不機嫌なモノノケ庵 第15巻

著:ワザワキリ 先生

隠世姫の体調は、コウラのお陰で
熱も下がり一応落ち着いて入る様子。
でも相変わらず常に咳き込んでるし
まだまだ完治には程遠い状況だ。

「この小康状態から回復するためには
妖力を使わない環境下で静養して
いただくことなのだけれどォ…。」

隠世姫の体調が崩れてからも、治療
しながらずっと妖力で隠世を守って
きたんだろうし疲労はピークだろう。

その役目から離れて休養しない
限り完治は難しいということだ。

そのためには新しい隠世姫を選出
しなければいけない、でもアオイが
いない今代わりが務まる妖怪なんて
存在するのか‥そんな話の中話題に
なったのはアオイの死についてだ。

これまでの話の内容からアオイは
寄生樹に憑かれて亡くなったのでは
ないかと予想できてた人もいるだろう。

実際そうだったらしい。寄生樹に
祟られたアオイは他の妖怪たちに
害が及ぶ前に自ら樹海へ出ていった。
でもその後亡骸は見つかっていない。

「…三権神よ、アオイは本当に
寄生樹に憑かれて死んだのですか?」

そんなことを言い出したのは隠世姫。

状況的には亡くなっているだろうと
思われるけれど、亡骸が見つかって
ない今希望を捨てきれないのだろう。
三権神も亡くなっていると思ってる。

でも、自分もそう思っている上で
立法は隠世姫にこんな提案をした。

アオイが生きているかどうかを賭けて
みようということ。勿論隠世姫だって
生きていてほしいという願いはあれど
亡くなっているだろうと思っている。

そんな中で生きている方へ賭ける
方へ賭ける者、きっと安倍さん。
彼こそそうであってほしいという
願いゆえの選択かもとは思う。

でももしその可能性に賭けてもいい
というなら、賭けてみたいよね。

妖怪祓いの仕事の入ってるある日、禅子
からヤヒコが風邪をひいたと聞かされる。
禅子としては人用の風邪薬が効くか確認
したかったようなんだけど、安倍さんは
仕事を後回しにしヤヒコを見舞うことに。

状況は禅子が言っていたものより随分
悪く、高熱に咳、早くコウラの元へ
診察を求め連れて行こうとするけど
ヤヒコは駄々をこねる、それもかなり。

高熱でしんどいだろうに大暴れ‥
これまでも、ヤヒコが隠世へ行く
ことを嫌がることは多くあった。

でも、その理由に安倍さんは
勘付いていたのかもしれない。

ひたすら駄々こねて暴れるヤヒコ。
少し考えた後ヤヒコに語りかけた
安倍さんはいつもと違う口調で話す。
ヤヒコのことを貴方様なんて言うし。

「どうか今はご静養願います。
隠世姫の兄君…隠世下鴨御祖彦
(かくりよのしもかもみおやひこ)様。」

ヤヒコって‥そんな役回りを担ってる
ものすごく重要な存在だったんだね。
現世から隠世へと繋ぐ隠世の扉を開く
ことができるのも隠世姫とヤヒコが
それぞれの役目を果たしているから。
そりゃあ‥隠世にはいけないわね。

あまりに突然すぎる真実だった。
でも‥ヤヒコがこれを隠していた理由、
きっと友達でいたかったからじゃない?

「ボクこんな扱いされるの大っ嫌い!!」

「いつもの晴齋に戻って…じゃ
ないともうキミとは遊べない。」

突然態度を変える安倍さんに、ヤヒコは
随分と怒って寂しそうな様子を見せた。
隠世姫と同じくヤヒコは隠世で最高位
と崇められる存在ということで、安倍
さんなりのけじめで態度を改めたよう
だったけど‥結局はもとに戻った 笑

ヤヒコとしてはその方がいいだろう。
いやー‥ほんとびっくりしたわ 笑

ヤヒコの風邪っぽい体調不良だけど、
その理由は隠世姫の体調が影響してる
もののようだった。だから勿論風邪薬
で治るようなものではないのだろう。

亀薬堂で薬をもらえばある程度体調は
回復するだろう、でも隠世姫の体調が
完治するまではヤヒコも影響を受ける。

隠世と現世を繋ぐ対の存在、互いに
悪い意味で影響を受けてしまうのね。
隠世姫のことは俺達に任せてヤヒコは
安静にしてるようにという安倍さんの
言葉に、ヤヒコは素直に頷いていた。

「次の隠世姫になれるはずだった
アオイさんもいませんしね‥。」

ヤヒコの見舞いの後、芦屋がそんな
言葉をもらした所から安倍さんは少し
昔、まだ奉公人だった頃の話をする。

芦屋が司法から昔の安倍さんとアオイの
話を少し聞いたって所から、樹海に入った
理由を教えないでおくと言われたことも。

そこで、アオイが寄生樹に祟られて
死に場所として樹海に入る決断をした
という話を、安倍さんは教えてくれる。

でも最後に安倍さんはこう付け加えた。

「…なのに、いくら探しても亡骸が
見つからねぇんだよな………。」

(……だから、0に賭けたくなった。
あの馬鹿は、死なない。)

安倍さんはまだ、アオイは死んでない
っていう0の可能性を信じてるんだ。

ヤヒコの報告しに立法の元を訪れると、
立法の方からも話があると言われる。

隠世姫とアオイの話、そして生存に
賭けているであろう安倍さんの話を
した所、隠世姫が物怪庵二代目主に
会ってみたいと言い出したらしい。

「物怪庵一同、隠世姫の元へ
伺いなさい。これは法律だ。」

なんて言われて奉公人達も連れて
挨拶に行くということになった。

隠世姫のいる玉座に辿り着くのに
少々苦労はしたものの、何とか玉座
に辿り着いた安倍さん・芦屋・モジャ。

見張り役として一緒に来た司法だけど、
隠世姫が彼らとだけ話したいからと
司法には席を外してもらうことに。

物怪庵の仕事のこと、そしてヤヒコ
のこと、咳き込みながら話す隠世姫は
そばにいた奉公人達にも薬を頼むと
そこから離れさす。コウラのことも
亀薬堂に帰らせていたようだった。

そうして本当にその場にいるのは
物怪庵一行と隠世姫だけになると‥

「貴方は今もアオイが生きて
いるとお考えですか?」

安倍さんに向けてそう質問した。
それに対する安倍さんの返答はNO。

でも、それでも亡骸が見つかるまでは
生きている方に賭けていると言った。

アオイは、隠世姫にとって自分の
ことを隠世姫として扱うことなく
話しかけてくれた唯一の友だという。

後釜とかそういうの関係なく、
とても大事な存在だったろうね。

安倍さんの想いを聞き、隠世姫は
物怪庵にアオイの捜索を依頼した。

生きている可能性は0、探したい想いは
きっと安倍さんにも強くあるだろうが
実際目の辺りにすることになるのは
‥どう考えてもつらい状況だろう。

その、覚悟をした上で探しに行く。
過去にも捜索はしてきた上でいまだ
見つけられていないアオイのことを。

捜索に関しては了承した安倍さんは
捜索は最初で最後と条件をつけた。

‥でも隠世姫は納得してくれない。
見つかるまで捜してほしいと言う。

これまで、立場上三権神にも自分の
想いを伝えるのを我慢していた分か
今はもう我慢する気が無いようで‥

ああ、たしかにヤヒコに似てる 笑
駄々のこね方がそりゃあもう ‥ 笑

ムスーっとしたまま黙ってしまう
隠世姫を最終的に宥めたのは芦屋。

安倍さんも別に意地悪で今回きりだ
と言っているわけではない。安倍さん
こそ見つかるまで捜し続けたい想いで
いるだろう‥でも彼は物怪庵の主で
仕事だってたくさんある忙しい身。

そんな彼が0%にかけて樹海に籠もって
しまうわけにはいかないだろうしね。
彼なりに諦める時を定めたんだろう。
諦めるための最後の足掻きって所か。

安倍さんの条件を飲み、物怪庵は最初
で最後の樹海捜索の依頼を引き受けた。

アオイの捜索を冬休み2週間程度と決め
予約分の依頼を無理をして終わらせた。
毎日隠世の扉を2回開いて顔色酷かった。
そこまでする程彼には重要なことなんだ。

そして芦屋も

「オレもアオイさんに会いたいんだ。
会って榮についれ色々聞いてみたい
から…だからさ、オレもアオイさんは
生きてると信じて捜しに言ってくる。
絶対!見つけ出してみせるよ!」

ぐったりして横になってる安倍さんの
そばで、芦屋は物怪庵にそう宣言した。
そして冬休み前の登校最終日を終える
とクリスマス‥早速捜索に向かった。

芦屋は翌日からと思ってたけど、
安倍さんに強制的に連行される 笑

物怪庵の躙口から出ると、そこは
隠世‥ではなく樹海の中にあると
いうアオイの家=物怪庵だった。

ああ、樹海の中に家あったのね、
それが物怪庵なの‥旧に情報量 笑

樹海の中とは言え、隠世姫の加護の
範囲内で物怪庵の妖力でも周囲の
祟りは跳ね除けているということで
この場所は安全地帯なのだという。
隠世の外なので司法の監視も不要。

‥さあ、ついに捜索開始です。
モジャを物怪庵に残して出発。

何か少しでも収穫がありますように。

大声でアオイさーーんって呼びながら
捜索する芦屋に、安倍さんは疫病草の
根元にアオイの亡骸がある可能性もある
から念の為根元も確認するよう伝えた。

生きていると信じて捜索していても、
やはり亡くなっている可能性から目を
そらすことはできない‥つらいよね。

黒い毛虫っぽい生き物を見つけて
アオイの尻尾ではないかと心臓が
止まりそうになったりもしていた。

まだ初日、でもこれからこんな不安や
恐怖をたくさん感じながらの捜索を
続けていくことになるんだと思う。

そんな中、芦屋が海の音を聞いた。
樹海‥‥周りには気しか見えない。

でも芦屋の耳には確かにそれが届いてて
音が聞こえた瞬間そこには1匹だけ、他
とは色の違う蝶が飛んでいるのを見た。
どう関係してるかはわからないけど。

芦屋はそこまでは気づいてなかったかも
しれない、ただ蝶の飛んでいった方から
音が聞こえると感じてそっちへ向かった。

向かった先‥音の聞こえた方へ歩くと
ある所で元の場所へ戻されてしまう。
安倍さんが過去に捜しに来た頃かな?
つけたらしい目印があったから元の
場所に戻ってきてしまったのは確実。

何が原因かわからないけど、そこは
何度進んでみても戻ってきてしまう
そういう空間になっているようだ。

この現象は前に安倍さんが捜索に
来た際にもあったことらしく、他
の場所でも結果は同様行き止まり。

戻ってきてしまう = 行き止まり
ならここまでの間にアオイはいる。

でも‥

「ここが本当に”行き止まり”ならな。」

もし芦屋の聞こえた海の音が何らかの
方法で繋がっている他の場所の音で、
蝶と関係があるとかそういうことなら
アオイが生きている可能性はあるかも?

あくまで希望論、それでも信じたい。
安倍さんもそれに近い想像をして、
上の発言をしたんじゃないかな?

あの蝶は、その後も2人のわりと
近くを飛び回っているのを見た。
何かしら、見つかればいいな。

辺りが暗くなってきて、初日は
捜索を終了、除祟薬で虫祓いを
済ませてから物怪庵に戻った。

不安そうにずっと物怪庵の外で
2人の帰りを待っていたモジャは、
匂いを感知しくんくんそわそわ 笑
それはもう可愛さがやばかった ←

無事帰ってくると、物怪庵の
中にはなぜか立法がいる 笑

更には茶室内がなぜかクリスマス
仕様に飾り付けられてるでないの‥

「イ・ツ・キ☆ケーキを買って
こい☆これは法律だっ☆」

すでにお酒飲んでいたであろう立法の
職権乱用‥ありったけのホールケーキ
買ってきて完食を強いる、拷問でも
しそうな顔をしてる安倍さんを見て
芦屋が自分の家から一人分にカット
したケーキを持ってきてくれた 笑

まあ、そんなこんなで少しの間
彼を持て成すと、最後に立法。

「私がここへ来た用事は
床の間に置いておいたから…。」

「あーダメダメ!明日になる
まで見るのはお預けだよ☆」

そんなことを言って帰っていった。
結局は、X’masケーキもその用事(X’mas
プレゼント)も物怪庵の入れ知恵だった
ようだけど‥頑張ってる安倍さんへの
立法の気まぐれな労いだったのかな? 笑

あとは、立法もアオイが生きてるって
信じたい気持ちがあるんじゃないかと
ほんの少しだけ思いたくなった。

でもこれでアオイさんが今も祟りと
戦いながら生きてた時は薬を使って
助けられる‥かもしれないよね。

~ひとこと~

捜索はまだ初日、それも半日程度。
まだはっきりした収穫があったわけ
ではないけど、少なからず気になる
所はあったし‥この先どうなるか
わからないけど良い方に進めばいい。

唯一、ちょっとだけ気になってる
ことがあるんですけど、レビュー内では
触れそびれた部分ですがアオイと安倍さん
の別れの時、樹海で話していた内容です。

「寄生樹の糧とされ私の妖力が弱まった
とき隠世の扉は私が後継者として名を
告げた者を新たな門番に据える。つまり
隠世の扉を呼べたその瞬間から”安倍晴齋”
は名実ともに物怪庵の主となる。」

そう、アオイが言っていたんだけど、
事実今安倍さんは隠世の扉を呼べる。
ってことは妖力が相当弱まった状態で
この樹海の中にいるかまたは、妖力を
感知できないような場所(例えばあの
海の音がした場所とか)で生きている
っていう可能性‥後者であればいい。

前者では‥もし生きていても薬に
耐えうるほどの体力はないと思う。

‥勝手な想像だけど、アオイが生きて
いられるような別次元の存在を願いたい。

ところで最後に、芦屋のお姉ちゃんが
年内期限の温泉宿泊券(3枚)を持ってる
描写がありました。家族旅行のために
用意してくれたX’masプレゼントかな?

そこからこの先どんな流れになるか、
冬休みは丸っと捜索活動かなと思って
いたのでちょっと意外な展開ですが‥

もしかしたらそれに行くことで何か
良い変化のきっかけに出会えたりも
するかもしれないですもんね!!

次巻に期待、早く読みたいです 笑