王室教師ハイネ 第10巻

著:赤井ヒガサ 先生

ローゼンベルク伯爵に探りを入れた。
また、軽く交わされてしまうことも
覚悟して言ってみた程度だったかも。

でも今回の彼の反応は違った。

「だったらなんだというのでしょう。
その薄汚い口を閉じなさい平民が。」

明らかに敵意を露わにしてきた。
それはそれは怖い顔をしていた。

伯爵の態度からして、ハイネの
仮説は真実なのかも知れない。
一体どんな致命的な点があるか
というのはまだ謎のままだけど。

リヒトやブルーノ、カイ王子が
王宮を離れることになったことの
影でも彼は動いていたんだろう。

表向きはリヒトの時しか出てきて
いないけれど、どこかしらで何か
動きがあった可能性は高いだろう。

ハイネのやることは変わらない。
王室教師として王子達を守りつつ
国王候補を目指して教育していく。

その妨げになるようなことを
これ以上してこなければいいが‥

リヒトと同じ家で生活することに
なったマクシミリアン‥リヒトの
護衛を任された彼だけど、リヒトと
一緒にカフェで働き出したらしい(笑)

彼はなんというか、どこまでも
自由な人って感じがするな~。
店ではイマイチ役に立ってない
マクシミリアンだけど、兵士と
しては結構なエリートである。

いざとなればしっかり護衛して
くれるんだろうけど‥不安だ(笑)

「先生お願いしますっ、
お金…貸してくださいっ。」

なんてことを突然言い出したリヒト。
その理由は、無駄遣いなんて一切した
覚えがないのに計算していた金額での
生活が苦しくなったということだった。

でもその理由はすぐにわかった。
同居しているマクシミリアンは
国から護衛の給料を貰っている
わけで相変わらず給料が高い。

それに比べてリヒトはカフェでの
稼ぎだけで行きていくわけだから
同じような生活が出来るわけはなく‥

一緒に食事をとる際マクシミリアン
のセレクトで店を決めていたようで、
おそらくその外食が生活費を大きく
削っている原因だろうということに。

もちろん料理なんてまともにした
こともなかったため、まずは簡単な
ものからと本を買って頑張るリヒト。

それなりに美味しいものが完成して
喜んだリヒトだったが、その後には
もちろん後片付けも残っている。

「洗うのって意外と大変なんだ
よね。仕事でやるのも嫌だなー俺。
料理毎日やるのしんどいかも。」

そんな弱音を吐くリヒトにハイネは
言う、王宮に戻りたくなったかと。

慣れないことや知らないことは大変。
それでもこうやって諦めないで頑張り
続けることができれば絶対成長する。

リヒトはきっとどんどん成長できる。

「今度来た時には美味しい
料理ごちそうするよ!」

それはそれは、成長が楽しみですね!!

今度はブルーノの留学先での話。
留学先、オロス国のピエタリー
グラードまでは鉄道を乗り継いで
10日間の長旅だったという‥
王室専用列車とはいえ、長旅など
慣れていない彼は体調を崩した。

ようやく到着してからも、王子
として訪問しているため市長や
市民からの歓迎、記者対応など
に大忙し‥休む間などなかった。

そんな中で、これから学友として
ともに学ぶであろう教授の助手、
スメルジャコフと上手くいかない。

態度からして‥嫌われている
ようだと感じていたブルーノ。
それでも出来たら仲良くしたいと
積極的に話しかけていくものの‥

長旅の疲れ、それからもろくに
休まず頑張っていた彼はついに
倒れてしまった‥まあ、風邪と
いうことだったけれど、少しは
休息が必要ということだろう。

倒れた際、スメルジャコフは
医者を呼んだり、差し入れに
お弁当を用意したりといろいろ
世話を焼いてくれたようだった。
それでもやはり態度はきつい。

「貴殿は自分のことが嫌いなのか…。」

それならば無理に学友になろうとは、
などと諦めの言葉を告げようとすると
‥彼の本心をようやく告げてくれた。

もしかしたら、ブルーノの言葉で
ようやく自分の態度がひどかった
ことに気付いたのかもしれない。

きちんと謝罪してくれて‥その上、

「お前の論文は素晴らしいし…。」

認めているからこそ口にして
後悔したような態度をとったが、

「…改めて、優秀な貴方と
共に学べる機会に感謝したい。
今度ともよろしく頼む。」

スメルジャコフがそう言って手を
差し出してくると、ブルーノは
とても嬉しそうな柔らかい表情で

「こちらこそ、同じ教授の
下で学ぶ”学友”としてよろしく
頼む、スメルジャコフ。」

もしかしたら、スメルジャコフは
ブルーノにとってはじめての友達
かもしれないな。誤解が解けて、
無事学友となれてよかったと思う。

ちなみに…スメルジャコフが差し入れて
くれたお弁当はとんでもなく可愛らしい
見た目をしていたが、味は絶品だった。

ある時、授業の予習をしてハイネに
褒められようとしたレオンハルトは
国立図書館へ。そこには、昔彼に
ひどい仕打ちをし続けていた初代
王室教師が偶然にも来ていて‥

ハイネはあんなのとは違う‥
これまで一緒に過ごして知った
ハイネは絶対そんなことないと
レオンハルト自身わかっていた。

それでもトラウマなんだろう‥
やはり少し怯えた態度が出る。

そんな時にタイミングが悪く、
ハイネの教鞭がレオンハルトに
ぺちっとぶつかってしまった。

レオンハルトは混乱し大泣きして、
落ち着くまで大変そうだった(笑)

でもようやく落ち着いて話をすると
レオンハルトを安心させる言葉が
出てくる‥本当に素晴らしい教師
なんだろうなって、見てると思う。

過去のトラウマ、どう考えたって
その王室教師が異常だったろう。
でもレオンハルトは、その件で
自分を責めている部分もあった
から今不安になったんだろうし。

‥これまで教師というものが
恐ろしい存在だったレオンハルト。
でもハイネと出会って変わった。
変化を起こせたんだ‥良かったよ。

王宮を出ていったリヒトに授業
し続ける必要性がわからずいた
レオンハルト‥リヒトがが王宮を
出た理由も実は知らぬままだった。

「では、ご自身の目で
確かめにいってみますか?」

そう言って、ハイネはリヒトの
働くカフェにレオンハルトを
連れて行くことにしたのだった。

実際の働きっぷりを見て、リヒトが
真面目に一生懸命努力し続けてここ
にいるということを思い知らされる。

応援しようって‥兄なりに
思ったのかも知れない。

「僕の大事な弟だからな。
これからもよろしく頼む。」

オーナーにそう言って、
カフェを後にした。

レオンハルト‥まだまだ子供な
部分が目立って入るけど、少し
ずつ成長してるし‥お兄ちゃん
なんだなって一面が見られた。

「アインス兄様は僕ら兄弟より
あの幼なじみと一緒にいた時間
のほうが長いんじゃないか。」

レオンハルトが、そんなことを
言っていた。その幼なじみって、
多分ローゼンベルク伯爵のこと
なんだろうと思う。彼ら兄弟の
祖母、王太妃様が伯爵のことを
下の名前でエルンストと呼んで
いた気がする‥昔から付き合い
が長い証拠ではないだろうか。

国王に向かない理由‥
本当に伯爵は知っている。
それでも国王にしようと
動き続けているみたい。

‥次巻、すぐに明かされるかな?
早く続きが読みたいです(笑)

~ひとこと~

王室教師ハイネ10巻でした。
11巻は少し先の発売になるかな?
また入手でき次第レビューします。

アインス王子とローゼンベルク伯爵
について、これから明かされていき
そうなとても気になるところなのに‥

また少しの間お待ち下さい。
続きが出ましたらまたその時に。