[BL]ひとりじめマイヒーロー 第9巻

著:ありいめめこ 先生

櫂出先生がBarで夏生から康介さんと
正広の関係をバラされようとした時..

「言いづらそうにしてらっしゃる
けれど勢多川くんのことじゃ」

悩みを聞いて欲しいなんて言いながら
中々本題に入らない夏生に対して、先
にそう切り出したのは櫂出先生だった。

その言葉の意味がわかったのは少し
後の話だけど、櫂出先生が言葉を
言い切る前に、Barに現れた正広。

康介さんの話を聞いて、正広は
彼なりに行動を起こしたんだろう。

「康介さんはッ!!あんたのことを友達
だと言ったんだ!オレのことがムカつく
ならオレにだけやればいい。康介
さんはあんたにとって大事な人だろ!」

自分の思ってること、そして夏生の
感じていることも検討がついてて、
それをはっきり言いに行ったんだ。

そしてその頃..実は康介さんも司郎
さんと連絡をとって行動に出ていた。
恩田さんのいるマンション..結構な
上層階にあるらしいのに、屋上から
縄で身体を固定して窓へダイブした 笑

夏生んとこも恩田さんとこも、随分
危なっかしい状況になっております。

康介さんがダイブする少し前の屋上
で、司郎さんが康介さんに聞いてきた。

「…康、聞いてええか?正広くんは
お前にとって何が特別やったんや?」

学生時代の約束を反故にしてまで
優先させるようなことはきっとこれ
までなかった、正広だけなんだろう。

正広にとって康介さんはヒーロー
みたいなところがある、彼がいれば
強くなれる、何でも出来るんだと。

でもそれはきっと康介さんにとっての
正広も似たようなところがあるのかも。

いいよね、そういう互いにプラスに
なれる関係ってとても素敵だよね。

窓から恩田さんの部屋に入って
康介さんが恩田さんを追い詰める。

「君が教師になって私が政治家、宝城
は警察、新開が弁護士、全部牛耳って
やればちょっとはマシな世界になるかも
な…って。そう言ってくれたから生きる
目標を康介がくれたんだ。なあどうしたら
諦められる?他に何もないんだ。私や
夏生はどうやって生きればいい?」

恩田さんと夏生にも、彼らなりの
想いがあっての行動だったのかな。

それ以上、話をする前に宝城さんから
連絡が入る。正広が夏生のBarに行った
という情報だった。正広が行動すること
を知ってた支倉からの情報だったろう。

それを聞き慌ててBarに向かう康介さん。

「人の男が弱ってるとこに酒飲まして
触ろうとしてんじゃねぇ!!この泥棒猫!!」

一足早く到着した宝城さんと彩香さんが
まず見たのは、正広がそんな言葉と共に
夏生に手をあげている光景..先に手を
あげたのは夏生の方だったようだけど‥

康介さんがBarに辿り着いたときには、
店内でもみ合いになった状態の無言の
攻防にようやく決着がついた所だった。

服もよれて傷だらけ、でもそこに立つ
あの攻防の勝者は正広の方だった。

康介さんそれはそれは心配だったろう。
怪我はしてるようだけど、目の前に
ちゃんといる大好きな人を見た直後
康介さんは正広をきつく抱きしめた。

遅れて到着した司郎さんと、事の顛末を
見るようにと連れてこられた恩田さんは
自分達の思い出の中からは想像できない
康介さんを見て、唖然とするのだった 笑

Barから康介さんと正広が帰った後、
Barには大柴家から脱走したメアリ
さんが自力で戻ってきていた 笑

いろいろと夏生自身も今回のことで
スッキリした部分もあったのかもね。
一先ずメアリさんが無事帰ってきて
夏生はしばらくは大丈夫なんじゃ
ないかなーと、そんな気がした。

過去にも恩田さんが暴走して物事を
引っ掻き回したことがあったらしい
けど、今回のもそうだったのかも。
がっつり失恋して、その後もメアリ
さんという、猫という癒やしがあれば
一先ず夏生は大丈夫だろうと思えた。

櫂出先生が正広と康介さんのことを
知っていたのは、恩田さんが動いてる
ことを知った康介さんが予め櫂出先生
に関係をバラしていたことが理由だ。

恩田さんの手のひらの上で転がされる
前に手を打ったということだったろう。
櫂出先生が生徒と付き合ってることも
知ってて、交渉したのかもしれない。

いろいろあったものの、その後は
櫂出先生の態度がやや余所余所しく
なった程度で平和な日々が戻った。

そんな中、康介さんと正広の同棲の
話は順調に進んでいるように思えて
いたが、そこにはある罠があった。

「オレは康と正広くんを守りたいだけや。」

拉致監禁なんて扱いになったら
それこそ大変だものな、司郎さん
なりに気を使ってくれた結果だ。

「この…部屋…な、この!部屋に
住めるのは、1ヶ月だけだ。」

態度や表情からかなりの浮かれっぷりが
見て取れた正広に対して、本当のことを
伝えるのは康介さんもつらかったろう。

そしてそんな事実を入居当日になって
から知らされた正広はその後、相当の
ショックを受け赤子モードになった 笑

「騙された康介さんは悪くないし、司郎
さんは心配…してくれたんですよね。」

ひとしきりの赤子まーモードを終えると
正広はこの1ヶ月を満喫すると言った。
学校の先生と生徒である現状のまま
ではこの1ヶ月が限界かもしれない。

だから今はこの期間をとことん満喫
しよう、そしていつか少し先の未来
今度こそ期限なく同じ家に帰れる、
そんな場所ができることを願おう。

ここで少し弓家の話が出てくる。
幼い頃から弓家の家庭事情はだいぶ
複雑で、両親より司郎さんがそばに
いる時間のほうが長かったのかも。

「父さんは他に好きな人がいてその人
のところにずっと通ってて、で、また
通ってたのがわかったから母さんが怒って
二人ともいかないってなったんだよね。」

両親と一緒にお祭りに来る予定だった
その日一緒にお祭りに来たのは司郎さん。

両親のそんな現状まで理解してても
特に悩むようなこともない、人自体に
対する興味や共感がぼんやりしていた。

そんな弓家が初めて人に興味を
持った、それが夏生だった。

メアリさんのお腹に顔をうずめる夏生 笑
夏生が司郎さんの知り合いだと知って、
バイトしたいってお願いしたいんだろう。

それから最初の頃は全く受け入れて
もらえなかったようだけれど、いつ
しか弱い部分を隠さなくなってく
夏生にどんどんハマってたんだろう。

てかここに来て、大柴家の料理係に
なったのがわざとスカウトされに
行ったって‥ほんと笑顔に隠して
いろいろ考えて動いてるよね..

いろいろ難しい子だとは思うけど、
いや夏生も余程難しい人だろうけど
‥良くも悪くも今回の出来事はこの
先の良い変化に繋がるんじゃない
かなーと、繋がればいいなと思う。

夏生と正広の一件の時、完璧に
部外者となっていた弓家は少し
拗ねた態度をとっていたけれど、
そこからまた前向きに地道に夏生
との距離を縮めようとしていた。

それも結構ぐいぐい行くもの
だから..夏生は疲れていた 笑

まだまだ弓家の想いは全く
届きそうにないけど、前ほど
頑なな壁はなくなったと思うし
少しずつでも良い変化を求む!!笑

~ひとこと~

一応、ごたごたしたことは落ち
着いたと思っていいんですかね。

特に恩田さんの企て、夏生と
正広の間柄が一段落したのは
本当に良かったと安心しました。

まだまだ、今後の弓家のこと
とか、夏生の今後とか気には
なるけど‥一先ず一月の間は
もう少し康介さんと正広の同棲
生活をもっと描いてくれないかな
と、そんな願望を抱いてます 笑

いろいろあったし、もう少し2人の
イチャイチャがあってもいいよね。
次巻は少し先になりますが、今後
も良かったらお付き合い下さい。