著者
原作:みなつき 先生
作画:二ツ家あす 先生

いろいろあったけど、レオは無事
飼い主のもとに帰ることが出来た。
そんな帰り道、陽のご飯用に肉を
買おうとした所、その店主は母親と
顔なじみだったようで母の話題に。
店主のおじさんに素晴の本を勧めた母は
それを読んで素晴を褒めてもらえた時に
自分のことのように喜んでいたらしい。
「あの子口下手だからきっと誤解を
させちゃうことも多いんだけど、
本当は心の中にたくさんの思いや
伝えたい言葉があって、それが物語
になってるんじゃないかと思うの。
だからこうして色んなひとに読んで
もらえて届くことがすごく嬉しいのよ。」
そんなふうに話していたんだって。肉屋の
おじさんはそんなことを思い出しながら、
「…大事な息子だ。誰かに褒められ
たら本人よりも喜んじまうもんさ。」
母の言ってくれた言葉、そしておじさんが
言ってくれた言葉‥素晴にとってどちらも
これまでいまいち理解できない内容だった。
でも、陽に出会っていろんな経験をして、
今日もこれまでだったら出来なかったで
あろう迷子猫を届けるなんてことをして
その飼主夫婦に陽のことを褒められて‥
陽を褒めてもらえた時に心があったかく
なったのはきっとあの頃の母親と同じ、
大切な子を褒められて嬉しかったんだ。
そんなふうに大切なものを思う心が、
ちゃんと素晴にもあったんだよ。
きっとこれまでだってあったと思う。
でもそれを自分の中で理解できたのは
やっぱり陽に会えたからなんだろう。
これからも大切にしていけたらいいな。

陽sideでも、実は素晴と似たような
気持ちになっている場面があった。
「こいつ見るからに頼り
なさそうだもんなァ~。」
なんてレオに言われた時は本気で
怒っていたし、怒った理由には自分
でも気づいてないようだったけど。
「だけどさ…おれの家すぐに探し
当てたしそこはなかなかやるよな。
最初はちょっとひどいやつかと思っ
ちゃったけどさ…結構いいやつじゃん!」
そう言われた時陽は、随分と満足げ
な、嬉しそうな表情を見せていた。
だから褒めてあげなきゃって思って
この甘えてるような態度に出た陽。
でも素晴としては甘えてるのかな
って感じたわけで‥レオが飼い主の
結衣さんにこうされていたのを見て
陽にもしたら喜んでくれるかな?と
素晴なりに思ってやったんだろう。
実際嬉しいというよりは戸惑っている
ふうに見えた陽だったけど、多分レオが
言っていた言葉を思い出したせいだろう。
一番大好きの証、この行動の意味を
レオはそう言っていた。素晴にとって
自分は1番大事なんだ‥そう理解した
ことで陽は照れくさかったのかもね。
おかげで勢いよく猫パンチされることに
なった素晴は、陽はこうされるのが好き
ではないと思ってしまったんだけれど‥
陽としては嬉しかったみたいだよ。
でも素晴はきっともうやらない。
切ないぞ、この噛み合わなさ 笑

ある時、家の下に4匹の子猫がいる
ことに気がついた。近くに親がいる
様子もなく弱っていたこともあって
大急ぎで動物病院へ連れて行った。
軽い脱水症状を起こしていた程度で
病気の心配もなさそうだったけれど、
手を出してしまったからにはこの子達
の今後も考えなければいけなかった。
既に陽がいることもあるし素晴の家で
飼うのは難しい。そうなると引き取り手
となる、里親を探さなければいけない。
小さく可愛い子猫たちだけれど、
1匹1匹が大切な命なのだから保護
した以上そういう責任は出てくる。
ここからまた、素晴には不慣れな
ことへの挑戦の連続になるかもだね。

どうしたらいいか、押守さんに相談
してみるけれど、これから自分で
いろいろ行動する必要がありそうだ。
あと少し気になったのが陽のこと。
陽の性格上威嚇したりはなさそう
だけど、あんな小さな子達相手で
心配して逆に世話を焼きたがる。
そういうイメージを持ってたけど
確かに本能的に、これまで自分に
向いていた愛情が他の子達ばかりに
集中したら‥無自覚でもそういう
不安な思いも芽生えるかもしれない。
何もなく済めばいいけど、
ちょっとだけ不安だね。

大翔には話したけど気がつくと猫の
情報は春のもとまで伝わっていて、
猫を見に鳴海と2人でやってきた。
春が、その子猫を飼いたいと言って
いたから鳴海が連れてきたみたい。
里親探しのためのポスター案を
出したり、最後にもう一度子猫を
見たいと言った春‥その時寝てた
子猫達の中の1匹だけが起き上がり
春に甘えるようにくっついてきた。
これで春の心は決まったみたいだ。
この猫を飼う‥きっと大丈夫よね。
4匹一緒にいた、きっと兄弟だから
そんな中から1匹だけってのは不安
はあるけど、春ならきっと大丈夫。
その後春は母親と一緒にやって
きてその子猫をもらっていった。
ちゃんと、幸せにしてもらうんだよ。

案の定、陽は子猫達を心配する
素振りはあっても決して嫌がる
ような態度は一切見せなかった。
そんな中1匹の貰い手が決まった時も
不安がる子猫の背中を押してくれた。
最初は嫌がる子猫の様子に、連れて
帰ろうとする春を止めようとした陽
だったけど、春の優しい表情を見て
きっと大丈夫だって思えたみたい。
きっと大丈夫、最初は不安も
あるし怖いかもしれないけど
ちゃんと幸せにしてもらえる。
そんな素敵な人だからね。

引き取られた子猫を見送った後、
他の子達は大丈夫だろうかと様子
を見にいくとぐっすり眠っていた。
「…ママ、どこ…?」
なんて寝言を言う子もいた。
きっとこの子達は自分や兄弟と
同じなんだと思った陽は、今度は
自分がトラ姉さんみたいにこの子達に
いろいろ教えてあげようと思った。
(生きるために必要なこと、大事な
ことを教えてあげればこの子たち
もいるか『出会える』はずよね!)
そうして、普段から鉢合わせして
喧嘩にならないためとかいう配慮
だったのか襖をはさんで子猫達と
陽を会わせないようにしていたのに、
ある日陽は襖をこじ開け中に入った。
「さあアンタたちっ、もう心配いらない
わよ。わたしがなんでも教えて…。」
でもその時には、すっかりこの場所
は彼らの陣地みたいになっていた。
元からこの家に住んでいる陽の方が
邪魔者扱いされてしまうハメに。
あああ‥これは、どうしよう。
想像していたのとはだいぶ違った
けど押守さんの言葉を思い出した。
陽、大丈夫かな‥?
~ひとこと~
最後、すっごく不安なところで
終わりました。そして続刊はまだ
だいぶ先の発売になると思います‥
気になる、めっちゃ心配です 笑
陽が幸せでいられるよに、そしてあの
子猫達も幸せになれるように心から
祈りたいところですが‥少々不穏な終わり
方したのでめっちゃ不安が大きいです。
まずはなにより、そんなちょっと不穏な
変化が起きていることに素晴が気づいて
陽を守ってくれることを願っています。