さまの猫猫に対する態度
は珍しい玩具、その程度だったろうに
いつからかそんな扱いをしたくない
と思うように変化していった壬氏さま。

ほんっと‥いろいろ不器用ですよね。

(代替がだめなら本物を
用意するしかないか。)

高順はそんなことを考えていた。
さて、面白いことになります 笑

故郷花街に戻った猫猫はある日、
やり手婆によって妓女として
働かされることになってしまう。

薬学以外に何も興味がない薬屋の
娘、出来ることなんて客の杯が
空かぬよう目を配らせるくらい。

引き立て役として頑張ろうと妓楼に入る
猫猫だったが‥そこには酷く沈んだ様子
でいる一人の客を見つけて忙しそうな
姐様達の代わりにお酌しようとするが‥

その男性はまさかの壬氏さまだった。

「別に個人で客をとったり
してませんよ。まだ。」

再会した猫猫が妓女になっているもの
だから壬氏さまは彼女の貞操を疑った。

それを否定しつつも、今後何をさせ
られるかはわからないという意味で
まだ‥と付け加えた猫猫に対して。

「なら俺が買ってやろうか?」

妓女を買う。妻として娶るという
意味で言ったんじゃなかったろうか。
いや、そうでなくとも客になると
言う意味もあったのかもしれないが。

でも猫猫は全く違う解釈をしていた 笑
でもここで、猫猫の交渉に隠された本心
と誤解があったことを理解した壬氏さま。

この後‥ちょっといろいろあった。
悪いことではない、でもびっくり
した、見てるこっちが照れた程だ。

猫猫が、あの猫猫が赤面してしまう
ような出来事があったけど、直接
読んでほしいので言いません 笑

もう、私この2人見てるの大好きです。
猫猫は相変わらず恋愛ごとには興味が
なさそうに思えるけど、壬氏様さま猫猫
が大好きで仕方ないようですからね~。

この後、やり手婆の目が眩むほどの
金子を、猫猫には冬虫夏草(虫から
生えた奇妙な草)を渡すことで再び
猫猫を連れ戻すことに成功した。

一度やめさせた後宮に戻すことは
そう簡単には出来ず、今後は外廷
(役所がそろった官たちの職場)で
働くことになりそうだけれど‥

何やら前途多難な気がしている。

~ひとこと~

いろいろありましたが結局また壬氏
さまのいる場所まで戻ってきましたね。
良かった良かった、一先ず壬氏さまの
心の平安は保たれたことでしょうよ 笑

阿多妃のお話の時、彼女の出産に立ち
会った医官が猫猫の親父だと判明した。
親父 = 猫猫の養父である彼は以前は
後宮で働いていた医官だったらしい。

ただ、その出産時にいろいろと問題も
起こり、最終的に追放されてしまった。
3巻で因果だなんて言っていたけど、
それはこういう意味だったんだね。

新たな職場で猫猫は、早くも先輩
らしき人たちから睨まれていた。
それが何を意味しているのかは
わからないけど、不穏だねぇ‥

一先ず今後の猫猫の行動と壬氏さま
の行動が楽しみで仕方ありません。
次巻が出ましたら、よかったらまた
お付き合い頂けたら嬉しいです。