著:赤井ヒガサ 先生

ある日ベアが相談があるとやってきた。
ハイネとレオンハルトに持ちかけてきた
相談とはカイ王子から届いた手紙の内容。
訓練をするために周囲に何もない所へ
行っている彼は、とにかくふにふにに
飢えてしまっていて、手紙の後半は
ひたすらふにふにふにふにふにふに 笑
どう返したらいいんだと助けを
求めてやってきたのだった。
3人で悩みに悩んだ末に出した答え‥
シャドウをブラッシングし抜けた毛を
丸めた羊毛フェルトの上から被せ繊維
を絡ませることでシャドウの毛玉を作り、
シャドウのぬいぐるみを作ったのだ。
完成品のデザインはベア。絵は苦手
なレオンハルトも縫い物の方は器用に
こなし、苦戦しつつも3人で完成させた。
2人に助けてもらいつつも、カイ王子
に喜んでもらいたくてベアは心を
込めて作ったんじゃないだろうか。
数日後、それはカイ王子の元に届く。
それはそれは大喜びしてくれたらしい。
その後来た手紙からも、そんな様子
は十分すぎるほど伝わってきて ‥
「ベアトリクス……大好き…」
ね、誤解するよね。でも続きが
「ふにふに…ベアトリクスも
ふにふに大好きだから作って
くれた?ふにふには…いい…。」
結局ふにふに www ベアの愛は
届いたのか届かなかったのか。
でもきっとカイ王子が喜んで
くれてベアは満足してるかもね。

フォンセーヌ王国のイザベル王妃、
クロード王子がグランツライヒ
王国王宮を訪問することになった!
国王からの命令で、ハイネも一緒に
お出迎えをすることになり、そこ
にはレオンハルトやアデルの姿も。
王妃と国王の会談中、レオやアデルは
クロード王子に王宮内を案内することに。
ハイネは、外国語をまだ学んでいない
アデルとクロード王子の通訳を頼まれた。
レオンハルトも当たり前に通訳してもらおう
とするが、既にフォンセーヌ語を学んでいる
らしいレオンハルトには自力で会話をしてみる
ように促して決して通訳はしてくれなかった。
でもいくら頑張ってみても会話は成立して
くれないまま。拗ねて一緒に過ごすこと
すら諦めてしまった様子のレオンハルト。
でも仲良くするために本当に必要
なのは言葉ではなかったのかもね。
ハイネは今レオンハルトのそばに来ていて
アデルとクロード王子は言葉が通じていない
はずなのに、もう自然に仲良く出来ている。
「間違っていてもいいんです。間違い
を恐れず話してみてはいかがでしょう。
伝えたい気持ちを素直に出せばきっと
相手もわかろうとしてくれるはずです。」
仲良くなりたい気持ち、大事だよね。
私も外国語への苦手意識が強いので
レオンハルトの気持ちはわかるつもり。
でも確かに1番大事なのはそこじゃ
なかったのかもしれないと思えた。
だからと言って、急に実践しろという
のは簡単なことではないだろうけど。
でもレオンハルトのすごいのはここ。
アデル達を見てハイネの言葉を聞き、
自分なりに精一杯気持ちを言葉にした。
ものすごく、単語が並んでたけど 笑
「cheval (馬) mignon (可愛い)。」
その後も単語と態度と行動で、彼の
好きなことや楽しいことをたくさん
伝えた。気がついたら、先程のアデル
のようにレオンハルトはクロード王子と
自然に仲良く出来るようになっていた。
ハイネの与えるヒントが的確なのも
もちろんあるとは思うけど、こういう
素直に行動出来る真っ直ぐなところは
きっとレオンハルトの大きな魅力だ。
これからどんなふうに成長していくか、
ほんと楽しみで仕方ない王子様です。

ブルーノが帰ってきました。いろいろと
成長した部分はあれど、相変わらずな彼。
だがそんな兄様の帰りを待ちわびていた
はずのレオンハルトの様子がおかしい。
ブルーノ兄様ぁと飛びつこうとした直後
ピタッと止まり真顔になったと思えば
やたらと丁寧な外向けのような態度を
取り出迎えると早々に立ち去ったり‥
あえてブルーノの隣の席につくのを
避けたり、ブルーノの好意を素直に
受け取らないどころかまるで避ける
ようにさえ見える態度をとっていた。
でも気になるのが、1度は素直に行動
しようとした直後はっとして身を引く
ようにしていたこと、その理由はすぐ、
その日の夜には明らかになった。
夜11時過ぎまで、ブルーノは論文について
アドバイスを貰うためハイネの部屋にいた。
様子のおかしいレオンハルトについては、
一人で努力し続けて自立心が生まれたの
かもしれない、兄として寂しいけれど
いい機会だと受け入れることを考え始める。
そうして自室に戻ると、そこにはベッドで
泣きながら自分の名を呼ぶレオンハルト 笑
「うわーん、兄様が
オロスに帰っちゃった~」
遅い時間なのにブルーノが部屋に
いないから勘違いをしたらしい。
あれだけ避けるふうだった弟が、
今度は兄がいなくなったと泣き叫ぶ。
レオンハルトとしては、決して避ける
つもりはなかったみたい、ただただ
兄の言いつけ通りいい子にしてた‥
つもりだったみたいだ。なにこれ 笑
さすがレオンハルト、想像の斜め上
をいった行動で兄を惑わしてるな 笑
わがままな弟、でもそんな弟に好かれ
甘えられるのが大好きな兄でもあった。
程度ってのはあると思うけど、きっと
この2人はこの先もずーっと仲良しな
兄様と弟のままでいられると思うよ。
「レオンハルトはいつものままで
十分いい子だ!よく頑張ったな。」
方法は極端で誤解を生む行為だったけど、
兄は弟の努力を認めて褒めるんだよね。
こういうの大事、素敵だなって思った。
そうして涙を浮かべてブルーノに
抱きついたレオンハルト、2人とも
とても嬉しそうな表情をしていた。
その後朝までレオンハルトは我慢
していたブルーノに話したかったこと
をとことん話し続け‥兄様くたくた 笑
やっぱり限度ってのは覚えるべきだ 笑

ある時ブルーノはオロスで知り合った
学友・スメルジャコフを招いて論文に
ついて相談や意見交換をしていた。
そこにハイネは偶然居合わせ一緒に
意見交換を繰り広げることになった。
きっとその時間は彼らにとってとても
有意義なものだったんだろうと思う。
「正直普通の留学生でもお前ほど熱心
な奴はいなかった。俺としてはお前の
ような優秀な学友が近くにいれば毎日
張り合いが出るんだが…残念だ。」
帰り際、スメルジャコフはそう言った。
それに対して、ブルーノが返す言葉は
随分と前向きなもので、学ぶことに
対して後ろ向きだったあの頃の彼は
もうここにはいない‥よかったよね。
ブルーノの言葉に、スメルジャコフも
またいい表情を見せ意気込みを見せた。
これもきっとオロスに行って2人が
出会い、学友として認め合えたから
こその関係だろう。そばにいても
離れていても、互いを高め合える
関係というのはとても素晴らしい。
ある日唐突に、レオンハルトは言う。
「理想の結婚相手ってどんなだろうな。」
ブルーノとハイネの驚きよう、
あれはちょっと面白かった 笑
その発言の理由は、クロード王子
がやってきた頃まで話は遡る。
そのクロード王子、実はアデルの
婚約者だったらしいんだ !! 笑
ヴィクトールいわくあの時はそこ
には触れず互いに顔合わせ‥程度
に考えていたらしいのだけど、想像
以上に仲良くなれて安心していた。
さらっと口に出したそれをシスコンな
レオンハルトは聞き逃さず父に抗議。
しに行った所、王族にとって結婚が
何を意味するか‥決して無理強いする
つもりはないが大切なことであると
言うことの他に、レオンハルトも
いずれはという話をされたのだ。
そこで自分が今まで考えたことも
なかった現実を突きつけられて
悩み始めてしまったらしい 笑
突然のそんな話題、ブルーノも
そしてハイネもそういう経験は
なくアドバイスができなかった。
そこにタイミングよくやってきた
ベアにアドバイスを貰いつつ、実践
形式でレクチャーしてもらうことに!!
でもそれは途中からおかしな方向へ、
ベアの理想‥というか物語の中の
出来過ぎた王子様みたいなのを
させられみなさんもうくたくた 笑
「こんなことしなきゃいけないなら結婚
って楽しくないな。僕は毎日楽しいのが
いいなぁ……そうか!わかったぞ!僕の理想
の結婚相手は一緒にいて楽しい人だ!」
こんなふうに純粋でまっすぐな
思いで想い合える素敵な女性に
出会えたらいいね、レオンハルト。
彼の真っ直ぐすぎる思いに自分の
考え方を恥ずかしく思う3人だった 笑

カイ王子からハイネに手紙が届いた。
この時、実は既にカイ王子は王宮へ
帰ってきているのだけど、ハイネが
それを知るのはまた少し先のお話 笑
手紙の内容は山での訓練のことだ。
今回はふにふに祭りではなく、逆に
驚いてしまうハイネであった 笑
30キロの荷物を背負った状態で
頂上まで4時間半かかる山を3時間
で登る、というかなりハードな訓練。
怪力なカイ王子には楽々こなせる
内容だが、普通はそうはいかない。
特に体力のない、カイ王子の友人
エルマーにとっては命がけだった。
その訓練、初日制限時間内に山頂に
辿り着けたのはカイ王子のみだったが、
毎日それを繰り返すごとに慣れからか
クリア出来る者も日に日に増えていた。
でも初日リタイアのエルマーだけは
10日目も一向にクリアできなかった。
周囲に陰口を言われることも出てきて
自分は諦めて帰った方が皆に迷惑を
かけずに済むなんて言い出す始末。
「軍学校に復学して俺はみんなとなじめ
なくて、でも…エルマーは怖がらずに俺と
話してくれた。エルマーは誰よりも強い
心を持ってる。エルマーならできる。
俺は今までエルマーにたくさん助けて
もらったから、その恩返しがしたい。」
「…一緒に頑張ろう。」
口下手なカイ王子の真っ直ぐな言葉、
エルマーにはちゃんと届いてくれた。
その日から必死にトレーニングをして
体を鍛えつつ、日々の訓練を受ける。
それでも時間はかかったけれど、
1ヶ月後、必死に努力し続ける彼を
悪く言うものはもういなかった。
残り時間5分、最後にここを登りきれば
山頂‥という所でエルマーは苦しそうに
息を切らし必死に立っている状態だった。
そこで大きな声で叫んだのはカイ王子。
そこからは他の訓練生も一緒にエルマー
を応援してくれた、声をかけてくれた。
倒れてしまいそうだったエルマーも
必死に食らいつき崖を登っていく‥
ラスト、カイ王子に引っ張り上げて
もらうような状況だったがなんとか
時間内にエルマーは山頂に到着した。
このことで、エルマーを中心に
たくさんの生徒たちとの絆が
深まったんじゃないだろうか。
きっとカイ王子一人ではまだ彼に
怯える者も多くなし得なかった。
貴重な、そしてこれからの彼の
成長のための大きな1歩を進む
ことができたのかもしれないね。
エルマーも、カイ王子もお疲れ様。

帰ってきていたカイ王子とハイネが
再会していた頃、ブルーノはローゼン
ベルク伯爵からの話を聞いていた。
以前はいろいろ引っ掻き回された
けど、ブルーノの決心は揺らがない。
揺らがないだけの真っ直ぐな思いで
今は国王を目指す覚悟ができたんだ。
今の時点で、どこまでの王子が
彼のように心を決めているのか
わからない部分もあるけど、
それぞれが経験し成長しながら
他からの言葉では揺らがない
思いを持てるように成長してく。
なんだか、いいなと思った。
そんなふうに変わっていくのは
きっとそう簡単なことではない。
だからこそ変わっていける彼らは
すごいし、これからも応援していき
たいと思える素敵な王子様達だ。
~ひとこと~
今回も酷く長文レビューすみません 笑
1話1話が別のお話だったりして、説明
しないと伝えられなーいと思ったら
どうしても説明レビューに ‥ (反省)
毎度反省はするものの文章力は中々成長
出来ません‥こんな状態ではありますが
お付き合い頂ける方がいれば幸いです。
結局、10巻ラストのアインスの欠陥
というのが何なのかは結局謎のまま。
仕事を放棄して部屋に籠もってしまう
アインスに対して、ローゼンベルク
伯爵が意味深なことを言っていた。
「なら、あの話は進めてもいいんですね?」
国王陛下に認められるため、なにか
しようとしているのだということは
察しが付く、でもその先はやはり謎。
「アインス、お前にはしっかり
してもらわなくては困るんですよ。」
アインスを責め立てるかのように
ローゼンベルク伯爵はそう言って、
アインスは酷く苦しそうな表情を
見せながらわかっていると答えた。
…全く、それだけじゃわからない 笑
いつになったら明らかになるんだろう。
ローゼンベルク伯爵は相変わらず他の
王子達を蹴落とし敵を減らそうと行動
することを続けているようだし‥
4人が成長していくことに内心は
焦っているのかもしれないね。
4人共前向きに頑張っている今、
余計なことをしてほしくないな 笑
次巻はリヒトのお話も出てくるかしら ?
続けて13巻までレビューさせていただき
ますので、よかったらお付き合い下さい。
もう、ひとことが一言じゃない 笑
(前からですね、すみません)