著:赤井ヒガサ 先生

これまでもいろいろと思うところは
あったのかもしれない…リヒトの口
から出た国の在り方を否定する言葉。
でもそんなふうに悩んでしまっている
リヒトの気持ち、ハイネだって決して
わからないわけではなかったみたい。
立場をわきまえた上で出来ることを
やろうと、リヒトはオーナーを元気
付けるために差し入れをすることに。
みんなで作ったサンドイッチを持って
カフェに向かう途中見つけた張り紙。
その張り紙の内容はこうだった。
「カフェ・ミッターマイヤー その
オーナーのフェリックス・ゾンマー
と二号店店長ヘルマン・ケーニッヒ
は卑しいクベル人の血筋である。
伝統あるこのコール通りに汚らわ
しいクベル人の店を作らせるな!」
人種差別、そういう差別は減ってきて
いる現状でもなくなってはくれてない。
今回の一連の騒動の原因はそれだった。
どんな時も、なんだかんだ前向きに
笑顔をみせて頑張っていたオーナー。
「くそッ、ふざけるな畜生!!俺達が
何したっていうんだ。クベルの血が
流れてるからってお前に何を…ッ。」
そんなオーナーを鎮めるヘルマン。
彼がいてくれてよかったよほんと。
でも状況は何も変わらず悪いまま。
何も出来ない自分に、リヒトは
どこまでも苦しい気持ちを感じた。

「俺にも手伝わせて、
俺も犯人探し手伝いたい!!」
「オーナーを…クベル人をどうとか
言ってくる奴がいるなんてそんな
考えがこの国にあるとしたら本当に
おかしいよ。それを俺は確かめな
くていいの?俺の…”役目”としても!」
リヒトの想いを言葉を受けてハイネの
頭にはヴィクトールが浮かんでいた。
今回の事件に関して、ハイネの心にも
なにか思うところがあったのかもね。
これ以上リヒトを止めはしなかった。
俺が頼む以上のことはしない、それが
守れるならという条件付きでオーナー
からもリヒトは手伝うことを許された。
それからは、許される範囲で精一杯
出来ることをして回った。そこから
2週間‥なんの目撃情報も出ぬまま、
例の嫌がらせ犯は身を潜ませていた。
「二号店開店は諦めようと思う。」
オーナーが出した答えはそれだった。
最終的には何も解決に繋がらないまま、
最悪の決断をすることになってしまう。

二号店の開店を諦める、そんな判断を
聞いてしまってからリヒトは部屋に
こもりきってずっと悩み続けていた。
でもそんな中である答えに辿り着く。
生まれながらに自分が持った特殊な
役目・王子。自分にしかできないこと。
王子として、問題の解決に尽力する
という道を選ぶことにしたんだね。
オーナーに身分を明かし、これまで
隠し続けてきたことの謝罪を伝えた。
自分の決めたことを貫いて、この
国をいいものへ変えるために‥
だからカフェもやめると話した。
そんなリヒトに、オーナーは態度を
変えることもなく背中を押してくれた。
オーナーも本当は知ってたんだって
リッチが王子様だっていうことを。
リヒトが今の所に住み始める前頃、
ヴィクトールが挨拶に来ていろいろ
話していたんだとか‥さすがです 笑
身分を隠した王子様を雇うっていう
こと、きっと嫌がる人だっている。
オーナーはそれを知った上で彼を
働かせることを選んだようだった。
「またな”リヒト”」
カフェのオーナーとアルバイト、その
関係や距離感が変わってしまうことを
恐れていたリヒトだけど、きっとこの
変化はいいものに変わっていくだろう。
国王候補に復帰、頑張れリヒト!!
王宮に帰る馬車の中で明かされた
事実がある。ハイネがクベル人だ
ということだった。ハイネの昔の
生活はそういう理由だったのか。
ほんの少しずつでもいい、本当の
意味で平等に変わっていきますように。

久しぶりに王宮に帰ってきたリヒト。
ブルーノとは喧嘩別れ状態で離れて
しまっていて、顔を合わせたらどう
したらと身構えるリヒトだったけど‥
もう、大丈夫かもしれないね。
ちょっと気まずそうな雰囲気もありつつ、
でも優しい笑顔でおかえりと迎えてくれた。
互いにまだ心に決めきれていない
思いがあったあの頃からは互いに
成長し固い意志を持つようになった。
2人とも、ほんと成長したな~♪♪
謎に親心っぽいのが出るこの頃 笑

ある時、王宮にアインス、伯爵が
やってくる。その理由は結婚報告。
国王候補としてもプラスになる話、
それなのにアインス自身はなぜか
浮かない表情を浮かべていた。
そんな話から、顔合わせも込みで
お相手のベルギアン王国第二王女
パオラ王女とそのご親族を別荘に
一泊ご招待することになった。
そこに兄弟達、そしてハイネも
温泉の誘惑に負け行くことに 笑
王子達が会食に行っている間、ハイネ
はのんびり温泉を満喫していたんだけど、
それはローゼンベルク伯爵に邪魔される。
一緒に食事でも、と誘われハイネは
伯爵がまた国王候補に関することで
なにかしようとしている危険もあり、
その確認、牽制のためにも受ける。
「怪我させたり最悪暗殺…とか?
そんなことはしませんよ。」
ハイネの問いかけに伯爵は否定の
言葉を述べる、どこまで信用できる
ものなのかは相変わらず謎だが。
結婚の話も決まり、アインスの王位
継承は決まったも同然だと伯爵は言う。
そしてアインスが国王になれば、現在
第一王子の侍従長である伯爵は国王の
侍従長という、王宮内でこれ以上ない
最高の地位を得ることになるだろう。
でも伯爵はそれには興味がないと、
アインスが国王になったら自分は
侍従長をやめるとまで言ってみせた。
全ては友情のため、そんな清々しい
ものとは少し違う気もしたけれど、
真っ直ぐな思いは確かにあるようだ。
そんな伯爵に対し、ハイネはアインス
の結婚を心から祝福すると伝えた。
もちろん、弟君たちの教師として。
それに対して、なんだか煮え切らない
ような伯爵の態度、何を意味したのか。
彼の言葉通り、本当にこれ以上は何も
起こらないならそれはありがたいね。

3日後アインスの結婚が破談になった。
別荘でアインスとパオラ王女が一緒に
いた所を見たその雰囲気はいい感じの
もの見えた、そう言っていたのになぜ?
アインスは体調を崩しているらしく
ブルーノはこんなことを言いだした。
「以前にもアインス兄様の結婚話が
あってなくなったことがある。ない
とは思うが…もしアインス兄様が何か
重大な病気を抱えているとしたら-…。」
考えすぎだよ、という空気になる中、
珍しくカイ王子が真剣な表情でで叫ぶ。
「お見舞い…行く…っ。」
そんな所から、カイ王子だけが知る
兄・アインスとの昔話が描かれる。
「兄上…好き。俺…よく兄上
に遊んでもらってたから。」
カイ王子はアインスが大好きだった。
そしてそんな幼い頃からアインスの
そばにいた…誰お前と思ったら伯爵。
このちびカイ王子いじめてるのは
あのローゼンベルク伯爵ですと 笑
あの隠れた腹黒さ、たまに出てくる
いじめっ子面、なるほどね … 笑

そしてそして、先程のカットからも
弟を大事にしている感じは少なからず
見て取れたアインスだったけれど、
素直じゃないけど優しいお兄様だわ。
今のアインスからは、全然想像
つかないな‥一体何があったの 笑
きっとその変化には伯爵も大きく
関わってるんじゃないかと、
勝手ながら思ってしまう私です。
アインスはすぐに勉強で忙しくなった
から、遊んでもらえた期間はそんなに
長いものではなかったんだろうけど、
そんな少ない思い出でも優しい兄と
いう記憶はカイ王子に根付いていた。
こうして、みんなでお見舞いに行く
ことにした4人の王子達だったが‥
おっかない顔したローゼンベルク
伯爵にに追い返されてしまった 笑
~ひとこと~
アインス、一体何を抱えてるのか。
疑惑は増えるばかりだけれど結局
真実には辿り着けないままでした。
リヒトのことは、彼の中で揺らがない
未来を、意志を持てるようになった
ことを良かったと思う。それに将来
国王になったら、カフェを開くなんて
夢も相変わらず持ったままだったしね。
もやもやするー 笑
4人の王子達を応援している私ですが
これまで読めなかったアインスの、
兄としての一面を見たら心配になる。
また14巻が出たらその頃に、続きを
レビューさせて頂こうと思います。