著:ワザワキリ 先生

芦屋を庇おうと一生懸命
戦おうとするモジャだけど、
いとも簡単に力負けして
近くの壁に投げつけられる。
そして、血を流してそのまま
動かなくなってしまったのだ。
それを見た芦屋は顔色を
変え、ただ淡々と話しだした。
「あんたが怒る気持ちは理解るよ。」
「でもさ、人の話に耳を貸さず
自分の言い分はぶつけて刃物まで
振り回して脅かして鬱憤晴らしに
暴れて他人を傷つけて、それは
間違いだってあんた分からなかった?」
手から出た謎の光。あれは
一体なんだったんだろう。
明らかに今までの芦屋からは
想像がつかない状態になってた。
それで、こいつは立っていられない
くらいに怯え動けなくなってた。
これは…『芦屋』の名に関係が
ある何かだと言うんだろうか。
…謎が、大きな謎が出て来たな。

物怪庵、二代目主の噂。
晴齋はそんなことするような人
では決してないと思うんだが。
でも、彼が過去に何かを抱えてる
のはこれまでの様子から確かだろう。
迷子(勝手に亀薬堂を飛び出した
芦屋)を探しに来た晴齋は、暴走
しがちの芦屋を止めた後、状況を
把握したようだった…よく来たw
まだまだ謎なことが多すぎるな。
そして序盤は結構温かい雰囲気で
進んでいたこのお話だけど、案外
彼らには明かされてない闇の部分が
多いのかもしれないなって思った。

シズクの兄で隠世の3人の権力者の
1人立法(りっぽう)、彼は隠世の
法律(ルール)を作る権力の持ち主。
その法律を破ると罰がくだされる。
でもそれは物怪庵主だけは例外らしい。
「物怪庵の主は、どんな法律
違反も罪には問わない。っていう
最強の法律で守られてるのよォ。」
そう、コウラが話していた。
その立法様が芦屋にこう告げる。
「人間であるキミが妖怪のために
身と心を尽くし働けるのかい?」
でも芦屋の答えはとてもはっきりた
ものだった。それを聞いて、立法様は
芦屋を隠世に連れてくるために行き
帰りで2度隠世の扉を開くのは大変
だろうと、新しいルールを設けた。
「主と奉公人のみ、物怪庵での
隠世と現世の行き来を許可する。」
芦屋を、奉公人として認めてくれたようだ。
そして、自分も奉公人になりたいと突然
アピールしだしたモジャを見た立法様は、
それを許可し、法律だと言って反対する
晴齋に押し通したのでありましたww
物怪庵で現世に帰ろうとした際、
立法様は少々気になることを言った。
「お前は妖怪を雇うのが嫌だった
んだね。人間だったら寄生樹に
憑かれる心配はないものね。」
これはもしかして…物怪庵の初代主
のことを言っているんだろうか…?
また、いつか明かされるのかな。

今回の依頼は、マンジロウという
うなぎの妖怪(?)からのものだった。
旦那を亡くしたお婆さんが自分と
旦那の結婚指輪2つを指にはめていた。
でもある時自分の指輪の方をなくして
しまった。それを見つけて持ち主に
返してほしいというのが依頼だった。
マンジロウは指輪に憑いている
妖怪らしい。何度も探したのに
全然見つけられなかった指輪は、
捜索に芦屋が参戦したことで
たったの15分で見つかったw
昔から、金属のものを見つける
のは得意だったらしいwでも
問題なのはそこから先の話。
これをどうやってお婆さんに渡すか。
芦屋は、指輪を渡す際にマンジロウ
のことを伝えられないかと言った。
でも晴齋から出た言葉は辛い現実。
芦屋には実際に妖怪が見えてる
から実感がわかないかもだけど、
普通は見えないんだ…そういう
ものなんだよな、辛いけど…。

おばあさんの家に行く。
気付かれぬように、ポストに
入れて立ち去ろう…そういう
話になったが、モタモタして
いる間にお婆さんに見つかり
怪しまれてしまった芦屋と晴齋。
「人間と関わるなって言っただろ。」
芦屋が事情を話そうとするのを
止め指輪だけポストに入れろと
言う晴齋だったが、そんな彼に…
「安倍さん、オレ達も人間ですよ。」
芦屋の言葉にしばらく俯いて
固まっていた晴齋だったが、
しばらくして晴齋は口を開いた。
「マンジロウ。マンジロウと
いう方にその指輪をあなたに
渡すよう頼まれました。」
初めは訝しげな表情を見せた
お婆さん。でも、しばらく
たって突然大笑いを初めた。
笑って、喜んでくれた。
ちゃんと、信じてくれた。
伝えることが出来た。
いつもこう上手くいくなんて
ことはきっとないんだろう。
それでも、今回は芦屋の言葉に
耳を傾けて、本当に良かったね。

物怪庵の主になってからどれ
くらいの間こんな依頼を受け
続けて来たかは知らないけど、
きっと最初は芦屋みたいに理解
してもらおうともしたんだろう。
それでもほとんどが気味悪がられ
理解して貰えず終わったんだろう。
そうしていつの間にか無理なんだと
諦めてしまっていたんだろうね。
それが不正解なわけではない。
でも、もし1人でも多くの人が
理解してくれるというのなら、
自分たちが依頼をこなすことで
笑顔になってくれる人がいる
なら…少しはその可能性を
信じてみてもいいのかな。
芦屋の行動には、いつもほんと
驚かされてばかりだけど、芦屋
は晴齋にとって何かいいきっかけ
になるかもしれないなと感じてる。
人のことも、妖怪のことも大事に
思ってる芦屋だから出来たことだね。
~ひとこと~
3巻でした。
マンジロウの話はちょっと
ウルっとしてました私w
芦屋は正直危なかしいけど、
時にはそれが物事をいい方に
持っていくきっかけになる。
これから先、何かをずっと
1人で抱えている様子の晴齋の
救いになることを願いたいね。