曇天に笑う 第5巻

著:唐々煙 先生

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…そういうこと。
まだ幼い頃、空丸をかばって
出来た背中に出来たひどい傷。

あの時、本当は死んでしまうはず
だったのかもしれない。でもそこを
実験材料のごとく無理矢理薬を投与。

…随分昔からオロチと一緒に
生きてきたってことなんだろうな。

きっとこのことは白子も知らない。
天火の驚異的な強さは、オロチの
細胞が大きく影響してるようだ。

それでも、処刑の日にオロチと
して死ぬはずだったのを、急遽
助けるように政府から命が出て、
…その結果表向きは処刑された
ことになっているけれど事実は
こうして生きて匿われていると。

…なんだか釈然としないわ。
結局あの処刑を企てたのは
政府ってことでいいのかな?
それを急遽取り止め…比良裏は
まだ実験できると判断しての
取りやめだろうと話したけれど
実際はわかったもんじゃない。

…生きていてくれたのは嬉しい。
でも、彼はここに匿われてる
という名目で囚われたまま??

これから、どうなってくんだか。
弟達とまた笑顔で再会出来る日は
来るんだろうか…来てほしいな。

追記:彼が呪いによるオロチでは
ないということを、白子と牡丹には
話しているのかもしれない。だと
すると、白子は何かしら分かって
いろいろ行動してんのかな?

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自分がオロチの器だと自覚し、どう
したらいいのかわからなくなった。
寝ている間ならまだしも、起きている
時ですらいきなり記憶が飛んでいる。

そんな状態に死のうとするも、自分で
自分を殺すことができなかった…それも
オロチのちからの一つなのかもしれない。

そして空丸は蒼世の元を訪れた。

「俺が器です。犲の隊長なら、俺の
首なんて簡単に落とせるでしょう?」

そんな、意を決してやってきた空丸に
蒼世が告げたのは予想を反する言葉。

それに、強くあらねば、弱音を
吐いてはいけないとずっと気を
張り続けていた空丸に対して…

「泣けば弱いなど誰が決めた。恥じる
ことではない。人間は悲しみや痛みを受け
入れる為に忘れていくように出来ている。」

「お前しか知らない瞬間がある。その
思いを抱えてないておけ。忘れる前に
な。しっかりするのはその後でいい。」

今まで笑顔で気丈に振る舞ってきた
空丸に、やっと涙を流させてくれた。
やっと、今の現実を受け入れられた
かもしれないな、泣くことでやっと。

まあ、天火生きてるんだけども。←
蒼世も天火のこときっと大好き
だったんじゃないかな…?こんな
人だから素直には言わないだろう
けど、きっととても大切な存在
だったんだろうなって思えてる。

器を生かす方向で考えてくれる
ようになったきっかけは、やはり
天火なのかもしれないなと思った。

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600年前はオロチの下についていた
芦屋家は、今犲で蒼世の下でオロチ
討伐のために動いている状態だ。

そんな彼を使って安倍の式神・牡丹
を見つけさせた。そしてオロチから
器を護る方法もようやく…不確定では
あるものの曇の宝刀を使えば出来る
かもしれないという所までに至った。

そんな状態で、明らかになった、
白子が裏切り者であったと。

「大蛇様の復活は絶対だ。」

白子は、そう言って牡丹を
殺そうとしてきたのだ。

曇のもとにいたのは、彼らを
本気で護ろうとしてきたのは
大事な器候補だから?そんな…。

「風魔…小太…郎…。」

「そう、よく分かったな。
俺が風魔十代目の頭領だ。
俺がいるかぎり風魔は絶えない。」

…いつか白子を倒すことに
なってしまうのだろうか。

白子は言った。

「悪いな、天火。」

最初はそうだったかもしれない。
でも今はきっと本心で曇を裏切り
たいと思っているわけではない
んじゃないかって…そう思いたい。

あんなに優しい笑顔で曇兄弟の
話をする彼を、全てが嘘だった
なんて…そんなふうに思いたくない。

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「私が恐ろしいか。」

強力な式神である牡丹は、普通
の人とは違う強さを持っている。

それを見ていた比良裏に
対して恐ろしいかと聞、彼は
真顔で「美しい」と答えた。

「(可哀想な比良裏殿。曖昧
な記憶が苦しいだろう。

呪いを宿し生まれ
無意識に私を捜す。

前世の記憶に振り回されて。
こうして運命に縛られ続けて
いくのだ。大蛇がいるかぎり、
私がいるかぎり、永遠に。)」

…白子が裏切った。そんな所で
殺されそうになる牡丹を、一体
どこから現れたのか謎だけど
助けようとしてくれたのは比良裏。

比良裏の記憶はとても曖昧だ。
それで今までもこれからも苦しむ
ことになるのかもとも思うけど…
やっと、会えたんだなって。

白子のことでつらくて泣きそう
になっていた直後、比良裏と
牡丹の再会が嬉しすぎて今度は
違う意味で泣きそうになった。

どちらにせよ、また同士として
一緒に戦っていけるんだな。
今はそれがとても嬉しい。

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犲・蒼世のもとで保護?されて
いた空丸のもとに、白子…によく
似た物が現れた。彼の正体は
獄門処にいた狐面の男だった。

白子の、双子の弟なんだと…片目に
傷を負っているようだった
けど、ほんとそっくりだった。
そして、過去の記憶にあった
曇の両輪を殺した狐面…あれ
の正体は白子さんだったという。

なんかもう…いろいろついてくので
いっぱいいっぱいなくらいつらい。

大切な人の死より、大切な人の
裏切りを知った時の方がショック
は大きいものなのかもしれないな←

天火が生きてるってわかった今
だからかもしれないけど、処刑の
時より余程しんどく感じてます。

この後、オロチにまた意識を
持って行かれたのかもしれない。
空丸と、2人の風魔小太郎は
その場から姿を消した。

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宙太郎と嘉神、長い時間をかけて
一体何をしてるんだろうと思ってた。

そう言えば嘉神、獄門処にいた時
風魔のやつと話をしていたね。
最初から共闘関係だったのか!?

その動きに、知らぬ間に宙太郎も
乗せられてしまっていた。復讐…
そう言って一緒に行動するように
なった時は本気で心配したけど、
今でも宙太郎は宙太郎のままだ。

宙太郎といることで、嘉神の方が
少しは絆されてくれたらいいのに
なーんて思っていたくらいだけど。

宙太郎、これからどうなるんだろう。
今はいろいろ、ほんといろいろ大変だ。

宙太郎は、最後まで宙太郎でいて。
曇兄弟三男・曇の誇りを捨てないで。

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牡丹と比良裏が合流したことで、
天火のもとへやってきていた。

天火の身体は、オロチの細胞に
飲み込まれてしまう寸前だった。

これ以上細胞を注入すれば意識を
持って行かれて飲み込まれてしまう。
でもこのままでは体の方が限界だ。

そんな状態で、白子の裏切り、
空丸がオロチの器がであったこと。

白子の裏切りに対して、天火は
それが真実だと信じなかった。

「信じるのか、あいつは俺達
兄弟同然だ。裏切るはずがねぇ。」

私も、そう信じていたい。
行動としては、オロチの下で
忠実に動いているのは確かだ。

それは、忍だからね。
それでも、どこか躊躇いがある
ように感じる瞬間がたまにある。

この状況をどうするというんだろう
か…こんな状況で、まだ笑うんだな。

やっぱ、天火はすごいよ…。

オロチは目覚めてしまった…
空丸を器に目覚めてしまった。

天火、どうか空丸を止めて。
どうか、大事な弟を助けて。

~ひとこと~

最後に『うたかた』として比良裏
と牡丹の話が描かれていました。

本編シリアスすぎるので、すごく
あったかい気持ちになりました。

次回、最終巻です。
一体どうなってしまうのか。
最後は、どうせ泣くなら
嬉し涙で締めたいですね。