著:青桐ナツ 先生

学校は文化祭準備の時期、
準備で忙しくてほとんど
秋に構うことが出来ない
状態がしばらく続いた頃…
平介の母親が心配する程
哀愁ただよう秋の背中。
虎太郎とも友達になって、
友達も出来たことだし…
なんて思っていた平介
だったけれど、秋は誰か
ではなく平介とずっと
遊びたかったんだろうね。
…文化祭準備で忙しくて
平介のことが頭から抜けて
気遣いというストレスも
なかった平介が…久々に
落ち込んでおります…。
子供って…難しいよね。
特に秋は、我慢してしまう
ことが多いから、余計に。

久々に顔を合わせた平介と秋。
どこか気まずい気分の中で、
こんばんはと声を掛けた平介に、
秋は心底嬉しそうに笑った。
子供のしたいことっていうのは、
大人になってみるとイマイチ
理解できないことも多いけど、
もしかしたら、結構単純なもの
なのかもしれないなって思った。
大好きな人と楽しいことをしたい。
秋にとっては、平介が自分を
見て、話してくれるだけで
満足だったのかなって思う。
我慢しちゃう子だからこそ、
気づきにくいけれど、小さな
異変に気付いて声をかけて
あげられるようになるといい。
…まあ、難しいけどね。

文化祭にやってきた秋。
平介と一緒に校内を回ろうと
歩いていたけれど、人の波の
中、平介が友人と話している
間に平介は秋を見失ってしまう。
秋は人混みで平介を見失って、
平介を探すうちに自分のいる
場所もわからなくなって
しまったんだよね、きっと。
やっとのことで再会出来た
2人だったけれど、どんな
言葉をかけても中々元気に
なってくれない秋だった。
…1人で怖かったんだろうな。
そしてしばらくして出した結論。
「おれもうまいご
しない。ちかう。」
秋…いい子すぎるでしょ。
秋は全然誰かを責めたりとか
しないんだよね…自分が全部
悪いって、反省するんだよ。
すごいことだけど、こんな
自己犠牲みたいな感じは…
少々可哀想すぎるよね。

いろいろと不調続きの平介。
なんだか元気が無いように
感じた秋は、元気になって
もらいたいと思って四葉の
クローバーを探しに出かけた。
平介のためにって必死になって。
そういう愛情を受け取ることに
慣れてないのかなんなのか…
「そういうもんなんだよ、多分。」
愛情でも嫉妬でも友情でも、
人の思いってのは重いもの
なんだろうなってほんと思う。
それを真摯に受け止めようと
するにもかなりエネルギーを
使うからね、大人になれば
なるほど、そういうものが
億劫になる人だっている。
子供だから、純粋なまま
まっすぐな思いを持って
いられるのかもしれない。
それでも、秋は平介のことが
大好きで、大好きな平介が
元気でいてくれたらいいって
そう思う気持ちは自然なもの。
そんな平介はいろいろ冷めてる
みたいで、上手く受け止められて
いないのかもしれないけれど。
…平介まだ高校生なのに、どうして
ここまで冷めたのかも謎ですね。

子供というのは、よくも
悪くも全力だよね、ほんと。
そういう熱量が、普段低燃費
で動いてるような平介には
重く感じるのかもしれない。
それはきっと愛情に関しても。
誰かに対し強い愛情を持ったり、
逆に強い愛情を向けられたり
することに関心がないというか…
そういう意識がないというか。
あれこれ考えて頑張ってる人より
平介みたいなのの方が世渡り上手
だったりするから、世の中不思議。

自分には何かが足りないのかも
なんてことを考えだした平介。
秋と一緒にいて、秋が自分を
困らせないようにいろいろと
我慢したりしてることに気付く。
平介と一緒に楽しいのがいいと
話す平介に対して、自分には
そういう感覚がなかったな~
なんて気付いてしまったりして。
でも人の性格なんてそう簡単に
変わるものではなくて…今まで
そういうものを感じなかったのに
急に感じるようになんてならない。
人って、難しいよね。
でも、こんなに優しい秋が
我慢し続けるのは、平介に
とっても不本意な話なわけで…
「そんな思いつめた顔されるより
自由にしてくれたほうが俺は楽だ
なあ。おれはあっくんがしょんぼり
してるほうがね…たいへんだなぁと。」
「あんまり気負わずに……なぁなぁ
も大事っつーか、迷子になるから
ってがまんすることなくて、
駆けていっていいのに。」
秋は真面目で、誰かに嫌な
思いをさせるより自分が我慢
することを選ぶような子で。
そうして結果的に自己犠牲で
自分がしょんぼりしちゃったり。
そんな秋に対して、何だかんだ
めんどくさいなんて思ってた
平介が必死に言葉を探してこう
告げたのは、秋への愛情がある
からなんだろうなと感じた。
わかんないけど、そうだといいな。
~ひとこと~
えー今回紹介できてませんが、
新キャラで海藤くんという、平介達
より1学年下の子が出てきました。
すごく真面目で、真面目すぎるが
故に友達ができなくて…どこまでも
てきとーなのに友達もいて子供
にも好かれる平介が羨ましくて、
それでずっと平介につっかかって
いた少年でした。極端な子だったけど、
実際私も真面目すぎるよねなんて
言われたことはよくあり…友達も
少ないんでね、少なからず気持ちは
わかるなと感じてしまいつらく
なったのであえて触れなかった←
何をするにも、程々って大事だと
思うんですよ、ベクトルは違う
けど、真面目さだったり誠実さ
だったり、真っ直ぐすぎるという
のは自分の首を絞めることがある。
そういう人には、少しくらい
自分の中のルールを緩めても
いいんだよって、気付くことも
きっと大事なんだろうと思う。
海藤くんにしろ、秋にしろね。
てきとーなのがいいわけでは
ないし、正しければ世の中
上手く生きてけるなんてわけ
ではないので…人って、生きる
って、難しいよね~(苦笑)
秋は、これからどんなふうに
成長していくんだろうか。
幼い頃から、少しずつ上手い
生き方を知っていけたらいい。