flat 第3巻

著:青桐ナツ 先生

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学校は文化祭準備の時期、
準備で忙しくてほとんど
秋に構うことが出来ない
状態がしばらく続いた頃…

平介の母親が心配する程
哀愁ただよう秋の背中。

虎太郎とも友達になって、
友達も出来たことだし…
なんて思っていた平介
だったけれど、秋は誰か
ではなく平介とずっと
遊びたかったんだろうね。

…文化祭準備で忙しくて
平介のことが頭から抜けて
気遣いというストレスも
なかった平介が…久々に
落ち込んでおります…。

子供って…難しいよね。
特に秋は、我慢してしまう
ことが多いから、余計に。

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久々に顔を合わせた平介と秋。
どこか気まずい気分の中で、
こんばんはと声を掛けた平介に、
秋は心底嬉しそうに笑った。

子供のしたいことっていうのは、
大人になってみるとイマイチ
理解できないことも多いけど、
もしかしたら、結構単純なもの
なのかもしれないなって思った。

大好きな人と楽しいことをしたい。

秋にとっては、平介が自分を
見て、話してくれるだけで
満足だったのかなって思う。

我慢しちゃう子だからこそ、
気づきにくいけれど、小さな
異変に気付いて声をかけて
あげられるようになるといい。

…まあ、難しいけどね。

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文化祭にやってきた秋。
平介と一緒に校内を回ろうと
歩いていたけれど、人の波の
中、平介が友人と話している
間に平介は秋を見失ってしまう。

秋は人混みで平介を見失って、
平介を探すうちに自分のいる
場所もわからなくなって
しまったんだよね、きっと。

やっとのことで再会出来た
2人だったけれど、どんな
言葉をかけても中々元気に
なってくれない秋だった。
…1人で怖かったんだろうな。

そしてしばらくして出した結論。

「おれもうまいご
しない。ちかう。」

秋…いい子すぎるでしょ。
秋は全然誰かを責めたりとか
しないんだよね…自分が全部
悪いって、反省するんだよ。

すごいことだけど、こんな
自己犠牲みたいな感じは…
少々可哀想すぎるよね。

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いろいろと不調続きの平介。
なんだか元気が無いように
感じた秋は、元気になって
もらいたいと思って四葉の
クローバーを探しに出かけた。

平介のためにって必死になって。
そういう愛情を受け取ることに
慣れてないのかなんなのか…

「そういうもんなんだよ、多分。」

愛情でも嫉妬でも友情でも、
人の思いってのは重いもの
なんだろうなってほんと思う。

それを真摯に受け止めようと
するにもかなりエネルギーを
使うからね、大人になれば
なるほど、そういうものが
億劫になる人だっている。

子供だから、純粋なまま
まっすぐな思いを持って
いられるのかもしれない。

それでも、秋は平介のことが
大好きで、大好きな平介が
元気でいてくれたらいいって
そう思う気持ちは自然なもの。

そんな平介はいろいろ冷めてる
みたいで、上手く受け止められて
いないのかもしれないけれど。

…平介まだ高校生なのに、どうして
ここまで冷めたのかも謎ですね。

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子供というのは、よくも
悪くも全力だよね、ほんと。
そういう熱量が、普段低燃費
で動いてるような平介には
重く感じるのかもしれない。

それはきっと愛情に関しても。
誰かに対し強い愛情を持ったり、
逆に強い愛情を向けられたり
することに関心がないというか…
そういう意識がないというか。

あれこれ考えて頑張ってる人より
平介みたいなのの方が世渡り上手
だったりするから、世の中不思議。

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自分には何かが足りないのかも
なんてことを考えだした平介。

秋と一緒にいて、秋が自分を
困らせないようにいろいろと
我慢したりしてることに気付く。

平介と一緒に楽しいのがいいと
話す平介に対して、自分には
そういう感覚がなかったな~
なんて気付いてしまったりして。

でも人の性格なんてそう簡単に
変わるものではなくて…今まで
そういうものを感じなかったのに
急に感じるようになんてならない。

人って、難しいよね。
でも、こんなに優しい秋が
我慢し続けるのは、平介に
とっても不本意な話なわけで…

「そんな思いつめた顔されるより
自由にしてくれたほうが俺は楽だ
なあ。おれはあっくんがしょんぼり
してるほうがね…たいへんだなぁと。」

「あんまり気負わずに……なぁなぁ
も大事っつーか、迷子になるから
ってがまんすることなくて、
駆けていっていいのに。」

秋は真面目で、誰かに嫌な
思いをさせるより自分が我慢
することを選ぶような子で。

そうして結果的に自己犠牲で
自分がしょんぼりしちゃったり。

そんな秋に対して、何だかんだ
めんどくさいなんて思ってた
平介が必死に言葉を探してこう
告げたのは、秋への愛情がある
からなんだろうなと感じた。

わかんないけど、そうだといいな。

~ひとこと~

えー今回紹介できてませんが、
新キャラで海藤くんという、平介達
より1学年下の子が出てきました。

すごく真面目で、真面目すぎるが
故に友達ができなくて…どこまでも
てきとーなのに友達もいて子供
にも好かれる平介が羨ましくて、
それでずっと平介につっかかって
いた少年でした。極端な子だったけど、
実際私も真面目すぎるよねなんて
言われたことはよくあり…友達も
少ないんでね、少なからず気持ちは
わかるなと感じてしまいつらく
なったのであえて触れなかった←

何をするにも、程々って大事だと
思うんですよ、ベクトルは違う
けど、真面目さだったり誠実さ
だったり、真っ直ぐすぎるという
のは自分の首を絞めることがある。

そういう人には、少しくらい
自分の中のルールを緩めても
いいんだよって、気付くことも
きっと大事なんだろうと思う。

海藤くんにしろ、秋にしろね。
てきとーなのがいいわけでは
ないし、正しければ世の中
上手く生きてけるなんてわけ
ではないので…人って、生きる
って、難しいよね~(苦笑)

秋は、これからどんなふうに
成長していくんだろうか。
幼い頃から、少しずつ上手い
生き方を知っていけたらいい。