不機嫌なモノノケ庵 第10巻

著:ワザワキリ 先生

芦屋の母親が倒れたという連絡を
貰い大慌てで病院へ向かった芦屋。
貧血で‥ということで思ったより
全然元気だと安心した芦屋だったが‥
体調不良の本当の原因は怪だった。

過去に芦屋にモジャが取り憑いたように
母親もアラナキという妖怪に憑かれて
倒れてしまったということだった。

芦屋を心配してか物怪庵を抜け出して
きたモジャのおかげでそれに気付いて
妖を母親から引き剥がすことで彼女の
体調は回復したのだけれど、そこで
父親の話を聞かされることになった。

芦屋 榮(あしや さかえ)。晴齋と
同じ金色の髪と瞳を持つ男性らしい。
そんな彼もきっと芦屋のように妖を
見る眼を持っていたんだろうと思う。

これは家庭の話だが‥榮という人は
物怪庵の先代アオイと交流があった
可能性も高いんじゃないだろうか。

芦屋は、父親の記憶が殆ど無い。
芦屋の姉にとって父親の存在は
家族を捨てて出ていった奴。

最初に彼が姿を消したのは芦屋が
生まれる少し前‥それから3年後、
突然家族の前に姿を表したけれど
その後はずっと行方不明だという。

きっと幼かった姉も寂しい思いを
していただろうし捨てて出ていった
と感じてしまうのは仕方ないだろう。

「昔…物怪庵の先代主が”アシヤサカエ”
の名を口にしたことがあった。」

細かいことはわからないけれど、やはり
何かしらの繋がりがあったんだろうね。
でも、既に亡くなっているというのは
事実である可能性が高いとしても、
100年前というのはいろいろおかしい(笑)

以前、ヤヒコが晴齋と8年程前に遊んでた
ことがあったことを、30年程前だと言った。
仮に妖と人間の感覚にそれくらいの違いが
あったと考えても‥やっぱり噛み合わない。

それでも、妖怪が見える人間自体がそう
いるわけでもないので、同一人物である
可能性が高いと晴齋は話してくれた。

‥いろいろと、謎が多いな。

「物怪庵の依頼人として関わりが
あったなら報告書に記録が残って
いるはずだ。お前が構わなければ
調べておく。どうする?」

芦屋の返答に、晴齋は芦屋からの依頼
としてこの件を引き受けたようで‥

「もしや今の依頼で俺の
借金返済総額200万怨?」

「請求する前に加算する
とは察しがいいな。」

晴齋の口調が途端に丁寧になった
のはこういうことだった(笑)
奉公人としては大変だけれど、
榮さんのこと‥わかるといいね。

芦屋がまだ幼かった頃に現れた父親の
姿は全身真っ黒でフードを被っていた。

学校の文化祭のために死神の仮装を
した晴齋とヤヒコの姿を見た芦屋は、
幼き頃の自分と父親を思い出した。

これは‥どういうことなんだろう。
真実にどう繋がっていくんだろう。
そもそもこの父親は本当に生きた
人間だったのかすら危うい気がする。

榮さんに関しては謎だらけだ。
何か‥情報は見つかったのかな。

「”芦屋榮”って人間を知らないか?」

「物怪庵のしごとを非公認で隠れて
手伝ってたであろう妖怪が見える
人間、ここ30年以内でアオイの
側にいた金髪近眼の男だ。」

晴齋のヤヒコへの問いかけに思い当たる
ことがあるような素振りを見せたヤヒコ
だったけど‥まだすぐには話してくれる
つもりがないようだ‥何か知ってるのか。

‥焦らさず教えてほしいんですけど(笑)
榮の情報にありつくにはいろいろと
時間や労力を必要としそうですね。

これは少し遡って文化祭前日のお話。
禅子が文化祭の話をヤヒコにすると
ヤヒコは生きたいと駄々をこねてくる。

イタズラばかりするから、連れていく
ことは出来ない、ダメだと言う禅子。
きっと晴齋に言っても返事は同じだ。

でも禅子はいろいろと考えたらしい。
人間の考えと、妖の思いのすれ違い。

この後、イタズラは絶対禁止という
約束で文化祭に連れて行くことにした。
まあ‥結局いろいろ騒ぎを起こして
しまってはいたけれど、文化祭を
自由に楽しむことは出来ていたようだ。

ヤヒコが出会えた人間が、禅子の
ように妖の気持ちを考えてくれる
人で本当に良かったなと思った。

~ひとこと~

お久しぶりのモノノケ庵、10巻でした。
今回は、芦屋の父親の話が出てきた。
まだまだ全てが謎でしかないけれど、
榮さんの存在は物怪庵にとってわりと
大きく関わりのあった存在だったの
ではないかと勝手に思ってます(笑)

真相がわかるのはまだ先でしょうか‥
次巻待ち遠しいですが、またその時に
続きのレビューで紹介させて頂きます。