著:赤井ヒガサ 先生

時は少し遡り、カイ王子が帰って来た
その時、ブルーノが出迎えをしていた。
互いに王宮を離れていた間のことを
話すうち、ブルーノは友人が出来たと
スメルジャコフの話をしようとした
直後、ハッとしてそれをやめた。
(あ、危ない…っ。兄さんは目つきが鋭い
ことと口ベタで人と仲良くできないことを
悩んでいたんだった。エルマーという友人
はいたものの…完全にコンプレックスが
解消されたわけではないだろうし、自分は
なんて無神経なことをしでかしそうに…!!)
彼なりの気遣いだったのだろうけど、
今のカイ王子には多くの友人がいた。
一緒に訓練を乗り越えた仲間たちと、
すっかり距離が縮まったようだった。
そんな、マブダチ⤴ みたいな写真を
見せられたブルーノは急に寂しくなる。
(まるで兄さんがとても遠くへ
行ってしまったような……。)
素直に祝福できずにいたブルーノだけど、
直後の兄の一言で簡単に舞い上がる弟 笑
多くの仲間ができて友達になれた。
それでも大好きな家族がそばに
いなかったことが寂しかった。
そんなんね、嬉しくなっちゃうよね 笑
ほんと温かくていい兄弟だなと思った。

ある時クロード王子からフォンセーヌ
王国へ招待された王子さま達とハイネ。
外交ではなく友人として、ということで
帰還は短いがリヒトを除く3人の王子と
ハイネ、合計4人で旅行に行くことに。
アデルの婚約者にガツンと言ってやる
ことを目的として、レオンハルトは
汽車での移動中も、もちろんその前
からずっとフォンセーヌ語の勉強を
一生懸命しているようだった。本人、
それが勉強だと認めなかったけど 笑
でもいざ国についてみると、クロード
王子は来るのを心待ちにしていたと
封鎖された駅まで迎えにやってきた。
こんなまっすぐなキラキラした笑顔で
こんなふうに来られては、アデルを
やらんなんて頑固親父みたいなこと
言えるはずもなくレオンハルト敗北。
さてさて‥どんな旅になりますかね‥

フォンセーヌ王国に来て2日目。
クロード王子の案内で街観光することに
なった一行だが、クロード王子が異国語で
説明してくれる内容には難しい言葉も多く
カイ王子はそれを理解しきれずにいた。
でもそんな内容を、大まかにではあるが
レオンハルトはきちんと理解できていた。
アデルのことで文句を言うために勉強した
フォンセーヌ語だけど、確実に彼の実力に。
いやー、成長ってすごいよね。
レオンハルトはきっと嫌いな勉強として
考えなければ学ぶ意欲もあるし、きっと
頭のいい王子になれるじゃないかと思う。
今後が楽しみだね‥ ♪
この後、ハイネの提案でクロード
王子の説明は全てレオンハルトが
翻訳しながらの観光が行われた 笑

観光が終わる頃には、レオンハルトの
気持ちにも変化が見られ始めていた。
(クロード…あんなちっちゃいのに
しっかりしてるしすごくいい奴だな。
あれ…? なんで僕こんないい奴に
ガツンと言わなきゃいけないんだ…?)
なんて自分のしようとしていたことに
疑問を持ってしまうくらいに、クロード
のことを友人として認め始めるみたいね。
そんな中、クロード王子は突然言った。
「実は皆さんに…言わなくてはいけ
ないと思っていることがあって…。」
「アデル姫のことで。」
でもその内容はアデルのことはもちろん
兄弟達のことも大好きゆえの悩みだった。
「もし将来アデル姫と結婚する
ことがなくても…僕と変わらず
仲良くしてもらえますか…!?」
結婚しないという話ではなく、アデルに
対する好きが友人としての好きなのか、
それ以上なのか計りかねているという。
結婚することに対しても漠然としたまま。
まだ幼い王子、仕方がないことだろう。
でもそんな気持ちではアデルに失礼だろう
と真剣に向き合おうとするクロード王子は、
出来すぎなくらい素敵な王子様だと思った。
でもクロード王子の悩みは杞憂に終わる。
「違うッ僕はお前がいい奴
だから仲良くしたいんだ!」
最終的に、レオンハルトがクロード王子に
伝えようとしていた内容とは真逆の内容を
伝えることになったけれど、レオンハルト
もクロード王子も互いの悩みは解決かな?
王族だし、全て気持ちを優先した選択は
出来ないものかもしれない。それでも
有効的な付き合いをしていきたい他国の
王子様が、お互いに同じ気持ちでいる。
今の現状はとてもいいことだろう。
とても嬉しいことだろうと思う。
王族とかそういうの関係なしでも
きっと彼らはずっと友達だろう。

さてさてさて、すごく久々にリヒト‥
リッチさんのお話を見てる気がします。
王宮を出てカフェで働いてる身だから
というのも、きっとあるんだろうか?
そんなリッチの働くミッターマイヤーは
最近嫌がらせをされているようです。
店の入口のゴミを捨てられたり、
店の外に置いてある積荷を荒ら
されたり、壁に落書きされたり。
オーナーの意向で大事にはせず
警察にも通報してないらしい。
そんな同時期、二号店の準備も順調に
進みついに開店前日、開店祝いパーティ
にハイネも招待されることになった。
そこで二号店のオーナーを務めるという
ヘルマン・ケーニッヒさんが出てくる。
新キャラ登場です、どんな人物やら‥
無表情で何考えてるかわかんない感じ
だけど、なにか裏で考えてるような人
じゃないといいなとか考えてしまった。

和やかムードでパーティが行われる
中、リッチが窓際に立った際に
窓の外に怪しい人影を見たハイネ。
その直後、カーテンを閉め窓から
離れるように慌てて声をかけるも、
間に合わず外から石を投げ込まれ
ガラスが割れ‥リッチは無事だが
彼をかばったマクシミリアンが
怪我をすることになってしまう。
これまでに一号館の方であった
迷惑行為と同じ犯人かもしれない。
そしてもしかしたらリっちを狙った
王族関連の犯人の可能性もある‥?
通報し翌日の二号館開店は延期。
一号館も安全が確認できるまでの
間は休業とオーナーが判断した。
なにやら雲行きが怪しくなってきた。

人として随分と真っ直ぐに育ったよね。
王族だから、一般市民だから‥そういう
違いって生まれつきで欲しくても手には
入らないしいらなくても離れてくれない。
リヒトは優しい、大切な人たちのために
全力で頑張ろうとする強い心の持ち主。
でもそれを、国王を目指すことは
やめても王子であるという事実が
邪魔して止められてしまうのが現実。
「王子って…何!?さっきから王子だから
って…だから何!?特別扱いしないでよ!」
爆発したリヒトの思いに、ハイネは
随分ときつく冷たい視線で言った。
「リヒト王子、この国が…貴方のお父上
が治めてきたこの国がおかしいと…その
発言は撤回なさってください。」
リヒトの気持ちもわかる、すごくわかる
けど彼が王族であり、国王の息子である。
その事実は変わりようのないものだ。
リヒトは、国王を目指すのかカフェで
働きその道を極めにいくのか、正直まだ
少し悩んでる部分があるように思えた。
今回のカフェでの事件、リヒトが抱いて
しまった思いで何か変化してくのかも。
~ひとこと~
序盤のお話は微笑ましいっていう言葉が
ピッタリの心温まる、可愛らしい内容が
多かったので、後半のリッチのお話には
胸騒ぎが、今後への不安が止まらない。
リヒトの心ははっきりさせたい所だけど、
ちゃんと気持ちの整理をした上で決断
出来るように、無駄に引っ掻き回される
ようなことにはならないといいなと思う。
また次巻、よかったらお付き合い下さい。