著:赤井ヒガサ 先生

(ローゼンベルク伯爵は本来
悪人ではないはず……多分…。)
ハイネは伯爵に対してそんな印象を持って
いるようだった。いろいろと会話したり
関わったりするうちに、決していい人では
ないと思うけど悪人というわけでもないの
かもと思える程度には人間らしさも見え、
何よりアインス王子のために頑張る者。
そんな印象ももちろんでき始めていた。
でも彼が弟王子達に対し汚い手を使って
妨害のようなことをしているのも確か。
国王陛下がアインス王子を候補として
欠陥があるようなことを言っていた
件についても、その詳細は謎のまま。
表向きは相変わらずアインス王子が
国王候補として有力視されている。
そんな状況で、正々堂々戦うのでは
なく裏工作で候補を減らそうとする
‥そこまでする理由って何なんだ。
どこまでも慎重なだけなんだろうか。
一体どんな欠陥があるというのか。
相変わらず謎のままだけどこれから
先ターゲットにされるのはハイネ。
彼がいる限り弟王子達は何度でも
立ち上がり成長し続けるだろう。
それくらい、ハイネの存在は彼らを
成長させ続けてきているようだから。
不安だ‥すっごい不安だ。
記録に書かれていないハイネの過去。
ハイネ自身、自分を王宮にいていい
人間ではないと言っていた点もある。
何かあったのは確かなんだろうから。

「俺はコーヒー淹れ機かっての!!」
リヒトがマクシミリアンとの
生活の中であった愚痴をこぼす。
自分じゃコーヒーを入れないのに
リヒトが飲もうと入れていると
ちゃっかり自分の分もとお願い
してくることがよくあったらしい。
淹れた後、喜んでくれるし褒めて
くれるのも嬉しいようで、リヒト
自身満更でもなかったようだが 笑
そんなコーヒーの話題からハイネ
に美味しいコーヒーの淹れ方を
教えることになったリヒト先生 笑
使う器具もあげるという話だった
ようだけど、教えている最中に
どんどんそこには人が増えていき‥
アデル、レオンハルト、ブルーノ、
カイ、しまいにマクシミリアンと
ルートヴィヒ、ヴィクトールまで。
結局の所リヒトはコーヒーが好きで
自分の淹れたコーヒーで人に喜んで
もらえるのも大好きなんだろうと思う。
そんなわけで、文句言ってても結局
器具はハイネにはあげないまま、自ら
コーヒー淹れ機になるリヒトだった 笑

本を借りるためにハイネの部屋を訪れた
ブルーノだったけど、多忙なのか随分と
散らかっている部屋を見て、本を借りる
お礼にと掃除すると申し出たブルーノ。
そんな中、キレイな蓋の箱に入った
写真を見つけたんだけど‥それは
一体どういう写真だったんだろう。
ブルーノはそれを見た途端に驚いた
ような表情を見せ、懐にしまった。
写真のことは少し後に明かされる。
写っていたのはまだ11才くらいの
頃のアインス王子とハイネだった。
それが一体何を意味するのか‥
伯爵の行動と関係しているのかな?

4人の王子達がハイネの正体は一体何者
なのだろうかと考え込んでいたその頃‥
ローゼンベルク伯爵は強硬手段に出た。
ハイネを追い出すきっかけを探しに、
ハイネの正体を探りに行ったのだ。
マクシミリアンに王家の書庫の鍵を
持ってこさせて真夜中に侵入した。
もちろんこれは禁止されていること、
それを破ってでもマクシミリアンは
伯爵に逆らうことができないらしい。
鍵だけ渡して逃げたマクシミリアン。
後にバレたら重い罰を受けるだろう 笑
そしてローゼンベルク伯爵は随分と
広そうな書庫の奥にある隠し部屋へ。
そこはグランツライヒ王国の
記録が収められている書庫。
おそらく結構な時間をそこで費やした。
随分とたくさんの本を読み漁っていた。
人が来てしまう時間が近づいてきて
潮時と思った伯爵は、使えそうな本
をいくつか持ちその場から離れた。
一体どんな情報を見つけたんだろう。
今後が非常に不安だ‥大丈夫かな。

4人の王子達がハイネの正体を本人に
問いただしたり‥結局は誤魔化して
その場は終わってしまったりとここ
までいろいろあったけど、結局話して
もらえない真実を求め王子達はついに
ヴィクトールに話を聞きに行った。
結果的に、朝食を取りながら真実を
話すという流れになったのだけれど
「端的に言うと私と王室教師殿は知り合い
ではない。…知り合いでも友人でもない…
私とハイネは…超マブダチ☆なんだよ。」
‥‥‥‥‥ 苦笑
すごい勢いでハイネの防止が飛んだ 笑
超マブダチというのは否定するも、
古い付き合いだとハイネは話し出す。
「…私はウィンナーの街に移住している
クベル人達のとあるコミュニティーの
リーダー的役割をしておりました。」
その頃から付き合いができたという2人。
アインス王子と写ってる写真に関しては
アインス王子が別荘に来た際気分転換に
とハイネと会わせたことがあったとか‥
会ったのはその1度きりのことらしい。
これまで隠していた理由を、王室教師は
パパの友人だなんて言ったら絶対に打ち
解けられなかっただろうからと言った。
そんな感じで伝えて、謝罪を述べる。
ヴィクトールもハイネも。この場では
王子達も感情的になりすぎたと謝罪し
話は丸く収まったかのように思えた。
でもここで話したことは嘘ではない
けれど2人の過去の全てでもない。
(私もハイネもさすがにあの
ことは言えなかったな。でも
みんなならいつかきっと――…。)
伯爵がどんな情報を掴んだか知らない
けど、こうしてやっと丸く収まった所に
水を差すようなことはしないでほしいな。

ハイネに隠し事をされていたことで
しばらくの間レオンハルトが機嫌を
損ねていたけれど、心からの謝罪と
みんな何かしら隠し事があると知り
本当の意味でやっと落ち着いた‥
そう思われた直後のことだった。
突然、兄弟4人のもとへ伯爵が
やってくる‥嫌な予感しかない。
「ハイネ・ヴィトゲンシュタインが
ヴィクトール国王陛下を殺害しようと
していたことはご存知でしょうか。」
殺害?え、殺害‥え、そんな話?
アニメで観ていた時のお話は
そんな単純なことではなかった
気がするんだけど‥そもそも
同じ話の流れにはなってないし
原作の方はお話が違うのかな‥
でももしかしたら、なんらかの
出来事を差別されてきたクベル人の
彼が関わったことで悪く捉えられて
そのような記録が残された可能性も
なくはないんじゃないだろうか‥。
「このことが外部に漏れたら王家の
醜聞となります。一刻も早く先生には
王宮を去ってもらうべきでしょう。」
あまりに突然のことに戸惑う王子達。
そんな彼らに対して、陛下へ先生の
ことを進言して頂きたいと言う伯爵。
状況を受け止めきれていない彼らに
「よくお考えになってご判断ください。」
そう言うだけ言って伯爵は立ち去った。

王子達はハイネのことを信じていた。
だからこそ、真っ先にハイネにその
真偽を問うことにしたんだけれど‥
ハイネはそれをはっきりと肯定した。
怒り狂うレオンハルト、冷静に状況を
整理したいにも情報が少なすぎるため
詳しく聞かせてほしいと言うブルーノ。
「…申し訳ありません、私の独断では…
今は申し上げることはできません。
…少しお時間を頂けませんか。」
翌朝全てを話すと伝えると、まだ
その場の空気はぴりぴりしたまま
だったけれど一旦話は保留になる。
きっと隠し事をしているのはハイネ
だけでなくヴィクトールもなのだろう。
翌朝‥本当に全てを話せるならいい
けど、もうこれ以上中途半端なことを
言って王子達を傷つけるのはダメだ。
こんな気になる所で続きはまた次巻。
王子達からの信頼が消えてしまう
ような出来事でなければいいな。
~ひとこと~
14巻‥すっごい不安な気持ちです。
でも‥ようやく全て明かされるのか、
一先ずハイネsideの方だけだけど。
伯爵とアインスの方は、正直まだ
謎な部分が多すぎる状況のまま。
でももしかしたら、伯爵の行動の
理由と過去に少なからず関係する
こともあるのかもしれないし‥
次巻いい方向に話が転がって
くれることを願うのみです。