王室教師ハイネ 第8巻

著:赤井ヒガサ 先生

「実は……3日後、学校の
友達がうちに遊びにくる…。」

険しい表情を見せながら突然そんな
ことを言いだしたのは、カイ王子。

軍学校に復学して、カイ王子には
めでたく友達が出来たようだった。

はじめは怖いイメージで誰も
寄ってこなかったらしいけど、
実は心優しい人じゃん!!って
パターンでは決してなく‥(笑)

彼の天然っぷりやドジっぷり、
要するに放って置けなすぎて
助けてくれる人が増えてきた。

中でも特に助けてくれるエルマーと
もっと仲良くなりたくて王宮に招待
したということらしかった。悪い人
じゃないといいな‥というちょっと
した不安も個人的にあったけど、
エルマーめっちゃいい人っぽい(笑)

カイ王子一人だと会話が続かないと
不安がり、兄弟達とハイネも交えて
エルマーを出迎えることになった。

「俺みたいな身分が下の人間に話し
かけてくださっているのに、せっかく
皆さんに歓迎してもらったのに、俺
何も…楽しい話の一つもできなくて…。」

大人数で盛大に歓迎しすぎて、逆に
身構えてしまった様子の彼だったが、
ちょっとしたことをきっかけに喧嘩を
始めた王子達を見て俯いたエルマーは‥

「ふっ、ははっ、ははははっ。」

少しの間我慢してたっぽいけど、
思わず吹き出して大笑い(笑)
ようやく少し緊張が溶けたかな。

「俺を王子っとして扱って
くれるのはとてもありがたい。でも
俺は…エルマーの友達になりたいから。」

まだ多少の緊張はあるかもしれない。
でもやっと本当の意味で友達になれた。

この後も、楽しく交流できたようで、
お互い今後も長く友人として仲良く
いられそうな関係に進展したようだ。

アデルのお誘いで、王子達と
ハイネで『狼と狩人ごっこ』と
いうのをやることになった。

狼一人、残りは狩人で、狼役の
帽子を奪えば狩人の勝ち、制限
時間内狼が逃げ切れば狼の勝ち。

王子達が順番に狼をやるも、
ハイネの運動神経と頭脳で
みなすぐに負けてしまう(笑)

ハイネが狼になったがさすが
ハイネ‥全然捕まらないww
そのうち足の引っ張り合いになって
しまい王子達は喧嘩を始めてしまう。

(ここはゲームは一時中断して仲裁を‥)

なんてことも思ったハイネだったが、

「情けないけどつまり…俺ら一人
じゃ無理だってことだよね。」

「-ならッ、俺達で
やるしかないよね!」

こうして‥王子達の作戦で無事
ハイネを捕まえることに成功した。
一人では出来ないことも、4人が
協力し合ったから出来たことだ。

大きな成長だったと思う。
でも‥少々詰めが甘い(笑)

捕まえて満足した王子達は、まだ
ハイネの帽子を奪っていない‥

この後、時間の制限時間2分前、
アデルが無事ハイネの帽子を
とって勝者はアデルとなった(笑)

ある日、リヒトが働くカフェにアインス
王子とローゼンベルク伯爵がやってきた。

突然のことに一瞬動揺してしまうリヒト
だったが、すぐに仕事に集中する。

(そうだよ身内でも”お客様”、ちゃんと
プロとして給仕に徹しないと。中途半端
なことやったらオーナーに失望される。)

ここで気持ちを切り替えていつも
通りに給仕し続けていた結果。

「お前の言う通り私の出る幕
はない。好きにするがいい。」

やめろなんて言われることはなく
一件落着‥でいいんだろうか。

国王候補に関する心配事より、
オーナーに失望されるとか、今
ここを辞めさせられたら困るとか
‥リヒトの心の中心がズレてる。

(俺、今辞めるの…嫌だから。接客も
お客様の顔覚えたり話題を作るのに
色々勉強したり、コーヒー淹れるのも
練習して慣れてきてるのに。まだ全然
オーナーみたいになれてないのに-…。)

リヒトの気持ちが本来の目的から
少しずつズレてきていたこと、
きっと今まで自分でもはっきり
気づけてはいなかったんだろう。

今リヒトは迷ってるんだよね。
国王候補として、国王を目指す王子と
してオーナーの生き方をカッコイイと
思って追いかけるのはダメな選択なの
かもしれない‥でも、憧れてしまう
気持ちは仕方ないんじゃないかな?

リヒトは一度、自分の気持ちと
ちゃんと向き合わないとだね。

リヒトの不審な行動の数々を見て、
ブルーノはリヒトがカフェに向かう
馬車を追っていった。働いている
ことがブルーノにバレてしまった。

「リヒトが働いているだなんて-…お前
も職業体験の授業をしていたんだな。」

その場では、そう解釈してくれた
おかげで騒ぎになることはなかった。

でもその日の帰り道‥

「お前、この職業体験はいつ
終わりなんだ?まさかずっと
やるつもりではないよな。」

ブルーノのその言葉に対して

「そういうわけじゃないけど…すぐ
辞めるつもりもないかな。楽しいし。」

それは本心だったと思う。
でも、リヒトの考えや行動に
ブルーノはついに激怒した。

「ふざけるな!!」

中途半端な気持ちなのか、と。
以前アインス王子の城に行った時
兄弟4人とも国王を目指す仲として
互いに高めあえるライバルなんだと
知れて、嬉しかったんだろうな。

そして今回のことでその気持ちを
裏切られた気持ちもあったろう。

きっとこれはリヒトの本心だ。
王族として生まれ育ってきて、
国王を目指すのが定めとされて‥

でも自分はそれで幸せなのか?
なんて、それ以外の選択肢を
知ってしまったから出た悩み。

この思いを抱くこと自体間違いだと
言われても‥リヒトはこの気持ちを
抱いてしまったんだ簡単には消えない。

‥王族として言ってはいけない
ことだとしても、これはリヒトが
感じてしまった違和感だろうな。

自分の気持ちにちゃんと答えを
出さないといけないだろう‥今の
まま中途半端ではきっとどちらも
失うことになるかも知れない。

リヒトは自分の気持ちに、言って
しまった言葉に自分で悩んでいた。
このままじゃダメだとわかってる。

自分で答えを出して乗り越えなきゃ
いけないところなんだろうと思う。

でも‥そこに現れたのは伯爵。
一体、何をする気だろう‥。
リヒト‥大丈夫かな。

~ひとこと~

雲行きが怪しいです、とてつもなく。
カイ王子は平和に頑張ってるし、
レオンハルトも多分地道に努力を
続けているところだろうと思う。

ブルーノはブルーノでまあ大丈夫
だったんだろうけど、リヒトとの
ことでブルーノもちょっと心配。

そして何よりリヒト‥今後彼は
どんな選択をしていくんだおる。
ローゼンベルク伯爵は一体彼に
何をしようと言うんだろうか。

不安は多いですが、ちょっと
続きを読むの怖いですが(笑)

また、次巻で!!