薬屋のひとりごと 第1巻

宮中の下女の中でもだいぶ噂が
広まっている。先代の頃から
ずっと続いている困った症状。

時間をかけて少しずつ衰弱していき、
そのまま亡くなってしまうという。
そうして短命であると噂される帝の
御子たち‥そして今玉葉妃と梨花妃
の所でも同じような症状が起きている。

更に母親である梨花妃にも体調
不良が出ているようで、頭痛、
腹痛、吐き気‥呪いではないか
とさえ噂されている状況だった。

そんなある日、人だかりの中で
梨花妃が玉葉妃に対して我が子を
呪い殺す気だろうと声を荒げた。

その時の梨花妃は、本来とても
美しい方なのに随分やつれていた。

なんとかして伝える手段を‥
そう考え猫猫がボソッと呟いた
一言を聞いた者がいた‥壬氏。

その後簡単な文を2人の妃の元へ
置くも、梨花妃の息子は亡くなって
玉葉妃の方も時間の問題と思われた。

そんなある日‥下女が集められた。
そこにいたのは壬氏‥下女達が
その場に集まると彼は紙に文字を
書き見せるも‥ほぼ全ての下女は
頭に?を浮かべる。猫猫以外の
下女は誰も文字が読めなかった。

「そこのソバカス女、
お前は居残りだ。」

紙にはそう書かれていて、猫猫
だけが明らかに他とは違う表情を
浮かべていた。文字が読めた上で
自分のことを言われていると理解
しているという証拠だったろう。

壬氏は最初から、あの文の正体が
猫猫だと勘付いていたんだろう。

こうして1人呼び出された猫猫が
連れて行かれた先にいたのは‥
玉葉妃と元気な赤子の姿だった。

あの手紙は猫猫の出したもの
だとすっかりバレているようだ。
証拠も掴まれていて渋々事実を
語り始めた猫猫‥手紙にはこう、

「おしろいはどく、
赤子にふれさすな。」

書いていた。毒を含む高級白粉、
花街で育ったという猫猫は偶然
にも同じ症状でなくなった妓女を
見たことがあった‥薬屋の経験も
あったためそれを伝えようとした。

下女としては出過ぎた行動だったの
だろうか‥咎められることも想像
して覚悟を決めた猫猫だったけど‥

玉葉妃からはひたすら感謝の
思いを伝えられ、最終的には
猫猫、出世することになった。

給料の一部が自分を攫ったやつらに
回っているそうで、本人は出世を
あまり嬉しくは思っていないみたい。

玉葉妃の侍女になったはいいが、
既に侍女は4人いて彼女達は随分
働き者なので‥猫猫の仕事がない。

なにか手伝おうとするも、手は
足りてるからと部屋に戻された上

「お茶会で余ったお菓子食べなさい。」

なんだかやたらと甘やかされるし、
気になるのがその表情が随分と
同情されているように感じる点だ。

その理由はすぐにわかった。
猫猫に回ってきた仕事‥毒味。

毎度の食事は部屋に運ばれてくる
まで何人かの手が入り、その間に
毒を入れられる可能性がある。

実際、公主(ひめ)ご懐妊の頃には
二度毒が盛られ、毒見役をした2人
のうち1人は神経をやられ手足が
動かなくなってしまったそうだ。

その役目のために入れられた下女。
使い捨ての駒にされる存在として
同情の目を向けられているようだ。

でも猫猫は幼い頃から随分な
変わり者で、自らを実験台にして
いろんな毒を試していたらしく
ほとんどの毒には耐性がある。

彼女には打って付けの仕事
だったかもしれないな 笑

毒見役の危険手当ということで、
人さらいに渡る金とは別に給料と
ほぼ同額がもらえるようになった。

侍女頭はある程度事態を把握して
いるようだったけど、何も知らない
他3人の侍女達にはひたすら同情の
目を向けられ続けているようだ。

毒味以外にもいろいろ噂されているが、
侍女達の妄想は見てて少し面白い 笑

同情の心がすごすぎるので、猫猫の
ためを思ってやたらと優しくされる。

毒味以外は特にすることもなく、
侍女達からは毒で体を壊さぬよう
心配されてやたらと食べ物を分け
与えられるような日々が続いた‥

「このままでは豚になる。」

以前はいろんな薬草で薬を調合
したりもしていたのにそれも出来ず、
いろいろと手持ち無沙汰だった。

そう思っていたある日、猫猫の部屋に
壬氏がやってきた。武官にもらったと
包子(中華まんのようなもの)を持って
きて、味見をしてくれないかと言った。

「これは催淫剤入りですね。」

食べず香りだけでわかるようだった。
にしても‥壬氏は本当に女性は勿論
男性からもモテてしまって大変だな。

そんな壬氏から突然提案を持ちかけられた。

「媚薬を作ってくれないか?」

食べろと言ったり作れと言ったり、一体
何を企んでいるんだと怪しむような表情を
見せた猫猫だったけど、今の日々を退屈に
感じている猫猫にとって魅力的な話だった。

ほんと‥何を企んでいるのか …
妙なことにならないといいねえ 笑

媚薬‥として作ったのはチョコレート。
酒や刺激物に慣れている人にならそう
効果は出ないが、そうでないものには
十分な媚薬効果が出るようだった。

壬氏に渡すものとは他に、余り物で
自分の夜食としてパンにチョコレート
を染み込ませたものを作っておいた。

そうしたら侍女3人がおやつと誤解
して食べてしまったようで‥その
場にやってきた時には媚薬効果が
出すぎて大変な状況になっていた。

宮中の人が使い物だからこそ
効果の出る媚薬といったものだ。

もし壬氏が服用したら‥と想像
してみる猫猫だったけど、周りの
反応はともかく猫猫は一切興味が
なさそうで、そこがまた笑える。

彼もお酒は飲むようなので、もしか
したら効果は薄いかもしれないが‥

部屋から去り際、猫猫に色目を使う
ような態度をとった壬氏はちゃっかり
猫猫のお夜食のパンを1つ持っていった。

知識を悪用して悪さをしないよう色目でも
使っておくか‥なんて始めは言っていた
壬氏だけど、今ではそれに対する反応が
おぞましいものを見るような表情を見せる
ものだから‥今はそれが面白くてわざと
やっているのではと思えるような状況 笑

結局、媚薬として作ったパンを壬氏は
食べてしまったけど大丈夫かしら?笑

ある時、白い幽霊が出るという噂が
立ち始める。夜な夜な城壁の上で踊る
女の霊がいるそうだ。猫猫がそんな噂
を聞いた頃‥またやってきたのは壬氏。

話の内容は、噂の幽霊騒ぎについて。

「じゃあ夢遊病というのは。」

「どうやったら治る?」

猫猫は薬では治らないと答えるも、
あまりに粘着質に関わらせようと
する壬氏に負け少し調べることに。

幽霊騒ぎの正体は芙蓉妃とわかった。
幼馴染の武官に下賜される予定の姫
の夢遊病でではないのかという話だ。

※下賜 = 天皇など身分の高い人が
身分の低い人に物を与えること。

帝にとって都合のいい妃を揃え子を
産ませ、その能力がなければ切り捨て
られる。その場合実家に帰されるか
官に下賜されるようになっている。

猫猫なりに答えを出し壬氏に
伝えるも、それは何の解決策
にもならないような内容だった。

過去に夢遊病で身請けの話を
断ることになった妓女を見た
ことがあったという。その話を
参考に、下賜が原因となって
起こっているのだろうと話した。

でも猫猫の中である推測があって‥

「私にくらい話しても
いいんじゃないかしら?」

玉葉妃にそう言われ、壬氏に話を
したとはまた別の妓女の話をした。

同じように夢遊病で身請けが破談
になった妓女がいて‥彼女には再度
身請け話が持ち上がったのだという。

病の妓女を身請けさせるなんて
忍びないと断ろうとする楼主に、
相手はそれでもと身請けを申し
込み結果、前回の身請けの半分の
銀で契約が成立したんだそうだ。

でもその話には裏があった。
初めに身請けを申し込んだものは
身請けした男の知り合いだった。
妓女には年季があり本命の男には
銀が足りなかった。そのため病の
ふりをし一度破談にさせ、その後
半額で本命の男が身請けをする。

はじめから、そう仕組まれていた
ことのようだった。そして今回も。

一部官と姫では求婚できる立場
ではなく、武勲を立ていつか姫を
迎えに行くつもりだった‥だが姫
は後宮に入ることになってしまう。

そんな中でも思い合う2人が
結ばれるようこれまできっと
いろんな所で策を練ったろう。

そしてようやく下賜が決まり、
他の武官や皇帝に興味を持たれぬ
よう、夢遊病患者のふりをした。

あくまで過程の話だったけど、
身分に厳しい国や時代の話なら
そういうこともあったのかも。

初めて猫猫が見た城壁で踊る
芙蓉妃は随分美しかったという。

それが恋してるがゆえ、好きな
人を想うがゆえなんだとしたら‥

猫猫は恋したことはあるのかな?
薬‥なんて話で終わる1巻だが、
猫猫はそんな彼女を見てどんな
気持ちになったんだろうかと、
少しだけ気になったところだ。

~ひとこと~

薬屋のひとりごと1巻でした。
最初はイラストが可愛いなと
思って手を出した作品でした。

押しの強い壬氏に振り回されつつも
自分の意志で動き、いろいろ解決する
彼女を見るのはとても楽しいです。

猫猫のちょっとした変人っぷりも
見ていておもしろい部分です 笑
少しでも興味持っていただけたら、
また続きもお付き合いください。