不機嫌なモノノケ庵 第14巻

著:ワザワキリ 先生

写真を集め終えると、力を使い
果たしたかのように建物は消え
妖怪は小さな泡になってしまう。

隠世へ祓おうとするけれど、隠世
でまた新しい家族が出来るといい
って物怪庵の言葉を聞いて芦屋は、
この妖怪がすぐに新しい家族を
受け入れられるか心配になった。

だからアルバムを届ける際に
記憶の中にある家族に会わせて
みようってことになり今に至る。

記憶の中ではまだ幼かった初年、
今は立派な大人になって奥さんと
子供がいる新しい家族になってた。

(…そっか…ぼくのおぼえて
いる”かぞく”はもう…こわれ
ちゃっていまはないんだ…。)

なんだか寂しそうにする泡妖怪。
でもそう、記憶にある家族がなく
なったというわけでは決してない。

家族ってのはずっと繋がってて、
長く時間が経てばその分少しずつ
変化だってしていくものだろう。
それでも、自分にとって大切な家族
という存在はずっと消えやしない。

最初は戸惑うかもしれないけど、心に
残ってるたくさんの家族との思い出を
忘れず、時には思い出しながら隠世で
新しい家族を築いていければいいね。

泡妖怪が隠世に帰る時、隠世の
扉の手前に残された僅かな泡。

落とし物だと思って芦屋が拾おうと
すると、それは例の写真に変化した。

「…だったらあの妖怪が
お前にくれたんだろう。」

写真を集めている最中から、あの
妖怪はこの写真をあげたらきっと
喜んでくれるんじゃないかなって
考えているような描写があった。

きっと芦屋にくれたんだろうね。
榮に関してはまだ謎だらけだけど
怖いと感じてしまう部分もたくさん
あるかもしれないけど、それでも
芦屋の父親に間違いないんだもの。

こんな素敵な写真嬉しいよね。
ただ恐ろしい人ではないんだと、
そういう真実が待ってるといいな。

少なくともこの写真からは、そんな
妖怪殺しの恐ろしい人間っていう
ふうには全く見えないものね。

ある時、翁様の所に会いに行くと
どうやら腰を痛めたとかで辛そう。

「こういう身体の不調は若かりし頃で
あれば湯治へ参って治したものだが…。」

「とくにトウゲンという妖怪が
湯守をする”トウゲン温泉”は
現世で疲れた妖怪達の憩いの
場として大賑わいだったねぇ。」

そんな話から、物怪庵ご一行は
トウゲン温泉に行ってみることに。
勿論そのトウゲンと芦屋は初対面で
あるはずなのにどうやらトウゲンは
芦屋を知っている様子を見せた。

よくよく確認してみれば、トウゲンが
会ったことがあるのは芦屋榮のようだ。

「…貴方はよく似ているように感じた
けど、あの時消えかけた私を助けて
下さった『芦屋』様ではなかったのね…。」

トウゲンは、昔榮に助けられたと言う。
これまで喋っているふうだったのは、
トウゲンに取り憑いた魚のような妖怪
コワクが代弁してくれていたんだけど
トウゲンの声はか細くて聞き取れない。

そんなトウゲンが昔、冬の寒いある日
雪崩に巻き込まれ雪に埋もれてしまう。
必死に助けを求めて声を出すが、その
か細い声に気づく者もそういない。

そうして消えてしまいそうになった
トウゲンの囁き声に気づき助けたの
が、榮だったのだとトウゲンは言う。

雪の中から掘り起こし、今にも
消えてしまいそうなトウゲンに
消えるなと声をかけてくれる。
着ていた上着を脱いでトウゲンに
かけ温めようともしてくれたとか。
まるで、想像がつかなかった 笑

本当に謎は深まるばかりだね。
トウゲンの囁くような声はやはり
かなり小さいのだと思うけど、
榮と同じように芦屋の耳にも
届いていたようで..あの人とは
違うとわかっていてもトウゲンは
芦屋にドキンとしてしまっていた。

恋だねぇ、可愛らしいねぇ ♡ 笑

『芦屋 榮』

威光で妖怪を殺めていた、また
別のときには随分と温かい人で
あるイメージもあり..榮という
人がどんどんわからなくなる。

(オレが思っているより悪い人間では
ないのかな…『悪』でないなら何故
この人間は…威光で妖怪を襲っていた?)

時系列的に、妖怪を襲っていた時と
奉公人らしいことをしていた時と、
どんなふうになってるんだろうか。

多分だが、妖怪を殺していた時期よりも
アオイといた時の方が後だろうと思う。
いい方向に変化したというのならいい。

または、妖怪を襲っていたことに何か
明確な理由があったのだとしたら‥。
いろいろ仮説を立ててもまだ謎だらけ、
少しずつ、明かされていくといいな。

妖怪側が自分達を物怪庵の者だと
理解し敵意はなかったらしいが、
ただじゃれついてきたその時に
芦屋は恐怖を覚え、危険な妖怪
なのだと認識しそうになった。

そしてその直後手に威光が現れた。

相手を危険な妖怪だと意識しただけ
で勝手に出てきてしまう威光の力。
じゃれついてきただけで敵意を持た
ない妖怪だったため、事なきを得た
がもし悪意を持って襲ってきた時、
殺してしまうかもと芦屋は怯える。

「次に奴が現れて妖怪に危害を加え
ようとした時は……極力穏便に平和的
解決法で止めてやるから任せておけ……。」

そう言う安倍さんは右手で殴るポーズを
しているし、物怪庵もだいぶ物騒なこと
言っていたけど、芦屋の身が少し心配に
はなったけどきっと自分の意識がはっきり
してない間に妖怪を殺してたなんてこと
きっともうない、大丈夫なはずよね。

大丈夫だって、信じていたい。

そして榮が妖怪殺しになってしまった
原因がわかればその時は、芦屋の中に
潜在する榮を止める手立てが見つかる
可能性も出てくるというものだろう。

「当てならまだあります。」

その当てとは母親。でも面と向かって
聞くには勇気が出ず中々聞けない芦屋。

メールで伝えようにも考えすぎてか
まるでビジネスメールみたいになって
最終的に盛大に舌打ちしながら安倍
さんがメール文を添削..した後に
送信までしてくれてしまっていた 笑

「金髪金眼だった頃の芦屋榮について
ご存知であればお教え願えますか。」

不自然さがすごかったけど、お母さんも
疾走したと思われている榮に関しては
どうしても話しにくい部分があってか、
放課後息子あてに電話をかけてきた。

物怪庵の仕事の休憩中につき、すぐ
そばには、安倍さんもいる状態で
スピーカーにして話を聞くことに。

それはお母さんが高校2年生の時の話。
この物語最初の頃の芦屋のように、
お母さんは妖怪に取り憑かれていた。
正確には、全く見えていないのに非常
に妖怪に取り憑かれやすい体質だった
彼女はずっと保健室に入り浸り状態。

そんな彼女のところにやってきたのが
一学年下の芦屋榮。お母さんは全然
気づいてないけど、憑いていた妖怪を
榮が追い払ってくれたところだった。

少し彼女の話を聞いて憑かれやすい体質で
あると気づいて、榮は妖怪だらけの保健室
から早く教室へ戻るようにと彼女に促した。

お母さんは妖怪とか気づいていないから
ちょっと内容を勘違いしていたけれど。

妖怪に対してだけを考えると、確かに
この時も威光で妖怪を消していたのかも。
ただその理由は妖怪が原因で苦しむ
人を助けるためだったように思う。

母の中の金髪金眼の榮の記憶はこの
時っきり、次に再開した時にはもう
髪も瞳も黒く変わっていたんだとか。

母親から聞かされた話は、あくまで
母親の榮への一目惚れエピソード
だったんだけど、これにはまだ少し
後付の情報があって..彼女は全然
知らなかった榮の悪い噂というもの。

彼の周りで起こる様々な不幸な出来事。
死神だなんて呼ばれてしまうくらいに..
その原因が妖怪だったのなら、榮が
妖怪に対して相当な恨みを持ってても
決して不思議はなかっただろうと思う。

そこから、黒髪黒眼になるまでの間に
何が会ったかはまだわからないんだけど
もしかしたら妖怪によって孤独になった
榮が、何らかの形で妖怪であるアオイに
救われて物怪庵の奉公人になったのかも。

亡くなってしまっていたも、最終的に
彼の孤独が解消されていたならいいな。
まだ善人か悪人か謎な部分はあるけれど
きっとただの悪人ではないんだろうから。

それにあの、お母さんが惚れた人だしね。
こうやって少しずつ、過去が明らかになる。
いつの日か、榮の最期にも辿り着くのかな。

~ひとこと~

謎はまだ多いけど、少しずつ
芦屋榮という人の印象が変わる。

もしかしたら、昔から妖怪が見えて
威光も使えて、威光を使えば妖怪を
追い払えるってことも理解していて。

そんな状況で身の回りの大切な人を
妖怪に奪われ続けていたら彼にとって
勿論妖怪は悪だったろうし、彼なりの
まっすぐな思いで悪を退治していた
ってだけの可能性もあるのかもね。

最初に出てきた、例の蜘蛛の妖怪の
時の印象は随分と悪意や恨みのような
ものを強く感じたけれど、その原因が
きちんとあって、あまりの不幸の多さに
最終的には榮自身が悪に感じられるほど
になってしまっただけって可能性もある。

それほどつらい思いを繰り返していて
妖怪に苦しめられる人を見てきたなら..

あくまで過程の話ばかりかもしれない
けど、もしそうなんだとしたら、彼の
してきたことを肯定は出来ないけど
完璧に悪とも言い切れない状況だね。

もちろん物怪庵の者としては、
やはり悪と感じるべきなのかも
しれないけれど..難しいな。
物怪庵の主として安倍さんは

どんな答えを出してくるんだろう。
そして息子である芦屋の出す答え。
何が正義で何が悪だなんて、そんな
はっきりした答えにはならないかも。

..続き早く読みたいですね 笑